あらすじ
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占領、封鎖、爆撃、飢餓…。あらゆる人道的危機に苦しみ続けるパレスチナ。ガザやヨルダン川西岸地区に一体何がおきているのか、なぜこんな事態になってしまったのか、私達に何ができるのか。パレスチナの地をめぐる歴史を紐解きながら、約30年にわたってパレスチナに関わってきた著者が小学生にもわかるようにやさしく解説します。親子で読みたいパレスチナ入門書。世界から「無関心」がなくなることを願って刊行しました。
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Posted by ブクログ
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師、朝日新聞コメンテーターの高橋真樹が書いた現代のパレスチナ問題についての本。タイトルに「ガザ」とあるが、「ヨルダン西岸地区」についてもしっかりページが割かれている。この本の執筆のきっかけは2023年10月7日、パレスチナのガザ地区にいるハマスという組織が壁を越えてイスラエルの村を襲撃したことによるためだという。タイトルに「ガザ」がきているのはそのためだろう。
「2023年10月7日の事件をきっかけに、マスメディアやYouTubeなどで「よくわかるパレスチナ問題」といった解説がたくさん流れた。でも、いいかげんな内容や、誤解にもとづく情報も少なくない。まちがった情報でも、多くの人が事実だと思いこむと、それが一人歩きしてしまう。だから僕はこの本を書いた。」(高橋真樹「もしも君の町がガザだったら」p.27より)
2023年、ニュースでこの事件が報じられる度に、ハマスのことを「ガザ地区を実効支配する武装組織」だと説明するのを不思議な言い回しだなぁと思っていた。「テロリストが統治をしている国があるっていうこと?」とAIに聞いてみたのだが、返ってくるのはおかしな回答ばかりで、もっと意味が分からなくなった。そんなことをしていたら家族が池上彰の「20歳の自分に教えたいイスラム世界」という本を勧めてくれた。それを読んで頭の中の中東情勢が少し整理できた。私はエルサレムをイスラエルの首都だと思っていたくらい、中東へのイメージがぐっちゃぐちゃだった。ハマスという奴らが武力を行使してガザの人々を壁の中で支配しているのかと思っていたのである。ガザはパレスチナに2つある自治区のうちの一つで、もともとハマスはガザの自治政府の中心組織だと知った時、衝撃だった。
「攻撃したのはハマスというイスラム武装組織です。ハマスはそもそもイスラエルという国を認めておらず、これまでもたびたびイスラエルに攻撃を仕掛けてきました。そのためアメリカや日本はこの組織を「国際テロ組織」に指定しています。」(池上彰「20歳の自分に教えたいイスラム世界」p.18より)
「テロ組織」とは他国に「指定」されるものであるということを知った一節だった。たしかに自分たちのことを「テロ組織です。」という組織なんて所属メンバーのモチベーションが持続するわけがあるまい。
池上彰の「20歳の自分に教えたいイスラム世界」は各国の言い分が衝突する部分をかなり大胆に削って、因果の起点をさらり、さらり、と書いてある本だった。この本を読むと、どうしてイスラエルみたいな小さな国がこんなに国際的に存在感があるのかをスッと理解することができる。
一方、高橋真樹の「もしも君の町がガザだったら」という本は「パレスチナ問題」を真ん中に据えて解説をした本だ。池上彰が「20歳の自分に教えたいイスラム世界」で、オスロ合意の後、パレスチナはこういう風になってしまいました程度の説明で済ませていた部分を、高橋真樹は「オスロ合意」というものがパレスチナの人々にとってどんな問題がある内容であったかを説明する。加えて、イスラエルの行ってきた国際法違反を示し、「自治」という名で見えにくくなっているという「統治」の現実を明らかにする。
この本を読んで、先ほど引用した池上彰「20歳の自分に教えたいイスラム世界」の「アメリカや日本はこの組織を「国際テロ組織」に指定しています。」という一文をより重く感じるようになった。
「もしも君の町がガザだったら」の表紙を開くとカバーの折り込み部分に「ガザから世界を見てみると、ちがう景色が見えてくる。」という文が書いてある。「この視点」から読む本として、中高生から読める内容にするために多くの気配りがされており、文体として読みやすく、写真や地図等もたくさん入っていて、資料としても充実している。主張の芯は明らかながらも押しつけがましさがない。書き手の信念は強くあるけれど、最終的には読者の自発的な思考と行動に委ねてくれている。色々な「わたし」に分け隔てなく、広くに向けて書かれている良い本だ、と思った。
「いろいろな立場の話を聞くのはいいことだ。でも、「パレスチナ寄り」「イスラエル寄り」と分けて考えているかぎり、大事なことは理解できない。」(高橋真樹「もしも君の町がガザだったら」p.234より)と書いているのが特に印象に残った。パレスチナ自治区の状態がかつて南アフリカ共和国であった「アパルトヘイト」と似ている、と筆者は引き合いに出す。
「その時代に「アパルトヘイト反対」といっても「黒人寄り」と批判されることはなかった。ポイントは白人の味方か黒人の味方かではなく、人種差別への反対だからだ。「黒人寄り」とか「白人寄り」という立場は存在しない。」(高橋真樹「もしも君の町がガザだったら」p.235より)
いま一度、この時代に何が脅かされているのか、良く考えたい。
この先は、「もしも君の町がガザだったら」の感想からはちょっとずれてしまうのだけれど、このテーマについて考えたきっかけはもう一つある。
「もしも君の町がガザだったら」を読もうと思ったのは、2026年2月28日にアメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始した、という報道があり、自分の中で再度中東情勢を整理したくなったからだ。池上彰の「20歳の自分に教えたいイスラム世界」をもう一度読むことも考えたのだけれど、去年から池上彰の「知らないと恥をかく世界の大問題」のシリーズを読んでいて、その9巻目のエピローグにこういう文章が書いてあった。
「私はこれまで、「どんなニュースもわかりやすくできるのではないか」と取り組んできました。とにかくニュースは難しいと、ニュースを敬遠している人に「こういうことですよ」と解説をすると、あくまで前段の話をしているつもりが、納得してそれでおしまいという気配が見えることがあります。それは大変、不本意です。
これからもあなたには、多様な見方や考えるきっかけを提供したい。そこから先は問題意識を持って、自らその答えを考え抜く努力を重ねていってほしいと思います。」(池上彰「知らないと恥をかく世界の大問題 9」p.216より)
この文を受け、池上彰の「20歳の自分に教えたいイスラム世界」を再度読むことは避け、「もしも君の町がガザだったら」という本を手に取った次第である。
Posted by ブクログ
宗教の問題でもなんでもなく、ただ、たまたまパレスチナに生まれただけの人の尊厳を無視し、家や命を奪われる人権侵害が行なわれ、その他の国が自国(というより政治家個人の利権)のために黙認したり支援したりしている状況に絶望してしまう。だからといって諦めるのではなく、ちゃんとNOの声を上げることが大事。
Posted by ブクログ
これは衝撃的な本。陰謀論ではないよね?
イスラエルとパレスチナの問題は本やネットで読むよりこれを読んだ方がリアルを知ることができる。国家間の争いではなくシンプルな民族浄化意識の連鎖と受け止めた。
あまりに残虐な話、あまりに酷いイスラエルの行動を見て未だに「これは陰謀論の一種ではないのだよね?」と思ってしまう、現実だとしたら目を覆いたくなるような内容である。
さて、日本ももしやそイスラエルのような事をしていないよね?と思い始めたところ、「日本にもパレスチナがある」そっち側だったか。そして読み進めて本当だ、と納得してしまった。
Posted by ブクログ
中東問題の入門書の決定版では。
子ども向けの戦争の本というと、日本の子どもがむごい目にあう話やホロコーストの話が大半だったので、待ってましたという感じ。
自分たちの国や民族が「かわいそう」だった話を読むだけでは、戦争の根本的な解決にはならない。
大人になってから読んでも間に合う。
Posted by ブクログ
青少年向けですが、内容は濃く、とてもわかりやすく、字も大きく読みやすいですし、何よりパレスチナとイスラエルのことがよく理解出来、大人にも
読んでほしい内容になっております。ぜひ。
Posted by ブクログ
映画「手に魂を込め、歩いてみれば」でガザの現状を知り、更に他の視点からもガザをみることが大事だと思って手に取った。
戦争をかわいそう、で終わらせないためには、地道だけど興味を持つひとが増やし、ちゃんと被害や残酷な現実を「あったこと」にする必要がある。
小学生向けに書かれた本なので、地政学的にも歴史学的宗教学的にも、平易な言葉で書かれており、入門書としては100点。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。どう考えてもあのガザの惨状は異常である。瓦礫の山と化したガザであるが、元々イスラエルによって閉鎖され、移動の自由ばかりでなく食料も制限されていたのだ。東京都にも満たない人口の国が、核を保有し、中東最強の軍事力を保有していられるのは、欧米諸国の応援があるからだ。日本もイスラエルからドローンをはじめ多くの軍事物資を輸入しているのだ。知っとかなきゃならないことだと感じました。
Posted by ブクログ
もしも君の町がガザだったらと問う言葉は遠い地名を一気に足元へ引き寄せる。朝学校へ向かう道が瓦礫に変わる不安を私たちは想像できるだろうか。
ニュースは数字で語る。死者何人停戦何日。しかし数字の裏には名を持つ日常が折り重なっている。
安全な場所にいる私たちは悲劇を「仕方ない現実」として受け流してはいないか。距離は思考を鈍らせ共感を薄める。
髙橋真樹の問いは立場を入れ替えよと迫る。もし君の町だったらと想像する力こそが世界を変える最初の一歩なのだ。
Posted by ブクログ
イスラエルとパレスチナの「今」と、その問題について語る本。
パレスチナの問題は、戦争も含めた長い歴史や欧米の大国の身勝手な理屈もあって、とても複雑だが、この本は、基本、子ども向けの本だから、語り口がやさしく、たとえ話などもふんだんなので、誰にとっても読みやすく、わかりやすい。
一方、子どもの本とは言いながら、イスラエルの立ち位置や人種・宗教についてなども含め、政治的なことなどにも踏み込み、問題の本質が理解できるようになっている。
また、解決のための行動についてなど、かなり具体的に書いてある。
日本にとっても、他人事ではない。
Posted by ブクログ
中学生くらいを想定して書かれた本だが、パレスチナ問題についてとても分かりやすく書かれている。過去にさかのぼって、シオニズムとは何か、ユダヤ人とは何か、日本を含めた世界の国々の対応はどうだったのか、ひとつづつ解説している。わかっているつもりでいながら、実はちゃんと説明できないことばかりだったので良かった。
とはいえ、著者の意見に染まってしまうのも危険かなぁと思いながら読んでいたが、巻末に参考にしてほしい本・映画・サイトなどがまとめられていて、良いなあと思った。
Posted by ブクログ
まだまだ難しいけれども
イスラエルとパレスチナの関係がガザ地区のこと
知らないことを知れました
単純なことではなく
昔からの歴史があってのことなのだと初めて知りました
自分には関係ない
と捉えるのではなく知ること 大事だなと思いました
もっと勉強しよう