【感想・ネタバレ】データで読み解く中国経済 やがて中国の失速がはじまるのレビュー

あらすじ

中国は「失われた20年」へ突入した!
評論家やジャーナリストによる、印象に基づいた中国脅威論は間違っている。数字やデータに立脚しないで中国について書かれた本をいくら読んでも、中国の全体像を理解することはできない。しかし中国の発表する統計データは信頼性に欠け、肝心なデータが伏せられていることも多く、実証的な研究をすることが難しい。
本書では、不確実な情報やデータに基づいて的確な判断を行うことができる「システム分析」の手法を用いて中国経済に迫る。そこで明らかになったのは、過去20年間にわたり謳歌してきたバブルが崩壊し、低成長を余儀なくされる「失われた20年」が始まった中国経済の実像であり、貧富の格差が拡大し汚職がはびこるという奇跡の成長の「からくり」である。
普通の開発途上国にすぎない中国の実像を描き出すとともに、日本がとるべき長期的視点に立った対中戦略を示した一冊。

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Posted by ブクログ

中国を題材にして、データをこのように
料理するセンスに すばらしいものを感じた。
仮説、推論が うまい具合に炸裂している。
データを分析するには センスなくしてできない。

『敵を知り、己を知れば、百戦殆うからず』
ということが、わかりすぎるほどわかっているが
中国の実体を正確につかむと言うことの
困難性があり、それに意欲的に取り組んだことは
一番見るべき本書の特徴だろう。

中国のデータは信用できないと思っていたが
そりゃ。目標を達成する責任をもっている人が、
統計の集計の責任者だから、出世ということを
考えれば、ゴマカスだろうね。
なんと言うニンゲン臭い、子供っぽい、レベルの低さを
感じるなぁ。
結局 中国は 自分の国の統計を正確にできないということから、
一流の国とはいえない ことははっきりしている。
社会主義を掲げて、科学的でないこと自体が、不具合を生み出す。
それが 中国なんだよね と納得してしまった。
でも、小さな嘘しかつけないところに、小心さを感じる。

反日、そして 南シナ海の中国の暴走は、
歴史的な必然があることを 納得。
しかし、少子化と高齢化で そんなことは言っておれなくなる。
という指摘は、わかりそうで、少し楽観論だね。

共産党は、省の書記、省長などの任命権もっている。
しかし、そいつ等が 賄賂を受けとって逮捕されても
任命した人の責任は 表に出てこないのが おかしいのだけどね。

貧富の差がなぜ生まれているのか?
そして、汚職の金額のスケールが大きいのはなぜか?
それを適切に解明した分析力が頼もしい。

農民籍と都市籍と言う二重構造をつくったのが
中国の 経済発展のひとつの原動力になり、
コストを下げることができた。
しかし、所得や貯金、外国の資本投資、生産高の向上だけでは、
どうやっても、説明できない。
都市部の所得上位10%でも、クルマやマンションが購入できない。
土地をめぐって 地方と全国の共産党が暗躍してる。
共産党による 中国全土の地上げ政策が功を奏した。
しかも、土地は公有制。
農民から 使用権をただ同然に買い受けて、
デベロッパーに高く売りつける。
地上げをすることで、賄賂も大きくなった。
ふーむ。それを野放しにしておいたのが
一番の問題なんだよね。
でも、土地代が 上がらなくなり、下落すると
中国の ウラマネーが、役割を果たせなくなる。
中国は スパイラルの失速をしていくことになる。

農民が貧乏なのは、そんなに面積は増えなかったが
生産力が上がり、豊作貧乏となった。

団塊の世代が 日本と中国では違うという指摘が
なるほどと納得した。
では、どんなカタチで中国は変革を行なわれるのか?

一人っ子政策の廃止は 極めて重要な決定であるが、
そのことで、中国は 少子化高齢化の社会の問題をどこまで避けられるのか?
その緩和のしくみが 定年を65歳に延期するのもアリだね。

こうやって、出された データが
もっと深い ウラの話につながっていけば、
中国のスキマが よく見えていいなぁ。

0
2016年07月31日

Posted by ブクログ

データに基づき中国経済の実態を説明してくれます。
また、基礎データに基づいた推計により、中国経済の実態を推測しながら説明してくれます。

単に汚職を解説するだけでなく、汚職の規模を推計するなど、とてもおもしろかったです。

0
2019年03月23日

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