【感想・ネタバレ】「顧客が増え続ける」科学 デジタル時代のマーケティング新定跡のレビュー

あらすじ

本書で扱う「デジタル時代のマーケティング」とは、例えばSEOや検索連動型広告、SNS運用といった施策の話に閉じられた内容ではありません。

もちろんそれらも重要な要素ではありますが、本書で焦点を定めるのは、「デジタルの活用」が広がったことによって、生活者の意思決定プロセスや購買行動がどのように変わり、それに対してマーケティングの考え方や前提がどう進化すべきかという点にあります。

デジタル技術の発展によって、生活者の行動は詳細にデータとして捉えられるようになりました。どの施策がどのように作用したのかを、仮説と検証のサイクルを通じて明らかにすることができるようになったのです。これはまさに「マーケティングの科学化」といえるでしょう。

この変化を理解する上で、本書では「定跡(じょうせき)」という将棋の概念を一つの比喩として用いています。

将棋における定跡とは、最善手を追求する中で長年にわたり蓄積された「勝つための型」のようなものです。
しかし近年、この定跡に大きな変化が起きました。言うまでもなく、その背景にはAI(人工知能)の登場があります。

本書では、“変化し続ける定跡”の時代におけるマーケティングの考え方と、その裏付けとなる科学的手法を、実例や理論を交えて解説していきます。
読者の皆さまには、これからの時代に適応するための視座を養っていただくとともに、自らのビジネスにおいて“新しい定跡”を見つける手がかりとして活用していただければ幸いです。

マーケティングの担当者だけではなく、会社の経営者や今後経営に携わる方にも役立つ一冊です。

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Posted by ブクログ

・マーケティング:お客様の買いたい気持ちづくり
・マーケティングは「売る」ことから「売ったあとの関係をどう築くか」へと移り変わっており、その実現のためには、まず顧客とつながる仕組みを整えることが重要です
・同じ商品・サービスでも、新規顧客とリピーターでは求める価値が異なります。新規顧客にとっては安心感が重要かもしれません。一方、リピーターにとっては「他の商品との違い」「長く使うことで得られるメリット」が勝ちとなることが多いです。
・WHO=どの状態の誰、WHAT=誰のなんの価値 と分解する
・顧客のニーズはライフステージや利用回数、社会のトレンドによって絶えず変化します。その時時の顧客の状態を正しく理解し、それに合わせて提供価値を変えていくことがマーケティングの本質になっています
・初めて購入した顧客がなんの商品を選んだのか、2回目の購入に至った顧客が何人いるのか、しばらく離反していた顧客が久しぶりに購入した商品はなにか
・情報を単に発信したくなるのではなく、「思わず共有したくなる体験」を設計することこそが、デジタル自体のマーケティングの本質です。実際の体験を通じて「これはぜひ誰かに伝えたい」と思ってもらえる価値を提供することで、それが自然に広がっていく。この流れを作ることが、デジタル時代には事業成長のドライバーになります
・カスタマーライフサイクル:潜在→認知→興味→比較→お試し購入→体験→本購入→習慣化→愛着→推奨。ただし、顧客は必ずしもこのプロセスに沿って順序立てて進んでいくわけではありません
・新規顧客獲得の設計において、F2を起点に全体設計を行う
・F1体験は現在使っている商品と同等か、より低いコストで「一度試せる」状態を作る
・デジタル時代にはF0(購入なく顧客とつながる)の設計が必要:体験サービス、LINEへの友だち登録やアプリの提供など
・F0を経由したほうがCPOは安価になる
・顧客獲得においてはF1で終わりの指標ではなく、F2までを含めて設計を行う
・購入までの期間が長い商材にはF0を設計する
・デジタル時代には顧客の口コミが重要なため、広告などを実施する前にUGCを集める
・ロイヤルティーを高めるポイントは、顧客の努力を以下に減らせるか、すなわち、いかにエフォートレスな体験を設計できるか
・エフォートレスとは「驚かせること」ではなく、「つまずかせないこと」
・シナリオ型:顧客を同じと捉えて一律でコミュニケーションする
・トランザクション型:行動データに基づいて顧客の状態に合わせたコミュニケーションをする
・初期は「シンプル」と「初期実感」、中期は「測定(可視化)」や「トランザクション」による関係構築、後期には「ロイヤルティプログラム」による損失回避の動機づけ
・ブランドマネージャー:関わる商品、サービス、広告、PR、チャネル戦略、価格戦略などマーケティングの4Pに対する施策を統合的に展開し、「ブランドの価値向上」と「売上、収益」を両立させる
・成果を出すチーム:顧客に向けた施策の試行回数が多い
・定跡が「固定された答え」ではなく、「常に更新される仮説」として捉えられる

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2025年08月28日

Posted by ブクログ

いまは新規顧客よりも既存顧客対策の方が大事になりつつあるから、この本はすごくいい道標的なものになると思います。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

デジタル時代以前と以後のマーケティングの違いを説明した上で、顧客が情報を自ら探索・発信するようになった現代での考え方を説明した本。
私はサブスクが難しい業界で実務を行っているため、本書のサブスクでのマーケティングの考え方には感心させられた。サブスクのくだりもそうだが、全体を通して論理的で、理解しやすかった。
これからの時代のマーケターに求められるのは、AIを駆使して仮説を更新し続ける力という考え方には共感しかない。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

長年デジタルマーケティングに携わってきた西井氏。
スマホが普及し、デジタルが当たり前となった昨今では、多額の広告費をかけてTVCMを打つようなプロモーションでは太刀打ちできなくなっている。
そのようなデジタル時代にうつべくマーケティング手法について、西井氏が実際に携わってきた事例を元に説明されている

CRMの活用はぜひ真似したい。

そして、結局マーケティングって組織の話になるのが実務担当者としては悩ましいところ。
ECの仕事は社内では理解されないことがとても多いので、上層部の方にも読んでほしい一冊。

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2025年08月02日

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