【感想・ネタバレ】スポーツの世界は学歴社会のレビュー

あらすじ

プロ野球選手の49%、大相撲(関取)も44%が、なんと大卒! スポーツで「成功」するためにも、大学に行ったほうが有利?実力がものをいう世界……そんなスポーツ選手のあいだに変化が起きている。大卒の割合が格段にふえているのだ。しかも驚くべきことに、彼らのほうが、若くしてプロや企業チームに飛び込んだ高卒よりも「成功」する確率が高い。1965~2010年までの2421人のプロ野球選手を分析すると、選手として長く活躍するうえでも、引退後に指導者となるためにも、特定の大学を卒業すると有利であることがわかった。野球、サッカー、ラグビー、駅伝、相撲――プロ・アマそれぞれを代表する5つの競技を、計量経済学の手法でデータ解析。企業社会同様、学歴や出身校に左右される現実が明らかに。本書では、各スポーツ選手の出身校を高校・大学別にランキング。また、スポーツ優遇策の是非について、早稲田大学を例に考察している。

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Posted by ブクログ

貧困・格差・ベーシックインカム等に関する著作のある経済学者橘木の新作はナント、スポーツと学歴の分析だ。

一番歴史があり多くのデータのあるプロ野球選手の分析が主となっているのは当然と言えば当然ではあるが、高卒より大卒のほうが成功(ここで言う成功とは一軍定着年数の長短)の確立が高いとかドラフト上位者の成功確立が高いとか、大卒者のほうが将来指導者になる確立は高い等々、普段何となく感じているところを改めてデータ分析をして示す興味深いものである。

とは言うものの、プロ野球選手を排出している大学・高校の一覧表などはあるのだが、計算の結果として出てきた分析結果については本文中で紹介されているだけで必ずしも計算結果データの表などが示されている訳ではない。別に疑うべきものではないのだが、出来ればそうした結果については数値を本書にも入れ込んで欲しかったような気がする。例えて言えば、料理を作る材料については写真入りで詳しく解説しているのに、出来上がりの料理については「おいしいですよ」と言うだけで出来上がり写真が無い、というような違和感が残る。

Jリーグ・バブルとその崩壊が選手獲得にどう影響を与えたのか、箱根駅伝のテレビ中継とその人気が大学間の競争に拍車を掛け、引いては大学スカウトの対象である高校生の中・長距離ランナーの将来をも歪めているという話も面白いのだが、果たしてそれを裏付けるデータが示されているかというと必ずしも言えないのも同様だ。なかなか面白いテーマでもあるのでちょっと残念。

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2012年11月19日

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