あらすじ
かつて天才と言われたプロサッカー選手と、その家族が紡いだリアルなストーリー
槙野智章氏、原口元気選手、町野修斗選手、大推薦!
18歳で日本代表デビューをはたし、浦和レッズ、そして日本サッカー界の将来を期待された山田直輝。
しかし、度重なる大けがに見舞われ、何度も選手生命の危機に陥った。
小さくて足が遅いというハンディのなか、それでも乗り越え続け、デビューから18年経った今も、プロの舞台に立ち続けている。
いったい、彼がここまでプレーし続けてこられた理由は何なのか?
小学生時代に出会い、つねにとなりから「ヤマダ君」を見てきた妻・A子と、山田直輝本人とが交互に綴った、家族の物語。
▼第1章 湘南から岐阜へ
・蛙の大合唱
・情熱に火がついたクラブの志
・夫の異変
・最初で最後のイエローカード、ほか
▼第2章 才能を引き出す育て方
・ヤマダ家の子育て
・ボールと僕の始まり
・すばらしい指導者との出会い
・足元の技術と広い視野、ほか
▼第3章 憧れのレッズから日本代表へ
・サインを書くヤマダ君
・憧れの赤いユニフォーム
・夢にまで見たプロデビュー
・日本代表に選ばれる、ほか
▼第4章 つかみ切れなかった夢
・静まり返ったスタジアム
・玄関のドアに貼られた「浦和のハートになる」
・最大の武器を失った日々
・足を交換できたなら、ほか
▼第5章 どん底からの再生
・新しい風、新しい生活
・曺貴裁監督との出会い
・浦和での再挑戦
・覚悟の背番号10番
▼第6章 大切なのは、いつも今
・ヤマダ家の日常生活
・幼少期のサッカーで大切なこと
・ヤマダ君のとなりで
・岐阜で僕が実現すべきこと、ほか
▼特別収録 ヤマダメソッド
・父から教わった周りを見るメソッド
・遊びのなかで運動神経を育むメソッド
・父から教わったサッカーメソッド
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「おー、またサッカー選手が本を出したのか、
なら読んでみるか」くらいの軽い気持ちで読み始めたら、
ライトな文面とは異なり、かなり肉厚な内容だった本。
若くして日本代表に選ばれ、
詳細を期待された逸材だったのだが、
怪我に苦しみ、代表からは遠ざかり、
でもJリーグでしぶとく現役を続けてきた山田直輝選手と
その妻による二人の半生を綴った本。
山田選手の素朴な人柄と
妻(一般人)の引き付ける文章がにじみ出ています。
サッカーにそこまで詳しくない自分は、
山田選手のことをあまり認識していなかったのですが、
本の中で興味深かった箇所がたくさんありました。
・山田選手は、足が遅くて、身長も低い。
今のJリーグの常識からすると、
プロになるためには致命的ともいえる欠点を持っているにも関わらず、
自分の長所(ボールの扱いや俯瞰)を活かして、
プロになるだけではなく、
将来の日本を期待されるほどにまで成長したところ。
・幼少期からプロになる過程を本人が徹底的に意識しているところ。
単に練習を頑張るだけでなく、日々の日常生活でも
サッカーに役立つことを意識して行動している。
その結果がリアル・アオアシとも言える
「俯瞰」を手に入れた原点なように思えるところ。
・一見、サッカーに関係のないアクティビティも
両親が意識的/無意識的に取り入れて、
本人が役だったのではないか?と感じているところ。
手遊び・あやとり・ダンス・ぶら下がり・ストレッチ・水泳など。
実家には筋肉やヨガの図鑑まであるそうな。
自然とコーディネーショントレーニングを
行う環境が自宅にあった。
・足が遅いにも関わらず、アジリティorクイックネス?系は早い様子。
本人もそのことを意識して、自分なりに
ラダートレーニングや反復横跳びを
自主練で取り入れていたところ。
こういったトレーニングを積み重ねていたにも関わらず、
足が遅かった点は疑問が残る(なぜ?)。
本人的には、走りの専門家からのアドバイスを
貰うタイミングが遅すぎたという振り返りがあったため、
走るフォームがよくなかったのかもしれない。
・ボールタッチの感覚を磨くため、常にボールを触っている。
家で階段を上り下りするときもボールと一緒。
リフティングは回数ではなく、同じ高さのボールを上げ続けることにこだわる。
テニスボールリフティングやラグビーボールリフティングも。
(いつから(或いは、どのタイミングから)
始めたのかが、気になる。)
まさに天才を育てるためのレシピ。
凄い本です。
Posted by ブクログ
山田直輝選手は原口元気と並んでレッズの最高傑作と言って良い逸材として新人時代から注目されていたことはよく覚えてるし、1年目からJ1の舞台で持ち前の視野の広さとセンスを感じさせる身のこなしやターンの鋭さを存分に発揮していたことは長い年月が経った今でも印象に残っている。一方で度重なる怪我の報道には毎回残念な思いを抱いていた。山田直輝選手や浦和・湘南のファンでは無いが、イチサッカーファンとして常に動向が何となく気になっていた選手である。そんな山田選手のこれまでのキャリアで感じてきた複雑な思いや、何度でも這い上がるプロ意識の高さに素直に感銘を受けた。傍で支えていた奥様の視点も交えることで、怪我の多いアスリートの家族の姿勢にも触れることができた。岐阜でこれからも輝く山田選手の姿をもっと見ていきたい。