あらすじ
源内先生、べらぼうな事件の謎に挑む!
江戸を震撼させる連続殺人、不可能犯罪のトリック、田沼意次爆殺の謀議……。平賀源内の推理が冴えわたる!
*目次
萩寺の月/牡丹亭還魂記/稲妻草紙/山王祭の大象/長崎ものがたり/尼寺の風見鶏/蔵宿の姉妹/爆弾侍
〈解説〉日下三蔵
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Posted by ブクログ
NHK大河ドラマ『べらぼう』にのっかっての復刊なのか、たまたま時期が重なったのかわからないが、オビに「いよゥ、有難山のほととぎす」とあり「べらぼうな事件」などと書いてあるので、やっぱりのっかったんだろうなあ(本文ではp56で上の台詞が発せられます)。この作品が書かれたのは一九四〇年。平賀源内が北町奉行所の御用聞伝兵衛とともに、江戸で起きる事件に挑んでいく(というより絡んでいく)。とぼけた語り口が楽しく、吹き出してしまうような登場人物たちのやりとりも小気味よいが、江戸に起こる惨劇や事件はいつもの十蘭らしく、陰惨ななかにも人生の悲しさがのぞく。全八話のうち七話と八話は伝兵衛の姪・お才というヒロインに話の中心が移っていて、源内と伝兵衛は脇役にまわっている。八話では源内の思考よりもお才のほうがまさっており、源内と伝兵衛の頭脳をちゃんと継承していく者がいる、ということを匂わせて、この連作集は幕を閉じる。