あらすじ
神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。関係者の一人だが容疑者としては一番無色なタクシー会社の専務は、殺害の数時間後、遠く九州の和布刈(めかり)神社で行われた新年の神事を見物し、カメラに収めていたという完璧すぎるアリバイに不審を持たれる――『点と線』の名コンビ三原警部補と鳥飼老刑事が試行錯誤を繰返しながら巧妙なトリックを解明してゆく本格推理長編。
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Posted by ブクログ
なんだか、やたらと夢中になって読んでしまった。
疑わしい人物を最初から峰岡だけに絞っていたところなんかは気になったりもしたけれど、一つ一つアリバイを崩していく過程は本当におもしろい。
LGBTが一般的(?)になった現代だから、割と最初から女装した男かなと気付いてしまった点は、驚けなくて残念だったけれど、当時の感覚はこんな感じなのねとある意味新鮮だった。
他にも写真の現像方法や飛行機の搭乗方法が今と違って、松本清張らしい昭和を感じられるのもいい。
Posted by ブクログ
相模湖の殺人の容疑者が犯行時刻に遠く九州の和布刈神社で神事を見物していた?
名作「点と線」の三原と鳥飼の刑事コンビが再び鉄壁のアリバイ・トリックに挑む。
二転三転する解明への道、ひとつ壁を破れば次の壁が現れてしまう。トリックが崩れた瞬間には思わず安堵の溜息が出た。
フィルムの現像方法や旅客機の搭乗の仕方など、その時代ならではのものを知ることが出来て、昭和好きには堪らない。
それは結局のところ推測の域を出てなくないかと思う部分はありつつも、スリリングな謎解きにハラハラして、大変面白かった。
Posted by ブクログ
「点と線」と並ぶ名作。とはいえ、ドラマ化と聞いて読んでみた。小説としてはおもしろいが、身分証明書が米穀通帳とか、そうとう古い。メイントリックも現代の感覚ではまったく使えないネタだったので、ドラマではどうするのかと思っていたら、ざっくり作り変えてあった。時代考証を気にせず、純粋に推理小説として読めば、おもしろい。
Posted by ブクログ
警察による聞き込み捜査があと一歩のところで振り出しに戻るこのもどかしさ。それでも鉄壁のアリバイを持つ犯人を着実に追い詰めていくスリル。アリバイ崩しもの特有のこの読み味に最近じわじわハマりつつある。社会派ではないけど、当時としては実現可能性の高そうなアリバイトリックにしてくるあたりはさすがです。写真の現像とかとは馴染みのない私には思いも寄らないトリックでしたねぇ…この時代の小説に御用達の電報とかもジ○リのト○ロとかでしか見たことないしなぁ…あと関係ないけど通話料金ぼったくりすぎないか?
何気にアリバイトリックよりも、現代でも通用する○○に関するミスリードの方が前衛的だなあと感心しました。