【感想・ネタバレ】カンパニュラの銀翼のレビュー

あらすじ

1920年代後半の英国。 エリオットには秘密があった。 資産家の子息の替え玉として名門大学で学び、目が見えなくなった「血のつながらない妹」のため、実の兄のふりをして通いつめる日々。 そんなエリオットの元に、シグモンド・ヴェルティゴという見目麗しき一人の男が現れる。 《脱け出したくばね、必要なのは概念の改革だよ。エリオット・フォッセー》 もの憂い眩暈。純粋な美。エレガントな悪徳。高貴な血に潜んでいる病んだ「真実」 精緻な知に彩られた、めくるめく浪漫物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

クリスティ賞受賞だけれどミステリーというより幻想文学。
「時間の感覚」や時の辻褄合わせの時間に現れる死にたがりの”死神”のようなもの、時系列を行ったり来たり、読者もまた時間に囚われていくようで面白かった。
「血の濃さ」「なりすまし」、設定落ちしそうな部分もちゃんと理由があってGood.

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2013年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリーより幻想ゴシックファンタジーに振り子の針はよっているような気がする。始めは吸血鬼登場かとも思ったけど、非常に科学的で哲学的。最後まで謎めいていて、それはシグモンドの行動性格の巧みさによるのだと思う。とにかく、ハリウッド辺りで映画化されてもいい様な面白さだった。

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2013年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

充実した密度のある翻訳調の文章に、単なるミステリではなく衒学、哲学、耽美、冒険etcの豊かな物語で、受賞するのも納得できる。
自分は第二部がとても好き。
数奇な出来事によって、シグモンドとミュリエルの宙に浮いたような関係性。ずけずけと描いたらすぐ崩れてしまいそうなこの叙情的な画を、描ききったところがとても良かった。二人の結末と彼女の求める真実が明らかにされたところで胸にいろいろと思いがよぎる。
第三部最初のページみたいなのに弱いのです。

文体がけっこう特殊で、そのあたりが読みにくいと感じる人はけっこう出てしまいそう。
例えば、

「斜に構えた顔の左半分が街灯に煙っていて、男のくせに妖艶なる凄味が、気味が悪いくらい色濃く荒んでいる。反面、曇るように浮かび上がる右側は、無垢な虚ろさと愁いを帯びて、これが正面から合わせて眺めるほどに、非常に均一で端正な顔つきに見える。これぞ正しき礼節な美男子の、辛口な涼やかさだ」(p43)

こういう修飾過多の文章は、読んでいて頭に入らない。これは多すぎる例だけれども。
一方、この文体が非常に良く発揮されたと思うのが、二部の終盤、二人がともに昼を過ごす場面。
読みながら、うへえ、と感嘆。

あと、自分には終盤の展開がけっこう不思議。妄想のような理論のもとに、展開していくのが。
タイトルの場面を強く描きたいがための展開、という印象も受けてしまいそう。
でも、その場面が凄いのだから、プラマイでプラスの方が圧倒的に多いという、だいぶとんがっている作品。

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2013年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カテゴリはミステリかな?

カンパニュラの銀翼、好きな世界で、文章も読みやすく面白かった。
場面、時代(というとネタバレになるかな)や視点が変わって話が展開するんだけど、何が謎なのか、何の関わりなのか中盤以降まで見えない。

シグとベネディックの秘密にはちょっとびっくりしました。アガサクリスティー賞受賞ということで読み始めたからかな?想定外の謎と解法でした。

シグモンドのイメージは当初、美しくて、特別に青い血の持ち主なだけに、もっと厭世的で無気力な、人嫌いかな?と思っていたのに、生まれの特異さや環境の割には普通の不器用な青年で、その感情が出ていく様が素敵だった。
ミュリエルとの関わりあいは切なかったけど、あの結末は彼の血を考えればお互いに幸せだったのかもしれないな。

なんというか、シグモンドは貴族らしい品のある余裕でしょうけど、他人にやさしいし、寂しさを抱えたところがまた女心をくすぐるというか、すごく好きだな(笑)。
いっそ、このままミステリシリーズとして、エリオットの麗しき助手として話を続けてほしかったです。。。切ない!

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2012年12月20日

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