あらすじ
子供はこっそり「悪書」に耽り、エリート学生は『善の研究』を通して「国体の本義」に自ら殉じていった――。
戦時下、人々は何を読み、何を考え、何になっていったのか。ベストセラーでも発行部数でもない、「読書調査」から掘り起こす、子供・勤労青年・女性・エリート学生たちの読書と生のリアル。統制と抵抗のはざまには、多様で複雑な読書と生の実践があった!
[目次]
はじめに 思想統制という幻像
序 章 読書は国家のために?――読書調査と思想統制
第一章 子供は見てはいけない――「悪書」の誕生
第二章 勤労青年は何を求めたか――娯楽と修養のはざまで
第三章 銃後女性の読書とその動員――忘れられた小説と忘れてはならない小説
第四章 ファシズムとエリート学生との回路――愛と認識との行方
終 章 読書を掘り起こす――「見えない」読者を追って
おわりに 読書傾向調査の系譜
注
あとがき
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Posted by ブクログ
戦時下で人々はどのような雑誌や本を読んでいたのか、当時、様々な組織・団体、各所で実施していた読書調査の記録からたぐるというもの。
当時、大規模な全国規模の調査こそないものの、思想統制の観点から読書が重視されていたことから現状調査として小規模な読書調査は数多く行われていたとのこと。
当時読まれていた雑誌としては大日本雄辯會講談社の「キング」が幅広い年代に人気があったのが印象的で女性にも人気があったよう。また、農村では「家の光」、女工の間では「泉の花」といった一般の流通とは異なる販路を持つ雑誌が広く読まれていたのも興味深い。
また、一般小説では吉川英治の「宮本武蔵」が人気だったもよう。漱石や芥川、菊池寛なども読まれていたようだが、漱石だと「吾輩は猫である」や「坊っちゃん」が人気で現在との違いが面白い。