あらすじ
ステラが赤ん坊のニッキーとふたりで暮らす家に、ある日、端整な顔立ちのたくましい男性が現れ、信じ難い事実を告げた。男性は、モンマジョール国王ヴァスコ・モントーヤ。ステラが精子バンクを利用して出産した赤ん坊の“父親”なのだという。初めステラは、ニッキーを奪われることを警戒したが、ドナーには親権がないと再確認し、ほっと胸をなでおろす。安堵したのもつかのま、翌日ステラは突然、職場を解雇されてしまう。明日からの生活費をどう工面しよう? 途方にくれているところへ、ヴァスコがふたたび現れ、ステラの窮状を知ると、王宮に遊びに来ないかと親切にも誘ってくれた。だが、実は……ヴァスコにはひそかな企みがあったのだ。■兄亡き後、世継ぎが欲しい独身主義の国王陛下は、途方もない計画を思いつき、それを実行に移しますが……。斬新かつ軽妙なプロットが魅力のジェニファー・ルイスのロイヤル3部作〈王宮のスキャンダル〉、最終話も一気読み間違いなしです!!
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Posted by ブクログ
面白くて、一気読みでした。
精子バンクを通じて人工授精をし、一人息子を授かったヒロイン、ステラ。
ワーキングマザーとして息子を育てながら、慎ましい生活を送っています。そんなある日、彼女の前に
―僕は君の息子の父親だ。
と、名乗るイケメン男性が現れ―。
本の裏表紙には「まさか、ドナーが王様だったなんて!」と書いてあります。
そう、ステラが提供を受けた精子は、とあるヨーロッパの小国の王様のものだったんですね。当時、第二王子である彼はまだ、正確に言うと国王ではなく、王位継承の見込みさえない一王子にすぎませんでした。
だからこそ、自棄になって精子バンクに登録したりしたのですが、、、
このストーリーって、以前も別の作家さんの作品で読んだことがあるような気がします。そのときも書いたのだけれど、王様じゃなくても、王位継承権を持つ王族男子がそもそも精子バンクに登録なんてできるのだろうか―世継ぎ争いの種になるのは必至だし―と、法律で禁じるのが常識じゃないだろうかと考えます。
日本では考えられないことです。
その辺り、ヨーロッパとは感覚が違うのか、そもそも、そんな硬いことを言っていたら、物語りが成立しなくるからかは判りませんが、物語りならアリなのかな?
その辺も含めて、この手の物語りは。、いかにもハーレクインっぽい話ではあります。
だけど、面白い。
実は、この話は、この前に読んだ「ハーレムに月の涙が」が面白かったので、同じ作者の作品を探していたところ、たまたま検索で出てきた作品でした。
あらすじを見て、読んでみたいと思ったものの、既に絶版、どこにもなかったので、古本を取り寄せました。期待を裏切らず、とても面白く買って大正解だったと思います。
ヒロインの職業が古文書の修復師というのも興味深い。知的で情熱的で、ワガママでもない感じの良いヒロインは好感度が高いです。
ラストの方で、いささかワンマンでステラとの結婚を避け続けていた王様がついに結婚を決意、悩んだ挙げ句、中世の騎士になりきってプロポーズしようと甲冑を身につけて馬に乗ろうとする場面があります。
甲冑姿に慣れない馬が暴れ、見事に落馬する辺りは笑えるし、そこまでヒロインのためにする姿は微笑ましくなりました。ここで王様の好感度も一挙に上がります。
ヒロインもヒーローもそこまでクセがないので、読んでいても嫌みなく、読後感も良いお話でした。