あらすじ
伯爵令嬢マーガレットには前世の記憶があった。
――小国の王妃だったが、裏切り者により捕えられ、最期は愛する夫に冷たく見捨てられて絶望の中で処刑された、悲しい記憶が。
今世では静かに暮らすことを望むマーガレット。
しかし舞踏会で、同じく前世の記憶を持ち生まれ変わっていた元夫のリチャードと再会する。
前世の苦い思い出が過り拒絶するマーガレットだが、リチャードは記憶の中とは違い、切なげな表情で甘く縋るように迫ってきて……?
「会いたかった。この瞬間を何度も待ち焦がれた――我が妃」
さらには突然求婚され、家の為に断れず結婚することになってしまう。
リチャードの豹変に戸惑いながらも、マーガレットはやがて彼の前世からの深い想いを知ることとなり――。
「やり直しましょう。わたしたち。最初から」
すれ違い夫婦が過去と運命を乗り越える、千年越しの執愛ラブファンタジー。
【電子書籍限定書き下ろしSS付き】
「この心を焦がすのは」収録
感情タグBEST3
前世
悲しい‥でも悲しいし、悔しかった分今世では幸せになって欲しい。
イザベラは本当にショック。まさか5歳でなんて。。悲し過ぎる
アンも安らかに過ごして欲しい。
匿名
両片思いのすれ違いが最高すぎました。
すれ違った末に迎えた悲劇的な別れと、生まれ変わってなお消えない愛情と恨みと執着と、その他諸々の感情の果てに訪れる結末。
面白かったです。
アンンンンンン!!
初めて読む作家さんでしたが、大当たりでした!
前世の記憶があるものって結構ありきたり感が漂いますが、これはどれとも違う作品のように感じました。
マーガレットの悲しみやリチャードの後悔の描写が瑞々しくて、こっちまで胸が苦しくなりました。
視点が入れ替わる地点も分かりやすくて混乱しづらく、とてもおもしろかったです。
そしてイザベルが実はいないということの意外さ。
アンの哀しみがなんとも切ない。
番外編にも出て来てくれて、それはきっと本来の彼女らしさが出たお話だったんだろうと思うと切ないやら悲しいやらあたたかい気持ちになるやら…。
とにかくとってもよかったし、何度も読み返したいお話でした。
ありがとうございました!
死に戻りのお話はたくさんありますが、こういうパターンもあるんだなととても新鮮でした。
ヒーローの後悔とヒロインの許し。ラストまで読むと侍女も救われたんだなと思ってホッとしました。
面白かったです。
千年の時を越えて
マーガレットとリチャードには、今世こそ、互いにすれ違っていたことをちゃんと打ち明けて分かり合えたのだから、
本来、両思いだったのだし、誤解が解ければ、どうにでも修復可能な関係だった。
これはアンの話だな、と思った。魔女に出会い、悪魔と契約してまで、愛する主人を守れず、復讐に駆られ、長い年月をただただ復讐心をよすがに待ち続けた成れの果ての悲劇とでも言いましょうか…
同情の余地はあるんだけど、王妃の腹心の侍女であるなら、もっと、リチャードの周り(側近とか)から情報収集したりなんかして、主人の憂いを取り払おうと働けば、何かが変わっていたかもしれない。
結局、互いを愛し、相互理解が得られれば、元鞘に戻れるほどの絆があった主人夫妻とは異なり、側仕えの領域を越えて、自身の恋情を昇華しきれなかったアンの独り相撲であり、魔女として、長い年月を復讐のみに費やした結果、本来の目的を見誤った方の負けですね。
番外編で、報われて良かったと思いますが…