あらすじ
家宝の古金貨が家から持ち出された。犯人は息子の嫁かもしれない。取り戻してほしい――裕福な老婦人の依頼で、マーロウは金貨の行方を追った。だが、その先々に次々と現れる死体。そして事件の意外な様相と過去の出来事がやがて浮かび上がってくる。清冽な叙情と文体で描かれたハードボイルド小説の名作。
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Posted by ブクログ
マールのキチガイっぷりがたまらない。マーロウの「どうにかしてくれ」感がひしひしと伝わってくる。誰も得をせず、誰も幸せにならない。かろうじてマールが救われたような気がするが、本人はそうは思わないだろう。少なくとも当面は。徒労感に襲われる。面白かったけどね。
Posted by ブクログ
金持ちの依頼人を訪れるところから始まる前半部の展開は、まさしくハードボイルドの典型だな。だけど、マールではなくてマードック夫人が夫を窓から突き落としていたという、なかなか悲惨なラストが用意されているにも関わらず、一度は解決したかに見えた事件の真相をマーロウが暴くことになる「大いなる眠り」や、煩雑に見えた展開が最後に見事に収束する「さらば愛しき女よ」ほどの完成度には達していない。よく書けた詩をなくしたうんぬんのところはちょっとよかったし、駄作というわけじゃないけどね。そういえばいい女も今回は出てこなかったな。
コインを盗んだ理由が偽造のためというのは思いつかなかったけど、それにしてもパレルモとかルイス・モーニーとかエディー・プルーとか強面の奴らが妙にものわかりがよくて、事件をややこしくしているだけというのはちょっとつまらん。それにマーロウの名探偵ぶりにも拍車がかかって、運の良さだけで証拠を集め、最後にいきなり事件の真相を推理してしまうのもなんかなあ。まあここで推理をしてマールをマードック夫人の屋敷から連れ出すだけで、警察にそれを知らせないというところがハードボイルドなのかもしれないけど。しかしマーロウって警察をないがしろにするよな。
今回の犠牲者は、マードック夫人の夫を別にして、フィリップ・アンスン、イライサ・モーニングスター、バニヤーの3人。いつもより少なめかな。