【感想・ネタバレ】三池炭鉱の社会史 石炭と人の近代のレビュー

あらすじ

三池炭鉱は,近世の藩営による開坑から明治維新後の官営化,さらに三井財閥への払下げを経て,一九九七年の閉山に至るまで,日本の近現代史に独特の痕跡を刻んできた.資本主義の発展や戦後復興を支え,国策に左右されながら展開してきたその歴史的経験の全体像を,労働争議と地域社会のかかわりに注目しつつ通史的に描く.

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Posted by ブクログ

 世界が大航海時代を迎えた15世紀、福岡県大牟田市の稲荷山で「燃ゆる石」を発見したとされている石炭。日本一の出炭量を誇り、国策に左右されながら近代化・機械化、日清・日ロの両戦役、2度の世界大戦のエネルギー源として、戦後復興の経済を支え、1997年に閉山した三池炭鉱。明治の囚人労働、馬匹使役、女性も巻き込んだ過酷な労働と労働争議は絶えることなく続く。石炭から石油へのエネルギー転換期、1959~1960年の三池闘争で地域住民や全国的な労働争議団の支援で闘われた大争議は総資本対総労働と言われ、安保闘争と共に闘われた。炭鉱労働者の合理化削減による安全軽視は、1963年の炭塵爆発により400人を超える死者、800名を超える一酸化中毒患者を生む甚大な被害をもたらした。本書は、三池炭鉱と地域社会の結びつき、経済や街の盛衰、労働争議の国内動向と三池炭鉱の労働運動など社会背景も含め多面・複眼で検証し、三池炭鉱の政治・社会史を詳細にまとめている。三池炭鉱は、明治には囚人労働などにより、膨大な利益を得た。また、アジア・太平洋戦争期は、朝鮮人や中国人の強制連行などによる強制労働は過酷を極め、多くの犠牲者を出し、現在も慰霊祭が行われている。また本書には記載がないが、欧米などの連合軍捕虜に対する強制労働も行われており、国内におけるBC級戦犯処刑(絞首刑)の1、2号が三池の捕虜収容所関係者であり、捕虜に過酷な労働を強いた捕虜虐待にあることを付け加えておきたい。

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2026年03月22日

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