あらすじ
日本が破滅に向って急速に傾斜していった時代、金も学問も希望すらもなく、ひたすら貧困とたたかっていた孤独な青年松本清張。印刷所の版下工としてインクにまみれ、新聞社に勤めてからも箒の仲買人までしながら一家八人の生活維持に苦しんだその時代が今日の松本文学を培(つちか)ったのであった――。本書は、社会派推理小説の第一人者である著者が若き日を回想して綴る魂の記録である。
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Posted by ブクログ
巨匠松本清張は作家になる以前に朝日新聞社で記者をしていたのだろうと勝手に想像していたが大きな誤りだった。生活するための苦労が生々しく冷静に回想されており、それが読むものを惹きつける。点と線や砂の器は読んだ後、彼の膨大な作品群になかなか手を出さなかったのだが、この半生の記によって無性に読みたくなった。