あらすじ
「24時間戦えますか」から
「おじさんの詰め合わせ」まで
スーツ/腹筋/大股/白人の上司/高層ビル/ヒゲ脱毛/能力主義/とりあえずビール/違いがわかる男/命令する本田圭佑/ホモソーシャル/生涯現役……
CM・ポスターに刷り込まれた“理想の男性”の虚像を暴く!
缶コーヒー広告のスーツ姿と背景の高層ビル、
「出世」や「モテ」と結びつけられるヒゲ脱毛、
いつも命令口調の本田圭佑……
その〈男らしさ〉のイメージはどこからきて、
私たちの価値観に影響を及ぼしているのか。
栄養ドリンク、ビール、スーツ、メンズ美容、選挙ポスター――
街中にあふれる広告から、これまで「なかったこと」にされてきた
男性表象の問題点を鮮やかに炙り出す。
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Posted by ブクログ
淡々とした文体のニュートラルなジェンダー広告批評本でした。かなり客観的に書かれているので読みやすいんですが、フォントが薄くて小さいので老眼の私にはちょっとしんどかったです。
男性向け広告の歴史がさりげなくわかるのでよかったです。
Posted by ブクログ
ジェンダー、ミソジニーがテーマの新書。
興味関心があり期待していたが、今一つだった。
広告から、女性、男性、それぞれがどう描かれているかを読み解き、
今の日本のジェンダーに対する立ち位置を分析するものだったのだろうが、
表層的に思えた。
目次以上の内容、訴えを感じることができなかった。
序章 「男らしさ」の広告観察
第1章 ドリンク広告と働く男 ――栄養ドリンク、コーヒー、ビールの広告史
・リポビタンDの車内広告は何が問題だったのか
・「24時間戦えますか」バブル時代の栄養ドリンク広告
・「違いがわかる男」のためのコーヒー
・ビールかけという究極のホモソ儀式
・「男は黙ってサッポロビール」が描き出した「男らしさ」
・コロナ禍で起きた「男らしさ」表現の変化 ……ほか
第2章 スーツとパンツ ――装いが作る身体の価値
・「背景高層ビルおじさん」はどこへ向かうのか
・スーツ文化の墓場としての《Cut Suits》
・褌(ふんどし)を締めることの精神性
・カルバン・クラインと腹筋の商品価値
・細マッチョのK-POPスターが示す新しい「男らしさ」
・アバクロの栄枯盛衰 ……ほか
第3章 自己鍛錬としてのメンズ美容 ――「崇拝」と「推し活」の視線
・能力主義と結びつく男性の「ケア」
・「大谷翔平崇拝」を分析する
・推し活を取り込むマーケティング
・男性脱毛広告4つのパターン
・本田圭佑に命令されたい男たち
・これからの男性のケアの可能性 ……ほか
第4章 「デキる男」を目指すのは何のため? ――能力主義と「報酬」としての女性
・「男磨き界隈」を考える
・英語圏を支配する男性中心カルチャー「マノスフィア」
・「オタ恋」プロモーションへの違和感
・クリニック広告とホストクラブ看板の共通点
・再生産される「バーキン買うなら豊胸しろ」系広告
・性感染症予防ポスターに潜むミソジニー ……ほか
第5章 選挙ポスターに見るジェンダー表現 ――「おじさんの詰め合わせ」から脱却するために
・「おじさんの詰め合わせ」発言が引き起こしたハレーション
・遍在する「男の詰め合わせ」と家父長制政治
・日本維新の会が流行らせた「断言口調」と「太ゴシック斜体文字」
・SNS時代の選挙ポスター
・政治家に求められる「男らしさ/女らしさ」
・「(国名)election poster」で画像検索してみたら ……ほか
第6章 その〈男らしさ〉はどこへいくの? ――これからの教育と医療と男性性
1 田中めぐみさんに訊く、男子校でのジェンダー平等教育の実践と課題
・広告・メディアが中高生に刷り込む能力主義
・もっと男性同士の「おしゃべり」が必要だ
2 堀川修平さんに訊く、性教育史研究から捉える「男らしさ」
・大学で「男性」としてジェンダー講義をするということ
・「弱者男性」を自認する学生との向きあい方
3 池袋真さんに訊く、多様なジェンダーを生きる人に伴走する医療とケア
・接近するジェンダー医療と美容医療
・医療業界の「男らしさ/女らしさ」規範 ……ほか
私の家族は妻と二人の娘、ついでに孫も女の子。
男性の私からすると、女性が世の中でどういう目で見られるか、というのを
どうしても意識してしまう。
男の本性はありながらも、父親の視点を意識すると、
女性を性的に見ることに対しては慎重にならざるを得ない。
しかしあからさまに性を前面に押し出した広告は数知れず、、
またそういうものに男は反応するから。
私も本能的に反応する。しかしそこで踏みとどまる。
でも目を引けば目的は達せられてるのかな。
そんな広告に切り込む新書、だと思って手にしたのだが。
まあ、問題提起してくれた、ということで満足すべきか。
Posted by ブクログ
書評を見て購入。目次だけでも刺激的、たとえば序章の「なぜ脚をそんなに広げるのか?」「データやグラフを手にしたり指さしたりする」「♯クリニック広告ドヤ顔院長選手権」
等々。ふだんそういうものだと気にも留めていなかったことが急に意識の中で立ち上がってくる。ジェンダーに関する意識は常に更新し続けなければと思う。自分の中の刷り込みに気づかせてくれる読書体験だった。
Posted by ブクログ
SNSを中心に、日々女性に関するジェンダー表現が問題になったり、炎上したりする事はあるが、その逆の男性に関するジェンダーの表現が話題になる事は、たしかにほとんどないのが現状。気づく人がとても少ないし、マジョリティの意識がそっちに向いていないということだと思う。しかしながら私たちが目にする広告の中には、様々なパターンで固定観念的な男らしさが込められていることを、この本は客観的に紹介している。
女性の生きづらさについて話すとき、男性の生きづらさについても主張されるのはトピック違いだと思う時が多々あるが、根底にあるのは家父長制であり、男女協力してこの古い思想を刷新していける未来があると良いと思う。
Posted by ブクログ
広告におけるジェンダー、とりわけ”男らしさ”に着目した小林美香さんの新書
読んでみてめっちゃおもしろかった。町やテレビ、電車のなか、SNSにあふれるありとあらゆる広告を見るための手札が増えたように感じる
あの手この手で消費者の欲望が、もしくは広告の作り手の欲望が込められた広告が解体され、そこにある欲望を丸裸にされるわけだが。顔のない男性やコピーペーストで増える男性というのは、個人としてのお前は求めていない。自我はなくていい、ものでああるべきという欲望が表されていて、たしかに社会に求められる男性は企業をスムーズに動かすための備品であって、自我はいらないし求められているのは部品としての男性なのだ
また大谷翔平を崇め奉るという流れにはいったい何が込められているのかを分析しているところは、興味深さをおもしろさで笑いながら読んでしまった
広告に対する知見を得ることもできるけど、単純に読み物としておもしろかった
Posted by ブクログ
面白かった。「フェミの人の本!」と敬遠せずに、男性にも広く読まれてほしい。
筆者は、街中に溢れる広告を題材に、「男らしさ」の規範がどのように表現されているかを丁寧に観察する。それの良し悪しを語るのではなく、日常生活で何気なく目にする広告を通して私たちに無意識的に刷り込まれている、男らしさや女らしさの規範を可視化していくことで示唆を得ようというものだ。
私自身は女性で、フェミニズムを積極的に学ぶことでジェンダー規範や性差別に意識的でありたいとつねづね思っている立場だ。しかし昨今、少しでもフェミニズム的な視点で語られたものを目にすると即座に攻撃的になる人々をSNSを中心によく見かけるため、フェミニズムに立脚したテキストを読むと共感はするものの、そうはいってもあちら陣営には伝わらないのだろうな、と諦観するようになってしまった。
その意味で本書は、両陣営の対立を煽るのではなく、冷静に対話をするための題材として画期的だと思う。広告を題材にしているが、よくSNSで論争になっている「女性のモノ化、商品化」といった問題に焦点を当てるのではなく、「デキる男」の表象や、理想化された「男らしさ」など、「男性性の描かれ方」に焦点を当てているところが、今までになく新しいと感じた。
以前、別の本で、見た目の印象がその人の能力の評価に与えるバイアスは女性よりも男性の方が強いという知見が紹介されているのを目にしたが、ルッキズムや能力主義の蔓延により傷付けられているのは、女性だけではなく、むしろ男性のほうがその度合いが大きい可能性もあることを、広告の事例を通じて実感することができた。
最終章で、教育や医療の現場でジェンダーの問題に取り組む専門家のインタビューが掲載されており、特に男子高校生へジェンダー教育を行っている方の話が非常に興味深かった。最初に男性特権の話をすると心を閉ざされてしまうとか、能力主義の否定や専業主婦への批判と取られて保護者からもクレームが来ることがあるとか、なかなかにしんどい内容だ。「男性の傷つきの言語化」と、「男性特権について考える」テーマは別々に扱ったほうが良い、というのは勉強になった。
また、男性同士の「おしゃべり」が必要というのは本当にその通りだと思う。会社の若い世代の人たちを見ていると、男の子もおしゃべりな子が増えていたり、女子同士の友人関係のようなものが男子にも広がっている感覚はあるので、世代による違いはありそうだ。
広告をはじめとした身の回りで目にする表象を注意深く観察することで、知らず知らずのうちに内面化されたジェンダー規範に意識的になるという気づきをもたらしてくれる読書体験だった。前著からの引用が多く、この本だけで完結しない部分が多かったので☆-1した。
Posted by ブクログ
広告だから身近な事例が多くて読みやすい ジェンダー批評だと女性ばかりに焦点が当たりがちだけど、広告による男性性の刷り込みとかを観点にしたものはあまり見たことがなかったから新鮮 たしかにこういうのよく街中で見るけどスルーしてた 大谷翔平のコスデコの広告演出の中で、菩薩の光の当て方とライティングが一緒で神々しさを放っているっていう考察が面白かった
外見的にどう見られるのを気にするのは女性的(中性的)な男性ではなく実は能力主義と結びついている
Posted by ブクログ
・広告から読み解く「男らしさ」の表象。そう言えば、と感じる話もあって面白く読んだ。だけど、成程、とは思うけれど、めちゃめちゃ目新しい視点、試みは感じなかった、かな。だけど「今」はそれを言い続ける事が必要な時期なので、それでも充分でしょう。
・勉強不足のこの身ではあるけれど、「おじさんの詰め合わせ」なんて話題があったとは知らなかった。(ダメです)めちゃ的確じゃん、と思ったけど、それに対しての世間のリアクションがそんな事になっていたとは、そっちの方が驚き。
Posted by ブクログ
著者が「男らしさ」について、広告や発言、その他に対して常に考え過ぎるくらいジェンダーを意識しているのを感じました。私はジェンダーだけに留まらず、人に対してそこまで深く考えておらず、色んな人がいて当たり前と楽観的なので、ジェンダーに対してとても強く意識している著者に対し、こういうものもそういうふうに捉えているのかと勉強になりましたが、読んでいてとても疲れてしまった。そう捉えるように斜に構えて考えているようにも感じました。受け取り方は人それぞれですが、広告を出す会社も発言をする上司なども、神経質なほど気を遣わなければいけないのかもしれないですね。あの人はこんなことを言っていたが、あまり悪いふうには考えていないだろうなと寛容に受け止めることも必要なのではないかとは思います。多様性と言われるが、制約は多くなり難しい世の中です。自閉症など、察することに少し鈍感な人たちには益々ややこしい時代になるのかもしれませんね。
Posted by ブクログ
広告で表現される男らしさをこんなふうに並べられると、恥ずかしさを通り越して少し “イタイ”。男らしいデキる男の広告を風刺画の一種として読み解いていくと、本書が指摘する世相の推移が見えてくる。しかし、広告の訴求対象である世の中のオヤジ意識は頑健で、変化は緩やかだ。
60歳を過ぎたオヤジの私が“イタイ”と感じるくらいだから、個人の意識改善は徐々に浸透しているのだろう。社会的に改善されるのは、もっとスピードは遅そうだ。ただ、社会的に下に見ても良い存在としての外国人が顕在するとともに、男らしさより日本人らしさが強調される表現が台頭するのではないか。
いずれにしろ、劣等感や優越感を少しくすぐる広告表現は見逃せない。
Posted by ブクログ
ジェンダー論からみた昭和から現代までの企業広告や街に溢れるポスターを考察していく
時代背景、マーケティングだけの視点だけでは足りないことがよく分かる
Posted by ブクログ
無意識に擦り込まれている男らしさを、意識する。
電車やテレビ、街中で見かける広告のパターンから、男らしさの変遷やそもそもどういった考えを読み取っていく。最初のパターン化は、確かにこういうのあるなと思いつつ、そのような解釈をするのかと思い読んでいた。 作っている層に男性が多い中で、無意識に作られている男らしさ表現というのを、あらためて実感できたと思う。
特定の広告を批判することは無いと言いつつ、グループとしては批判的・批評的な物言いではないかと感じつつ、一方でそう感じてしまうのは無意識に男性優位的な考えを持ってしまっているからか、とも考えてしまう。 まずはこういった視点もあるということを知っていくことが大切かなと感じた。