表題作「品川心中」をはじめ、名作落語5篇が小野塚カホリによってコミカライズ。落語をモチーフに江戸に生きる人々の姿が活き活きと描かれている。
「人間の業を許しているのが落語だ」とは、作者のあとがきに引用されている立川談志の言葉。そもそも落語とは、庶民や大衆のための芸能として発展したもの。したがって、そこで語られる話の中心人物は、本来ならば物語の主役にはなりそうもない、ごくごくフツーの一般人である。人間とは、一時の感情に任せて愚かな行動をとってしまう生き物。現代で生きる私たちも同様だ。恋する人のために他人をだましたりするし、嘘がばれたら開き直ったりする。時が経っても変わらない、人間の弱さや儚さがテーマであるからこそ、現代の私たちも落語に共感することができる。
それにしても、小野塚カホリの繊細なタッチで描かれる和服の人は、男も女も美しく綺麗でうっとり。
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Posted by ブクログ 2011年02月12日
『品川心中』『子別れ』『文違い』『真景累ヶ淵』『紺屋高尾』所収。落語をモチーフにしつつ、切なくて悲しくて綺麗で、そして最後に救いどころがあるストーリー。
品川宿のお染も、新宿宿のお稲も、もちろん吉原の高尾太夫も、とびきりいい女で腕っこきの玄人女だけど、芯に純真なところがあるのが嬉しい。
話は古典的なので知っているが、もう少ししっとりと重ために描いて欲しかったです。
段々どの話も登場人物の顔が似てくるのは、この時代の髪型や服装的に仕方がないか…。