【感想・ネタバレ】鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイスのレビュー

あらすじ

希望の光か、時代の徒花か――。第二次世界大戦目前、大艦巨砲主義から航空主兵主義へと戦略思想が移ろうなか、米英海軍に対抗するため計画された世界最大最強の戦艦建造。
絶対不可能と目され、54名の殉職者を生むこととなった大プロジェクトに挑んだ青年たちは何を夢見ていたのか?
戦後80年を機に、歴史小説の第一人者が万感の想いを込めて描く畢生の大作!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【鋼鉄の城塞】 伊東 潤 著

 戦艦「大和」の建造ストーリーで、ほぼ一気読みコースでした。『戦艦大和ノ最期』やレイテ海戦などは多数出版されていますが、大和建造の物語はあまりないのではないでしょうか(と、思ったら、巻末の「参考文献」には結構あげられていました)。

 著者は本当によく調べていて、戦艦の建造、特に大和のように極秘レベルでの建造が如何に難しく大変なことかがよくわかりました。「ワシントン条約~ロンドン条約」で戦艦の数が制限されるなか、ひとつの戦艦の装備を如何に充実させて対抗するかの苦闘が書かれています。

 前半は技術者としての苦闘を、後半ではロマンス、ミステリーを織り交ぜての進行(戦艦「陸奥」が爆破・沈没した事例も仮説を提示していますが、これはなかなかに大胆)。「ヤマトブジシンスイス」の副題にあるように建造から進水が中心となるため、「戦艦大和ノ最期」は簡略に書かれていますが、本書を通じ、先人の苦労と英知には頭が下がります。山本五十六など実在の人物と「架空の人物」を織り交ぜての小説となっていますが、建造そのものが如何にドラマティックかということが理解できる一冊です。

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2025年09月08日

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