【感想・ネタバレ】虫と歌 市川春子作品集のレビュー

あらすじ

自分の指から生まれた妹への感情を綴る『星の恋人』。肩を壊した高校球児と成長を続ける“ヒナ”との交流が胸を打つ『日下兄妹』。飛行機事故で遭難した2人の交流を描く『ヴァイオライト』。そして、衝撃の四季大賞受賞作『虫と歌』。深くてフシギ、珠玉の4編を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

曲線が多いのでふわふわして見える。

人物の書き込みが少ない。それになんかシャープで洗練された、骨って感じの書き方でなんかかっこいい。いい意味で人間味を感じないというか。

筋肉とか自然物の描写が細かくて人物画とのギャップで謎のリアリティ?世界観?が生まれている気がする。

筋骨隆々って感じの男の人が出てこないのはなんでだろう。タイプじゃないのかな。セーラームーンとか少女漫画に出てきそうなくらい華奢な人物しかいない

個人的にはヴァイオライトが好き。


雷の化身的なにかが脆い人間を哀れに思って助けようとするけど、結局主人公はそれの輝きで焦げちゃうってオチ。
けっこうシビアな内容なのに会話がコミカルかつ詩的でテンポよく話が進む。ちょっとわかりにくい

市川春子さんは見せたいものがクリアーにあってだから話の構造や流れにスッキリしているのかもしれない。


砂糖の下りはどういうことなんだろう。
未来はなにしようとしたんだ。
食べてる?砂糖を?すみれの手を食べた?
触れ合おうとしたのかもしれない。
超自然的ななにかと、でもお互いに触れ合うことができないのが切なくて、悲しくて
て感じですごくエモい。最高!

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2023年05月06日

ネタバレ 購入済み

人間では無い者の話の短編集。
おまけ以外はどれも切ない話ですが笑い所も結構あって読みやすいです。
1回読んだだけでは分かりにくいですが、何回も読みたくなります。

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2020年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作品集としてはこちらが先で「25時のバカンス」が後になります。本来であれば古いものから読むのですが、訳あって今回は順番無視です。

25時のバカンスに漂う雰囲気が「海」・「冬」・「月」なら、こちらは「大地」・「春&夏」・「太陽」といったところでしょうか。
あちらは表紙の加工も海ぽかったのに、こっちは表紙をめくったらバッタとかカマキリとか見えて見なければよかったと思いました。
4話おさめられていますので1話ずつ感想を書きます。

「星の恋人」
「宝石の国」ではわからなかった著者の世界観というか作品の方向性を「25時のバカンス」で悟ったので、こちらも間違いなく何か爆弾が仕込まれているに違いないと用心しましたが、突然の腕を鎌で切り落とすという展開にやはり思考が一瞬停止しました。
パパが「宝石の国」の金剛先生みたい…!と思ってドキドキしたのですが、こちらは眠そうではありませんね。
つつじがホットサングリアを飲んでるコマが好きです。

「ヴァイオライト」
このお話、何度読んでも意味がわからない…。何かの物質、鉱物の名前?と思ったのですが、造語なんでしょうか。すみれ(violet)と光(light)を混ぜたのかな?
以下わたしなりの解釈です。
MIRAI AIRLINEという航空会社を経営している両親の元に生まれた未来くん(会社名はもちろん息子の名前から付けた)は修学旅行のため、お父さんがパイロットで機長、お母さんがCAを務める飛行機に乗っていた。
ところが人知を凌駕する存在が小指を引っかけたために雷が飛行機に直撃し、飛行機は空中で破裂。未来くんは空中に投げ出されてしまう。自責の念に囚われた人知を凌駕する存在は未来くんを救うべく、人に似せた偽物(天野すみれ
)を作り出し未来くんと行動させる。
未来くんを何とか灯台の近くへ導いたすみれは役目を終え限界がきたため、人としての姿を保てず消えてしまう。
しかしもう力の残っていない未来くんはよろめいて崖から落ちかけてしまう。すみれは最後の力を振り絞って何とか未来くんを助けようとするが助けられなかった。
…しばらくの後。
またもや人知を凌駕する存在はくしゃみをしてしまったか何かで嵐を起こし船を難破させてしまった。そこで再び生き残った人間を導くべく同性の偽物を作り出すが、すみれとしての記憶が残っていた彼女は未来くんを探し始めるのだった。 おわり。
お砂糖をこぼした理由は何だったのだろう。

「日下兄妹」
前半、男子高校生のやり取りが面白いですが、一転後半は切なくなって泣きそうになってしまいました。
ヒナが肩を治すと言った時、ユキが「肩はいい。10年かかって壊した」と答えるのがなぜかとても好きです。
きっと最後はこうなるとどこかでわかっていたのに、やっぱりヒナが消えてしまうのは悲しかったです。
ヒナが何を考えているのか、きっとこういう顔をしているのだろうな、というのが表情がないのにわかるというのが不思議です。
キティちゃんに口がないのは、口があると表情が決まってしまうので、人それぞれが好きに表情を解釈できるように敢えてつけていないと聞いたことがありますが、それと同じなのかもしれません。
ハラと別れる時に自分が剃った頭にマキロンを塗ってあげるヒナ優しい。
トイレに閉じこもったヒナを誘い出すシーンは天照大神が岩戸に隠れてしまった時と同じですね(笑)

「虫と歌」
表題作です。いちばん好きかもしれない。
シロウが死んでしまったときも悲しかったのですが、やっぱり歌が死ぬと分かった時が悲しかった。いや、歌も人間ではないのだとわかった時がショックでした。
詩が大学に行きたいと言った時、晃はどういう思いでやってみろと答えたのでしょうか。本当にそうなったらいいな、という気持ちだったのかたぶん無理だろうなという気持ちだったのか…。
気になるのが晃のことですが、彼は本当に人間なんでしょうか。最後、机の突っ伏していたのは泣いていたから?寿命で死んでしまった?絶望して自殺してしまった?
恐ろしいと感じるのは決して暴力的なものに対してだけでないのだと思い知らされた感じです。
ずっとあると思っていた日常が、その先の未来がないとわかったときに感じる絶望とそれらを実際失った後の余韻に漂う虚無を描くのがこの人は巧すぎる。

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2016年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「星の恋人」
自分の指から別の人ができるとは思わないわな。お父さんがイケメンです。

「日下兄妹」
一番好きかも。妹が欲しくなるお話。

「ヴァイオライト」
ラストがすっきりしないかも。ん〜〜〜?とちょっと考えるお話。悲しいお話。

「虫と歌」
世界がこうしてできていたら面白いかも。
と思いつつ、真実を知ってしまうと、悲しさと理不尽さに悲しくなってしまう。

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2016年03月10日

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