あらすじ
村山斉さん(東京大学Kavli IPMU初代機構長)絶賛!
「宇宙から来るメッセンジャー。
ブラックホールの内部や星の爆発を探る、
宇宙線研究者の壮絶な戦い」
素粒子、ビッグバン、生命進化――
すべてのカギは宇宙線が握っていた!
1912年の気球実験で存在が明らかになって以来、はるか宇宙の彼方から届く「謎の手紙」として、宇宙物理学者たちの好奇心を刺激し続けてきた「宇宙線」。その研究からは、「反物質」や「素粒子」の発見、46億年におよぶ太陽活動の歴史、巨大な物質を透視する「ミュオグラフィ」など、さまざま科学的叡智が生み出されてきた。本書では、世界的な話題を呼んだ“最強クラスの宇宙線”「アマテラス粒子」を発見した宇宙物理学者が、宇宙線研究100年の軌跡とその最前線を伝える。
【目次】
序章 アマテラス粒子の衝撃
第1章 宇宙から送られた「謎の手紙」
第2章 こんなにすごい宇宙線
第3章 「もっとも高いエネルギー」を追い求めて
第4章 最強の宇宙線、未知なる正体
第5章 天文学のパラダイムシフト
終章 2040年代の宇宙線天文学
「244エクサ電子ボルト」の衝撃/「アインシュタインの正しさ」を裏づけた宇宙線/「宇宙最強の粒子」と「宇宙最古の光」の衝突/生命は宇宙線が進化させた?/ピラミッドや火山を透視する「ミュオグラフィ」/「宇宙線の化石」からわかる太陽の歴史/天文学のパラダイムシフト……etc.
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
数年前にニュースになっていた「アマテラス粒子」の研究者の方が書いた書籍で、
X上で見かけて購入した書籍である。
「アマテラス粒子」のニュースを見たときには「なんじゃその中二病的な名前は」と思っていたが、その粒子を検知する手法や、それがどれだけ検知することが難しく、なおかつ、理論的説明が難しいモノと知り、宇宙線天文学の面白さを知ることが出来た。
Posted by ブクログ
アマテラス粒子。2021年に検出された観測史上最高クラスのエネルギーを持つ宇宙線。ニュースで取り上げられたと思うが、お恥ずかしながらこの本を読むまでその存在を知らなかった。
この本の著者は1985年生まれの若き研究者であり、アマテラス粒子の第一発見者であり、命名者でもある。
宇宙線。電荷をもった原子核を指すようだが、わかるようでわからない。
陽子、中性子、原子核、電子、陽電子、ニュートリノ、光子、重力波なども宇宙線に含まれるようだが、その極めて小さい世界と背景は広大な宇宙。この規模の大きさに違いに不思議な感覚を持つ。スーパーカミオカンデなどの宇宙線の検出器の巨大さに圧倒されるが、極めつけは南極にあるアイスキューブ。何なんだこの装置は。
宇宙線について、どこまで理解できたか心もとないが、宇宙ってなんでこんな仕組みになっているの?って不思議でならない。
最も不思議なことは、粒子の運動が光速に近づくと私たちの世界とはまったく異なる「不思議なこと」が起こることだ。時間がのびる。エネルギーから粒子が生まれる。エネルギーと質量が等価になる…
ウォルター・バジョットの名言「人生最大の喜びは、できっこないと人に言われたことをやってのけることだ」を引用し、宇宙最強のエネルギーの謎を追う著者にエールを送りたい。