あらすじ
20世紀の数学はヒルベルトを抜きにしては語れない、と言われるドイツ数学界の巨峰37歳の処女作。没後に改訂第8版が刊行されたほど、重要かつ長く読み継がれてきた書。ユークリッド幾何学の全公理を結合・順序・合同・平行・連続の5種の公理群にまとめ、相互の独立性を完全に証明した。公理論的方法が成功を収めた典型例であり、数学全般の公理化への出発点となった記念碑的著作。またユークリッド「原論」同様、影響は数学にとどまらなかった。なお本書には、論文「数の概念について」と著名な講演「公理論的思惟」を併収。【解説:佐々木力】
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Posted by ブクログ
中村幸四郎の命日に
再読。トポロジーを位相幾何学、ユークリードの体系を原論と翻訳して日本に紹介した人。この有名な論文の翻訳したとき何と未だヒルベルトは生きていた!。不変式論、整数論の大家だったヒルベルトが1898年冬学期に幾何学の基礎を講義したとき本人以外の全ての人が驚嘆した。たくさん一般的に聞き慣れない言葉が出てくる。無矛盾性、独立性、従属性、完全性、平行線公理、連続公理、非ユークリッド、非アルキメデス、デデキントの切断、カントルの基本列など。「○○を仮定しなければ△△を仮定しても□□であることは証明されない。」という言い回しに慣れてなければ、薄いけれど10頁も読めない書物でああっても、数学者はこんな言い回しの世界だけではなくて、もっとダイナミックな瑞々しい世界の住人だと世間に認知されるにはどうしたらよいだろうか?
アルキメデスの公理を仮定すれば、平行線公理を三角形の内角の和が二直角になることに置換できる。
万事こんな感じ。面白いのだが。