あらすじ
最愛の夫が他界したあと書き継いだ,亡夫に贈る愛の詩篇.夫婦という極めて私性の強い密室を描き,女性としての息づかいが濃厚にただよう,死後にもつづく永遠の愛.戦後の女性の生き方を読者の知性に訴え続けてきた詩人が,没後にはじめて詳らかにした,純愛に生きるみずからの生(なま)の姿.口絵二丁.(解説=小池昌代)
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Posted by ブクログ
著者が配偶者に先立たれてから書き残した詩。照れくさいからと、自身の死後に発表されるよう準備を整えていたそう。つまりこれはプライベートなラブレターのようなもの。そんなものを読んでもいいのか、とどこか厳粛な、背筋の伸びるような思いで読み始める。
本来詩集って一気読みするものではないのかもしれない。けれど、ページをめくる手が止まらず、おまけに冒頭から涙も止まらず。美術展の展示を回るように余韻を味わいながら次の詩へ。漂う喪失感、切実、純真、気丈、寂寥、思慕、いわずもがな愛情。生活。日常。
「最後の晩餐」があまりに切ない。挙げ出したらキリがないけれど、「月の光」「駅」「蝉しぐれ」「モーツァルト」「殺し文句」「ひとり暮し」「なれる」「歳月」……とてもよかった。
埋められないものを無理に埋めようとせず、時間の経過とともに受け止めていく。ああそうだったのね、と悟っていくような。
表紙をめくると1ページ目に夫婦2人が写った写真。この写真そのものが、なんだか“歳月”よなあと感じさせる。
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茨木のり子さん生誕100年記念で、ミナペルホネンの特別カバーが登場したのに合わせて、以前から気になっていた『歳月』を購入。ほか2冊も。
Posted by ブクログ
亡き夫への寂寥と悲哀、深い愛情を綴った詩集。
美しき日本語で描かれる恋の物語。
本はデジタルより紙派なんだけど、詩の終わりの余白がさらにこの詩集を美しくしているように感じる。
ひとつひとつに余韻がある。
交合のことも書かれていたりしてけっこう赤裸々なのに、それさえも愛らしく感じる詩集だった。
『月の光』がすごく好き。
それにしても…女にここまで書かせるなんて、一体どれだけ素敵な夫だったんだろう。
自分もこんなふうに夫婦生活を送りたいなあ。
Posted by ブクログ
今年買った詩集の中一番心に残る素晴らしい一冊だった。あとがきになる「Yの箱」でこの一冊がどういう経緯で生まれたのかを読み、また一つ好きになる。繰り返し読みたい。
Posted by ブクログ
茨木のり子という人は
感受性豊かなとても素晴らしい人で
その詩には
真面目さとしなやかな強さが表れていた
こんな女性には会ったことがない
こんな女性と言葉を交わしてみたかった
彼女の交友ある人もさすがの人ばかりで
死んだ夫だってさすがは彼女の連れ合い
あふれ出る思いを読むたびに
心ふるえる体験をする
茨木のり子という人は
実は
こんなに弱そうな心の持ち主だったのだなあ
Posted by ブクログ
先日読んだ作中に、茨木のり子さんの詩が引用されていたので。
詩集なんて久しぶり。
亡き夫を想う詩。亡くなられて10年経っても、色褪せない、むしろ色濃くなっていく記憶。
生前書き溜め、自身の没後に甥っ子さんに託した詩集。
いくら人生ともにしたパートナーとはいえ、いつまでも情愛溢れる気持ちでいるなんて狂気じみてると読み進めるも、一作ずつ書き出すことによって浄化していく何かがあったのか、もしくは、敢えて忘れたく無い、初めて独りで暮らすギリギリの支えにしたかったのか。。
解説を読むと、今までの茨木さんの詩集にはなかったテイストのよう。他作品も読んでみようかな。