【感想・ネタバレ】戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知るのレビュー

あらすじ

一五年戦争下,途切れることなく刊行された婦人雑誌の料理記事は,銃後の暮らしをリアルに伝える.配給食材の工夫レシピから防空壕での携帯食まで,人々が極限状況でも手放さなかった食生活の知恵から見えてくるものとは? 再現料理もカラーで紹介.「食」を通して「戦争」を考えるための「読めて使える」ガイドブック!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

戦争の話をするたび、「ものがなくて悲惨だった」「食べるものがなくて常に飢えていた」等の話を聞くたび、そんな話じゃなくて戦争の本質について話を聞きたいと思っていましたが、戦争時の食糧難の話は私の想像を絶していた。

この本では戦前の食事情から始まって日中戦争がはじまったころの節米食、太平洋戦争に発展してからの食、空襲が始まってからの食、敗戦後の食についてを当時の体験談や婦人雑誌のレシピなどから食事情をあぶりだした本です。

読みはじめは楽しかったです。洋食が庶民に浸透し、当時の雑誌にもおいしそうなレシピがいろいろと掲載されていたようで、興味を惹かれるものもありました。
日中戦争下の節米食もまだまだ楽勝レベルというか、節米食として食べていたのがうどんにそば、炊き込みご飯にお好み焼きって・・・このメニュー、家族が喜ぶよなんて思って読みました。

ところが戦況が悪化すると食事情が悪くなったというのはすでに知っている話ですが、敗戦前後の食事となるとドラマでよくあるすいとんや雑炊でさえごちそうに思えるほどひどく、私の想像を超えていました。
食材がなくてその辺の雑草でさえ貴重な食糧だったというのはよく聞きますが、少ない食材を増量するために粉にしたり、すりつぶしてドロドロにしたりして調理して食べていたというのはレシピを細かくみないとわからなかったこと。そして調味料も少ないのでケチって使うことになります。当時の人たちは食感も味もないものをひたすら生きるために食べ続けていたということなのですね。

本の最後のほうに「戦争はなぜ食糧難を招くのか」について書かれていました。もううなずくことばかり。当時の日本政府も日本軍も食料の調達について完全にナメていたということなんですね。とどめに書かれていたのが「食糧がなくなることが戦争だ」
そうかもしれない。
「食べ物がない」「飢え」総力戦だった戦争の本質とはこれだったのか。

ちなみに「当時の婦人雑誌なんて金持ちしか読んでないのに、そんな資料が参考になるのか」という話が出てきますが、筆者いわく、「当時の食生活をそのまま反映しているわけではない。その時々の条件で、最も気の利いたレシピを提示するのが婦人雑誌の役目。なので、ここに掲載されているレシピが悲惨さを帯びていると、当時の人々はもっと悲惨な食生活を送っていることになる。精いっぱい頑張った上限が「これ」。これで全体のレベルが推し量れる」
納得。

頭でっかちに戦争を考えていた私はこの本で考え方が変わりそうです。

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2018年08月27日

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