あらすじ
戦争中に発せられた、十四の名言から、あの戦争を考える――〈九十歳の爺さんがこれから語ろうとするのは、そんな非人間的な戦争下においてわずかに発せられた人間的ないい言葉ということになります。いや、全部が全部そうではなく、名言とはいえないものもまじりますが、それでもそこから将来のための教訓を読みとることができるでありましょう。〉(本書「まえがき」より) 昭和史研究の第一人者が、どうしても伝え遺したかったこととは ●一に平和を守らんがためである(山本五十六) ●バスに乗り遅れるな(大流行のスローガン) ●理想のために国を滅ぼしてはならない(若槻礼次郎) ●大日本は神国なり(北畠親房) ●アジアは一つ(岡倉天心) ●タコの遺骨はいつ還る(流行歌「湖畔の宿」の替え歌) ●敗因は驕慢の一語に尽きる(草鹿龍之介) ●欲しがりません勝つまでは(国民学校五年生の女子) ●太平洋の防波堤となるのである(栗林忠道) ●武士道というは死ぬ事と見付けたり(山本常朝) ●特攻作戦中止、帰投せよ(伊藤整一) ●沖縄県民斯く戦へり(大田実) ●しかし― 捕虜にはなるな(西平英夫) ●予の判断は外れたり(河辺虎四郎)
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Posted by ブクログ
戦争のことが書いてあるから難しいのかと思ったが一気読み。学校では、全く教わらない部分(私が忘れているだけ?)も多くあった。今、日本では戦争は起こっていないけど、信憑性の低い情報に民衆がほだされる、出所のわからない情報に一喜一憂するこの感じ。タモリさんが言っていた新しい戦前ナノではないかと感じてしまう。一人一人の力は小さいけれど、一人一人が考え、子どもたちに絶対に戦争を経験させないという固い意志と覚悟をまた持つことができた。歴史から学ぶということを今後も続けていきたい。
Posted by ブクログ
書籍を通じて戦争を後世に伝えることができるということは本当に素晴らしい。
決して「昔のことだから知らない」では済まされない。戦争を仕掛けた国として、そして敗戦国として、戦争を知り、戦争を学び、戦争を伝える。
地政学リスクが高まっている今だからこそ、積極的に戦争に触れていきたい。
Posted by ブクログ
戦時下に語られた14の名言を紹介する本、とのことだったが「名言」というよりも「戦時下に放たれた、現代の私たちにのしかかる言葉」の集積、という印象だった。
なぜその言葉が語られたのか、その背景を簡潔にまとめながら、戦争というものがどれだけ人を無意味に殺してきたか、物語る一冊。
Posted by ブクログ
半藤一利さんの「戦争というもの」を読みました。
率直な感想としては、読みやすく加工されたヘビーな作品といった感じで、180ページほどで戦争の残酷さを生々しく記載した本でした。
暴走する軍部、徴兵され命を落とす国民。戦争はこれだけの命を費やすほど大切なものなのか。なんともやりきれない気持ちになります。
特に印象に残ったのは、日本が戦争に突入するまでの流れのところです。本でいうと序盤ですが、自業自得の面も大いにあるとはいえ、日本がいかに追い込まれ、戦争に入っていったのかがよくわかります。この国際社会で『孤立』するリスクが痛いほど理解できました。
今年は戦後80年。戦争を経験した人はかなり少なくなってしまったと思います。ただ、戦争がどれだけ恐ろしいことかは未来に繋いでいく必要があります。
この本は戦争について考え直すきっかけを与えてくれることでしょう。本も薄めなので、ぜひ読んでみてください。