あらすじ
女学校に入った時から、小学校教師として敗戦を迎えるまでの「石ころのような平凡な女」三浦綾子の自伝的小説。
昭和10年に女学校に入学した「わたし」の無愛想で生意気な学校時代から、昭和14年に小学校教師になり、敗戦の翌年の昭和21年に退職するまで、生徒や同僚と関わり合いながら生活していくさまを描いた自伝的小説。軍国主義時代に、いかに世間や社会に対し無知であったか、いかに教師として無力であったかの懺悔の書でもある。
「三浦綾子電子全集」付録として、著者インタビュー「青春の情熱をかけた教師時代を省みて」を収録!
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Posted by ブクログ
三浦綾子さんの7年間の教師時代。
情熱的で頭脳明晰な三浦綾子さん。
時代が違ったらという「たら」「れば」を言いたくなる。
しかし、迫り来る戦争をどんどん肌で感じ、
最後は今まで信じて疑わなかったことを
墨で塗りつぶさねばならなくなったことを自省しやめていく。
教育愛に燃え、子どもをとことん可愛だっていた彼女だったからこそ
虚無感や失望の念が強かったのだろう。
キッパリと教師を辞める潔さ。
彼女の真摯さに惹かれる。
教師時代、炭鉱の村に赴任し、そこで働く人の子達を見て
目を見開かれていく彼女。
中でも朝鮮半島から来た子が
風呂敷を振ってサヨナラを告げていた光景が目に焼きつく。
その後日談もいい。
入学するはずだった1年生が、学校に来られなくなってしまうところも
ズシーンと響く。
夕飯を食べてお風呂に入って布団で寝ることができている自分。
そんな日常が当たり前でなかった時代の
一教師の内面がここにある。
引き込まれて一気に読んでしまった。