あらすじ
いざというとき保険は頼りになるか? ネット生命保険会社の副社長が、がん保険に纏わる「迷信」を一刀両断。正しい知識を持てば、いたずらに不安にかられることなく年齢やライフスタイルに合った選択ができると説く。さらに、がん保険を語るうえで避けて通れない民間医療保険が抱える問題、公的医療保険との関係にも言及。これからを賢く生きるための必読書。
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Posted by ブクログ
ライフネット声明を立ち上げた岩瀬大輔氏によるがん保険についた書いた一冊。
日本でなぜがん保険が売れたのか、そして本当にがん保険に入る必要があるのかについて非常によく知ることができた。
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ライフネット生命創業者 岩瀬大輔氏が13年前に「医療保険」について説明した本。岩瀬氏の本は何冊か読んだことがあり、以前からすごい人だと思っていたし、ライフネットを評価の高い保険会社に作り上げた功績は大きいと思うが、もっと大きく成功できると思っていた。既得権益に切り込んでいくことは、やはり難しいのだとつくづく思う。本書は、医療保険について専門家の視点から解説しており、とても役に立った。13年も前の本なので、新しい情報にアップデートしていきたい。
「「消費者は必要以上に煽られているのではないか」という思いからがん保険よりも、まずは貯蓄と医療保険による備えを優先するべきではないか、と訴えてきた」p8
「がん保険は北東アジアでしか流行していない。欧米では心臓病や脳梗塞など、他の病気に関する保障も含めた「重大疾病保険」として販売されている」p11
「がん患者が直面する課題として、①カラダ、②ココロ、③経済的負担、という3つの問題が挙げられます。このうち①と②に関する書籍や情報はたくさんありました。というか、ありすぎて、選択できないくらいです。ところが、③に関する情報は、最近ようやく巷で取り上げられるようになってはきたものの、まだ十分とは言えません」p26
「そもそも保険とは、「①起こる確率は低いが、②起こったときに大きな経済的損失を被る事故に対して、③皆で少しずつのお金を出し合って備える仕組み」である」p26
「(後田亨)全体としてがん保険の必要性について慎重な姿勢を見せつつも、一括で大きなお金が入る診断給付金については大きな効用があると述べている」p59
「(一般診療医療費総額)がんにかかわる費用は3.3兆円、全体の13%と2位を占めているが、それ以外にも循環器系の疾患(5.3兆円、20%)、呼吸器系の疾患(2.0兆円、8%)など、いくつもの傷病がある。つまり、がん以外の病気の治療にも多額の医療費がかかっているのである(2021年データでは、循環器系の疾患:18.9%、がん:14.9%)」p69
「年齢が高まるにつれて保険の機能は弱まっていく(費用対効果が悪化)」p72
「近年、がん保険を含む、民間医療保険(いわゆる第三分野)は大きく成長を続け、今では生命保険における年間新契約件数の4割近くを占めるに至った。かつてはニッチ産業だった医療保険は、いまや生命保険の主役に躍り出ている(2024年新規件数で25.5%(件数で第1位、金額では終身、定期に続き第3位)」p92
「医療保険の発展は、1996年の新保険業法で導入された規制緩和と自由化の結果」p99
「(正しいものが売れるわけではない)本当に必要な保障は、日帰り入院や、1泊2日の入院ではない。短い入院であれば、わざわざ手数料を払って保険で保障してもらう必要がなく貯蓄などで十分対応ができる」p99
「(宮地朋果)保険商品のわかりにくさを遠因として、現在、保険商品を選択する際には、保険商品それ自体の中身よりも、会社のイメージや、新聞、テレビ、ラジオなどの広告、営業職員の勧めやその人となりなどの方が大きな決定要因になっていると考えられるが、このような現状も、消費者にとって真に役立つ商品づくりではなく、消費者に買ってもらいやすい商品づくりが先行する要因になっていると思われる」p101
「医療保険については金融商品としての側面が薄く、国の社会保障の一角を担うという公的な役割が強い」p103
「(医療保険の支払い実績)医療保険で払い出されたのは、国民が払った保険料の2割以下」p104
「年金・保険は厚生労働省が監督下にあるのに対して、民間保険は金融庁の監督下にあり、その監督の主眼はあくまでも、「保険会社の財務的健全性を確保する」ことに置かれている。5兆円の医療保険のフローを最適化するという視点は必ずしも組み込まれていないのである」p106
「保険料は、「純保険料」:将来の保険金などの支払いに充てられる、と「付加保険料」:人件費・店舗費・手数料・広告宣伝費などに充てられる、の2つの要素により成立している」p107
「医療保険は、疾病構造、医療技術、公的医療保険制度、平均寿命の延びなど、多くの不確実な要素が関わってくるため、長期にわたるリスク管理が難しい」p110
「高齢になれば誰しも病気に罹るし、介護が必要となろう。これらは決して予期しない不慮の事態ではなく、誰にも現実に起こりうる事象だ。起こることがわかる事柄に対して備えるのには保険ではなく、貯蓄が向いている。したがって、若いうちは民間医療保険で医療リスクに備えることができても、高齢になってからは自分の貯えでかなりの部分をカバーするつもりでいるべきだ」p116
「(医療費負担の内訳)財源を見てみると、企業と勤労世代が支払う保険料が18兆円(50%)、国と地方政府による補助が13兆円(36%)、高齢者を含む患者の自己負担は5兆円(14%)に過ぎない(2022年、保険料50%、国と地方政府38%、患者本人12%)」p118
「社会保障制度は公務員、ついで大企業といった順で充実していった。ここでは、公費による補助を前提としていなかった。次に、中小企業も同様の制度の設立を希望するようになった。もっとも、彼らは公務員や大企業と比べて財政的に豊かではないため、国による支援が必要となる。そこで、公費負担によって中小企業にも社会保障制度が広がっていった。さらに豊かになると、サラリーマン以外の人びと(自営業、農林水産業、無業者)も同じような制度創設を望み、それが公費投入によって設立された。公費投入が行われるというのはすなわち、本質的には財政が豊かなサラリーマンや公務員から、自営業者や農林水産業従事者への所得再配分に他ならないということである」p127
「(島崎謙治)日本の医療政策の最大の失敗は1972年の老人医療費無料化であり、『社会的入院』の増大など医療供給に大きな弊害をもららした。これは甘い政策を打ち出すと元に戻すことが困難であることの典型例であり、原則1割負担にするのに30年の歳月と労力を費やした」p128
「現役から退いた高齢者には原則として生命保険は必要ない、と考えている。長期加入してきた生命保険がある場合は解約して、その資金を老後の生活費に充当すべきだ」p141
「老後生活において死亡保障は不要と考えるべきだ。家族のために加入していた生命保険は解約していいだろう」p144
「最近では、持病を持っている人でも入れる保険が増えている。とはいえ、保険は慈善事業ではない。リスクが高い人でも入れる保険というのは、支払に様々な条件が付いていることに注意を要する」p149
「(要介護状態の期間)54%の人が4年未満で終わる(死亡する)。31%の人が4年から10年未満となっている。10年以上、要介護状態が続いている人は13%である。介護期間の平均は55か月、約4年半となっている」p155
「(就業不能保険と収入保障保険の違い)収入保障は「働けなくなったとき」ではなく、あくまで「被保険者が死亡したとき」に支払われる保険(死亡保険は一括支払いだが、収入保障保険は、保険期間満了まで分割で支払われる)」p163
「生命保険はとても不思議な商材である。営業の人に追いかけられているうちは入りたいとは思わないかもしれないが、健康などを理由に加入を拒否されると、無償に入りたく、不安を感じてしまうのである」p215
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2-3人に一人はがんで死ぬ時代と言いつつ、30代でガンで死ぬ人は、40-50人に一人という事実。80代に入ると4人に一人はがんにかかるのでそもそも、それでは保険として成立しないでしょう。当たり前のことを気づかせてくれる。
Posted by ブクログ
実質的には、著者自身も認めているように「医療保険のカラクリ」である。
・がん保険に経済的な意味は見いだせない。
・老後の医療は保険ではなく貯蓄でカバー。
・収入保障保険はやはり必要。
保険購入を考えている人や、保険業界を知りたい人向け。
Posted by ブクログ
民間保険全般について知識を得られるという点で非常に良本でした。
数字やグラフなどが多く出てくるため、保険の金額や医療費についてよく理解できます。
タイトルはがん保険ですが、がん保険を扱っている部分は1/3ほどで、民間保険全般が学べます。
Posted by ブクログ
パラパラとすぐに読めた。ガン保険=アフラックなんだということを再認識。
そして、ガン保険はいるかもしれないし、いらないかもしれない。ようは個人のリスク管理の考え方、ということ。カラクリはわかった上で安心のためや運用のめんどくささ回避に金を払うかと。
でも入るなら、診断給付金の回数が大事ということ。複数回払ってくれること。
年寄りに生命保険は要らない。リスクをみなで分散するという考え方に反しているので得しない。
働けなるリスクを考えなさいね。
最後付近は宣伝に近いけど、それを割り引いてもライフネットの商品に興味が持てたね。何を思って商品を開発したかが客に分かると血の通った商品のような気になる。これも岩瀬さんの作戦かもしれないけど。
Posted by ブクログ
ガンの罹患率、40歳代男子2%、60歳代男子14%、70歳代男子26%(死亡率11%)
高齢化の影響を取り除くと、ガン死亡率は過去50年変化なし
高額療養費制度で自己負担上限が月9万
胃ガンの自己負担額1年目43万、2年目以降5万
2011年保険料は約5兆円、給付金は約1兆円
2009年の医療費は約36兆円(保険料18兆円、税金13兆円、自己負担5兆円)、65歳以上が55%、毎年1兆円増加
いざという時に医療費に回せる貯蓄が数百万円あれば、医療保険は必要ない
Posted by ブクログ
ネット生保の副社長による,医療保険入門。保険全般,高額にも関わらず内容を理解せずに契約してる人が多い不思議な商品だが,特にがん保険に代表される医療保険は,公的保険のキモである高額療養費制度の存在を感じさせない煽り文句で宣伝される。その現状に一石を投じるのは有意義。
Posted by ブクログ
ライフネットのセールスになってしまうが、情報として役立つこと間違いなし
十分理解してたつもりだか、原理原則は実はわかってなかったかも
しかし、家族が情緒的だと、説得が難しいんだよな~
Posted by ブクログ
保険に関して、考えさせてくれる良い書籍である。
一番重要なのは、自分たちの生活にはどのようなリスクがあり、そのリスクの中のどれに対して、いくら支払って、何を保障してもらっているのかを理解することです。
言い換えると。あなたはどんな保険に入っていますかと聞かれて、ちゃんと答えられることが一番重要だと思います。
生命保険、医療保険、ガン保険など多くの種類の民間保険に、入っている人が多いと思いますが、まずは、健保/国保によって保障される内容を理解し、その上で何が必要なのかを考えた方が良いと思います。
起こりえる可能性をいろいろと考え、必要な保障を決めることが重要です。
・死亡すること
・けがをすること
健保にはいっているかどうか
けがの治療に18ヶ月以上かかるかどうか
・ガンにかかること
ガンで死ぬ/ガンが直る
保険を売ることを生業としているファイナンシャルプランナーと生業としないファイナンシャルプランナーの両者に相見積もりをとるのがベストな方法なのかもしれません。
本書は、がん保険という名前がついていますが、保険全体を対象にした本です。
2009年に「生命保険のカラクリ」というタイトルの書籍を出しており、かぶらないようにがん保険というキーワードを使ったのかもしれません。
この書籍の作者は、ライフネットというネット上の保険会社です。保険を提供する側の人間の意見であることに注意が必要ですが、最後の章で新しい医療保険を模索しているところに好感が持てます。
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書籍メモ
まず、ガン保険についてですが、国保(健保)の手厚い保険内容からするとわざわざガン保険に入る必要はなく、むしろ貯蓄に回していた方が良いというのが結論です。ただし、実際、ガンにかかった人からは、「治療費が高額化、長期化しやすいガンだからこそ、それに特化したガン保険に加入して備えていた方が良い」という意見もあります。ガン保険にいくら払って、その見返りに何を保障してもらえるのかが見合えば、価値があると考えられます。
民間のガン保険と医療保険に払った金額5兆円のうち、払い戻しがあったのは1兆円。
残りの4兆円はどうなったのか?
生命保険
・死亡による所得損失(死亡保障)
・病気の夜医療費支出(医療保障)
・長生きのための費用(生存保障)
保険の販売を生業としないファイナンシャルプランナー(家計の専門家)のコンセンサスとしては、「いざというときに医療費に回せる貯蓄が数百万円あれば民間医療保険は必要ない」という結論になっている。
老後の生活に生命保険は必要ない
医療費の負担
企業と勤労世代が払う金額:18兆円(50%)
健康保険
国と地方行政による補助:13兆円(36%)
国民保険
高齢者を含む患者の自己負担5兆円(14%)
後期高齢者保険
働けなくなるリスク
就業不能保障保険
ディスアビリティ保険
本当に必要になるのは、医療費ではなく、働けなくなって収入を失うこと
目次
・ガン保険とは何か
・医療保険の課題
・老後の生命保険
・働く人の生命保険
・消費者は生命保険を理解していない
・新しい時代の医療保険
Posted by ブクログ
保険の仕組み、出発点について考えると、自ずと自然な保険のあり方、加入の仕方が見えてくる。後半の保険とは・・・という部分がこの本の真の主題である。
Posted by ブクログ
貯金を増やす。
それに尽きる。
保険はムダである。
本書は、がん保険の無駄をあばいている。
但し、健康なうちしか入れない保険の特性から、早期に入会すべき人もいる。
感慨深い本でした。
Posted by ブクログ
がん保険に限らず、医療保険全般についてわかりやすく解説している。
就業不能や治療費の支出といった想定されるリスクと、それに対する公的な社会保障、それを補完するための民間医療保険がどうあるべきか。これはつまり、ライフネット生命の商品開発の経緯でもある。
保険を選ぶ際にどういった観点から自分に合う商品を選べばいいのかわからなかったけど、なんとなくわかった気がする。
Posted by ブクログ
前作は主に生保についてだったが、今回は医療保険に関する内容。
今回もまた保険初心者にもわかりやすくて面白かった。
人生の各フェーズにおいてどのような保険に入るべきで、どのような保険には入るべきでないか、を検討する上でとても参考になる。
前作と併せて読むことで保険への理解を深められると思う。
*保険の本質は「発生する確立は低いが、起きたら経済的損失が大きい事故に備えるために、大勢で少しずつお金を出し合って備える」ことにある。
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MEMO:
p37
わが国の医療制度は、標準的な医療を選択している限りは、健康保険の給付対象となる。
p99
消費者にとって本当に必要な商品が売れない。
短い入院であれば貯蓄で対応できるはずだが、消費者には割高でもすぐ払ってもらえる商品が売れる。
p107
純保険料+付加保険料(人件費・店舗費・手数料・広告宣伝費)=支払う保険料
死亡保険において純保険料は各社ほぼ一定。付加保険料は各社のビジネスモデルにより異なる。
p114
公的医療保険は強制加入である。保険料は所得比例である。病弱者であることを理由に加入を拒まれたり、高くなったりしない。税による補助があるので割安。
民間の任意保険を選ぶ前に公的な医療保険制度を理解すること。
p118
健康保険制度は大きく分けて5つ
・組合健康保険(大企業)
・協会けんぽ(中小企業)
・共済組合(公務員)
・国民健康保険(自営業)
・後期高齢者医療制度(75歳以上)
p116、p141、p143
現役から退いた高齢者には原則として生命保険は必要ない。高齢になれば誰しも病気にかかるし、介護が必要になる。起こることがわかる事柄に対して備えるには保険ではなく、貯蓄が向いている。
p144
定年後は子どもは独立しているし、世帯主が亡くなっても残された配偶者に年金は支給され続ける。老後の生活はこれまで形成してきた資産と、年金に頼ることになる。したがって死亡保障は不要と考えるべき。
p148
高齢者はそもそも医療費の負担金額はさほど大きくない。
ファイナンシャル・プランナーのコンセンサスとしては「いざというときに医療費に回せる貯蓄が数百万円あれば、民間医療保険は必要ない」という結論になっている。
p157
民間介護保険はそれほど保険性が高くない。支出を合理的に減らして、手元の現金を増やすことの方が大切。
p162
「就業不能保障保険(ディサビリティ保険)」
死亡保障ではなく、働けなくなるリスク(障害状態)に備える保険。
p102、p210
医療保険は終身保障が主流だが、医療技術も制度も変化していくなか、超長期の保障内容を固定するのは望ましくない。終身保障より短期保障のほうが理想的。
p212
現役世代の保険の入り方
・独身の間は死亡保険は不要。むしろディサビリティ保険が必要ではないか。
・結婚したり子供ができたら死亡保険に加入すべき。子供が就職したら解約してよい。
p217
生命保険は、まだ貯蓄が無い若い世代を守る、いわば「時間を買う」ためのものなのだ。いずれは卒業するつもりでいるべき。