【感想・ネタバレ】増訂 京都地蔵盆の歴史のレビュー

あらすじ

祇園祭などと並ぶ京都の夏の風物詩・地蔵盆。文献史料と実地調査の成果を用いて、京都の人々でさえよく知らないその歴史を丹念に紐解く。京都の都市文化をより深く知るための一冊が、補章2本を加えた増訂版として再登場。

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Posted by ブクログ

京都では実に79%(2013年調べ)の町内で行われている地蔵盆。「子とものころに地蔵盆に参加したことのある大人たちに聞いてみると、一様に懐かしそうにその当時の思い出を語ってくれる。ただ、楽しいだけでは終わらない。多くの人は最後に『地蔵盆が終われば夏休みが終わる』と寂しい気持ちにもなったという」。私にとっても地蔵盆はまさにそんな存在。行灯の絵を描くことや、おやつの時間に拍子木を鳴らして町内を練り歩くことは子供たちの役割でもあった。楽しくて楽しくて3日間テントに張り付いていた。4日目にはレクリエーションで遊園地などに繰り出す。今思うと役員さんはさぞ大変だっただろう。これらの記憶は中京でのものだが、上京育ちの母は福引の商品が町家の2階からカゴに入ってひもを伝って降りてくる「ふごおろし」の楽しさをよく語ってくれた。今や高齢化やライフスタイルの変化もあり、地蔵盆はどこも縮小ぎみだ。古い時代のことを知る人もどんどん減っている。京都人のソウルイベントともいえる地蔵盆を体系的にまとめた、この上なく貴重な1冊と言える。興味深かった内容の一部をメモしておく。地蔵を祀る祠と猿田彦を祀る祠が一体化してひとつの土台の上に安置されている例があること。槇村知事の「干渉主義」に対する北垣知事の「任他主義」が盆行事再開を促したこと。地蔵祭に祖先祭祀の要素があり、過去の住民を町が祭祀する例があること。

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2025年10月05日

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