【感想・ネタバレ】戦争に抵抗した野球ファン ――知られざる銃後の職業野球のレビュー

あらすじ

日中戦争から太平洋戦争へと戦線が拡大し、すべてが戦争に奉仕させられる時代にも、野球場には、戦争から背を向けるように声援をおくる名もなき野球ファンたちがいた。彼らは一体何を思い、そこに何を観たのか? プロ野球創成期をノンフィクションという形で切り取り、戦争の悲惨さを語り続けてきた著者が、戦後80年を機に、これまで語られてこなかった市井の野球ファンたちの姿に焦点を当て、戦時下の野球文化を描く。 【目次】第1章 魅了された人々/第2章 襲いかかる戦火/第3章 強まる戦時統制/第4章 密かな娯楽/第5章 反骨の人々

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Posted by ブクログ

 NHKラジオで、山際康之さんのインタビューを拝聴し、この本を知りました。
 戦争が激化する中にあっても、職業野球の試合はいつも多くのファンが球場に詰めかけ試合に熱狂していたという事実に驚きました。
 山本五十六の戦死という衝撃的な報道があった日も、球場には6千人が集まって野球観戦に興じていたそうです。
 当時は言論の自由もなく、どこにいても監視の目につきまとわれ、野球観戦どころではなかったのではないかという私の固定観念は見事に打ち破られました。球場に集まった人々の芯の強さに敬意さえ感じました。私も行ったかもしれません。
 それでも、現代とは違う世の中。ストライク、ボールなど全ての用語は日本語に置き換えられ、球場の設備を軍に持っていかれ、そして大切な選手たちが次々と徴兵されて・・・あの剛速球投手・沢村栄治さんの名前もありました。戦争がなかったら、、、と思わずにはいられませんでした。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

忍び寄る戦争の影。軍部に翻弄される職業野球だがコアな野球ファンに支えられ細々と続けられていく。
後楽園球場の2階席が高射砲陣地となった史実や敵性語としてストライクなど英語を廃する動きなど軍部との駆引きは続く。
戦時中でも続いた貴重な娯楽の実態、庶民の逞しさを感じる作品。

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2025年10月15日

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