【感想・ネタバレ】穢れなき者へ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

メイン州の島の沖で七つの遺体を乗せたヨットが見つかり、発見者のイズレルに容疑が向けられる。彼には実父殺害の過去があった。一方、隣の島では少年ライマンが、父親の暴力に耐えかね逃げ込んだ廃屋で、手斧を持つ謎の娘と遭遇していた。それぞれに孤独な三つの魂は、やがて船上の殺害事件と深く関わることに……。S・キング激賞の気鋭が圧倒的筆力で描き上げた感涙のミステリー・ドラマ。(解説・池上冬樹)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

アメリカの作家、マイクル・コリータの十年ぶりの新刊。過去作は早川書房から探偵ものが一冊、東京創元社からサスペンス一冊、ホラーが2冊。特に東京創元社の「夜を希う」が好きで、楽しみにしていた作品。

父親を殺し服役していたイズレル・パイクは、仮釈放を機に故郷の島へと戻る。当然歓迎されるわけがなく、特に保安官補の叔父スターリングとの軋轢は酷い。一方、父親から虐待を受けるライマン・ランキンは、隠れ家にしている空き家で斧を持った女性と出会い…

個人的には今年の新作の中でも上位。主要キャラのイズレル、ライマンの過酷な人生は読んでいて辛いものがあるが、だからこそラストの余韻が非常に良い。
主要キャラへのストレスのかかり具合が強いので、合わない人には辛いかもしれないけど、この物語がどう収束するのかを楽しみに読んでほしい。
冒頭、いきなり大量虐殺が行われているが、正直犯人探しがメインではない。過酷な人生を送る者たちがどうなるのか。その行く末を堪能する、おすすめの一冊。

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2025年09月09日

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