【感想・ネタバレ】穢れなき者へ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

メイン州の島の沖で七つの遺体を乗せたヨットが見つかり、発見者のイズレルに容疑が向けられる。彼には実父殺害の過去があった。一方、隣の島では少年ライマンが、父親の暴力に耐えかね逃げ込んだ廃屋で、手斧を持つ謎の娘と遭遇していた。それぞれに孤独な三つの魂は、やがて船上の殺害事件と深く関わることに……。S・キング激賞の気鋭が圧倒的筆力で描き上げた感涙のミステリー・ドラマ。(解説・池上冬樹)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

アメリカの作家、マイクル・コリータの十年ぶりの新刊。過去作は早川書房から探偵ものが一冊、東京創元社からサスペンス一冊、ホラーが2冊。特に東京創元社の「夜を希う」が好きで、楽しみにしていた作品。

父親を殺し服役していたイズレル・パイクは、仮釈放を機に故郷の島へと戻る。当然歓迎されるわけがなく、特に保安官補の叔父スターリングとの軋轢は酷い。一方、父親から虐待を受けるライマン・ランキンは、隠れ家にしている空き家で斧を持った女性と出会い…

個人的には今年の新作の中でも上位。主要キャラのイズレル、ライマンの過酷な人生は読んでいて辛いものがあるが、だからこそラストの余韻が非常に良い。
主要キャラへのストレスのかかり具合が強いので、合わない人には辛いかもしれないけど、この物語がどう収束するのかを楽しみに読んでほしい。
冒頭、いきなり大量虐殺が行われているが、正直犯人探しがメインではない。過酷な人生を送る者たちがどうなるのか。その行く末を堪能する、おすすめの一冊。

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

穢れなき者が生きる物語。
権力を持つ者と、何も持たない者。立ち向かうにはあまりにも弱い存在だろうが、それでも自分の心を強く持ち、そして行動を起こす者たちの強さがあった。
裏側に潜む、目を背けたくなるような犯罪。権力や立場を利用した者たちの悪事。ただ、普通に生きたいだけなのに。一度絶望すれば、希望を持てなくなるのも当然だった。
それでも、何もなくても、信頼したいと思える人がいれば、少し強くなれる。生きる世界に、ただ、少しでも、光があることを願った。

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2025年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

十五年の服役を終え、故郷の島へ帰って来てまだ9週間の主人公イズレルが入江にたゆたう7人の死体を乗せた船を発見するところに始まる。
捜査にやってきたのは島の保安官の叔父と郡警察重大犯罪科の女性警部補サラザール。
サラザールとは初対面を装う意味深な関係性、そして陰で交わされる何処かへ消えた″彼女たち″のワード。

事件への直接的な関与、有罪の疑いは無さそうなものの、何やら水面下の秘密がある模様。
回りくどい核心を避けた会話をするものだから気になってしょうがない。
頑張って想像してみるけど、全然絵姿が浮かばない。

小規模なコミュニティで起きたショッキングな事件と水面下で動いている企み、この2つが牽引する序盤。
このまま引っ張るのかと思いきや、割と早い段階で構図が明らかにされる。
それまではサスペンスっぽかったテイストが、そこからは島社会の秘密を巡り巨悪と向き合う冒険小説みたいに感じた。

ページ数の割にはするすると進むので物語としては分かりやすい口なのだが、逆に何か大きな謎があるわけでもなく、何となくありがちな話に終始し、際立ったオリジナリティは感じなかったかな。
イズレルの善良性、子ども達の一瞬の姿を収めた写真から滲み出る希望、このあたりをもっと押し付けがましいくらいに出してくれても良かったのかも。

相打ちからの命からがらで奮闘する最終盤は予定調和すぎて流し読みだったけれど、少年が″跳ぶ″シーンだけはぐっと希望を感じるものがあった。

予定調和を感じ始めたときに「はいはい」と思ってしまうものと、それでも読まずにはいられないものの差って何なのだろうと意識が脇道へ。

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2025年12月28日

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