あらすじ
「オペレーション」という言葉の意味は広く、業界によってもニュアンスは異なる。しかし、全てに共通しているのは「オペレーション」を担うのは「現場」だということ。どんなに優れた経営戦略を立てても「オペレーション」、すなわち戦略の実行を担う「現場」が弱ければ意味がない。戦略と実行は一体だという認識が不可欠だ。本書は計18回の講義で構成され、毎回、具体的な企業の「現場」を取り上げながら「現場力」の本質に迫る!
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Posted by ブクログ
私は「現場支援をする事務方」だけど、どの様に支援するか考える時に、現場を想像する力も必要だし、何なら支援するという行為だってどんどん変わらなきゃいけない。私だってある意味現場にいるのだと思って読み進めてみた所、よい刺激を受けた。業務に活かしたい。
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ひと通り仕事ができるようになった現場の新人から、マネジメントを行う管理職まで幅広くおすすめしたい良本。
著者の代名詞とも言える『現場力』について深く掘り下げてある。
もちろん、普通に読むだけでも良いが、回し読みや社内研修など内容を共通言語として使えるようにしておくと、指示する側・指示される側の両者に絶大な効果を与えてくれる。
ついでにこの手の本としてはとてもお手軽な金額だということも教材にするにはおすすめ。
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大先輩からのリファレンス。勇ましいものの掛けっぱなしになった号令から抜け、企業の体質にどのようにソレを落とし込むか、という観点から多数の国内企業ケースが学べる一冊。 続編というか現在進行形で更新されるWebページ「遠藤功の現場千本ノック」もあり、合わせてチェックすると面白いかも。
自ら考え問題解決する組織をつくらなければ必ず組織は陳腐化するというのが、現場力養成の大前提であり、かつ最も上級な取り組みでもあるというのがすごく腹落ちしました。前提だからといって当然ではない、うん。
そのような前提に立って、更にどのような「クセ」を、組織特性に合わせて持つか。 クセというのは継続的に行動を規律するので、即ち組織の文化や価値に直結している、という点は “ビジョナリーカンパニー”以下、多くの書物が指摘する点と同じくするところだと思いました。
組織という存在の、カラダの部分はどのように設計され施工されていくかという学びがありました。
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活力にあふれ、価値を生み出し続ける現場の力とはどのようなものか、現場力を高めるためにはどのような取り組みが必要なのかが理解できた。
また各章末のケーススタディも実際の事例が紹介されており、具体的なエネルギーが伝わってきた。
ツールに満足する、表面だけ真似するのではなく、意識と熱意の継続の大切さを感じた。
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最近私の所属する会社でも現場主義や現場力と言った言葉をよく耳にする。当たり前の事だが、利益の大半は現場(全国の営業所や支店など)で作られているから、私の所属する本社組織などは現場を徹底的に支援せよ、足を引っ張るなとの事。確かにそれには何ら否定する要素もないし、その方向で考えている。一方で現場の裁量は低く、徹底的にルールや権限は統制されており、尚且つ本社からの通達やらで次々とあれやれこれやれの指示の連発。これで本当にスピーディに対応できるのかと不安に思う。会社は社員にビジョンを指し示し、会社の使命や社会における存在意義を持ち、そして戦略や当面の計画を立てていく。社員にそれを浸透させるための全社会議などもやってみたりする。誰が見ても崇高な理念と、夢のある計画になっているが、最終的にはそれを実現するのは現場のオペレーションである。いかに崇高な理念も実現しなくては何も意味を持たない。実際はその様な企業は沢山あるのではないだろうか。
この実践力に着目した講義を書籍としてまとめたものが本書である。
現場力とは何かに始まり、その必要性及びそれらを高めるための考え方について、実際に成功している企業を例に挙げ、体系的に判りやすく伝えている。経営の参考書でもよく取り上げられる花王やトヨタの事例だけでなく、特定の分野で無くてはならない存在となった中小企業やローカルのスーパーまで多くの好事例を取り上げている。いずれの現場も最前線で闘う社員のボトムアップの取り組みから始まっていく。それが一方的に単発で終わらない様にする為には、トップダウンでその様な取り組みを推奨し、適切に評価する仕組み作りが合わさらなければならない。現場オペレーションと経営戦略は相互補完の状態にすることが重要だ。
また単に推奨するだけでは、中々実施に至らず、社員個々に自発的・自主的・自律的なマインドを醸成する取り組みも必要になる。そこに何か決まった定型的なやり方は無く、それぞれの会社にあったやり方を探す必要性も強く感じる。
その様なマインドの醸成に役立つのは社訓やクレドなどだが、これも単に決めるだけにとどまらず、現場社員一人一人が意識するよう会社が取り組む事が重要だ。
昨今、働き方の自由度や、働き手のライフスタイルに合った就業体制がある事が、採用に際しても非常に重要度を増してきた。在宅ワークなどは当たり前、フレキシブルな時間管理も必要、更に個々のキャリアプランに合わせた能力開発も会社が押し付けるのでは無く、自発的に取り組むような制度作りも必要になってきた。就労人口が益々減少し流動化も激しい。その様な社会環境の中で、いかに社員のライフプランやキャリアプランに合った働き方を提供できるかは人材獲得に向けた難題である。
現場中心の自発的な取り組み、組織の壁に囚われない横の連携、加えて経営に反映させる縦の連携。縦横無尽に活躍できる機会を現場に与えていく事、そしてその様な自発的社員を増やしていくための制度作りを行なっていく必要性がある。
本書を参考にその様な現場オペレーションと経営の融合にチャレンジしたい。
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オペレーションが差別化要因になっている会社は確かにあると思う。戦略の実行に必須な力として現場力というものの定義と、その発生源と活かしかたについて整理されている。自社他社を見る際の新しい尺度になるのではないか。
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とある課題図書として一冊読みました。
以前から感じていることがある程度体系的にまとめられていたので,納得できる内容も多かったと思います。少し立場が変わったということもあり,今のタイミングでこの内容について読み直して,考え直すのもよかったと思っています。
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経営戦略だ、管理会計だ、という話をしていると、つい一番価値を生み出す「現場」の大切さを忘れてしまい、机上の空論になってしまいがちだ。戦略も大切だが、戦略も戦術も推進力は現場にあることを忘れてはいけないと肝に銘じさせてくれる。現場力というとボトムアップばかりが言われるが、それを引き出すことこそがトップマネジメントだということもわかる。ただ個人的に言うとこの本は、『五能線物語 「奇跡のローカル線」を生んだ最強の現場力』や『現場論』を読むためにオリエンテーションとして読んだので、先に進みたい。
Posted by ブクログ
経営戦略の教科書Part2
早稲田ビジネススクール講義名「組織のオペレーション」を纏めたものです。
自己否定、現状否定のマインドを持つ方、やたらお題目だけがいっぱいある会社にお勤めされている方、一生懸命仕事をしているのに業績に結びつかないという悩みを抱えている方などにお薦めです。
以下ネタバレです。
「はじめに」のなかで、『「現場力」という組織能力を回復させないことには、日本企業の再浮上はありえません。どうすれば「現場力」に磨きをかけ、もう一度強い「オペレーション」を構築することができるのか?この講義で学んでもらいたいのは、まさに、その一点にあります。』と語っています。
感銘を受けた主なポイントを明記します。
⑴経営の三つ要素は「ビジョン(why)」、「競争戦略(what)」、「オペレーション(how)」
⑵オペレーショナル・エクセレンスが目指すべきゴールは二つ。「圧倒的な業務効率化によるコスト優位性の創出」と「新たな顧客価値の創造」。
⑶現場力という考え方は資源ベースアプローチという概念に立脚したもの。資源は「有形資産」「無形資産」「組織ケイパビリティ」。競争戦略とオペレーションの整合性、一貫性を担保することはポジショニングとケイパビリティの一貫性を担保するということを意味します。
⑷現場力を磨く目的は、「自律的問題解決能力」によって、競争相手にはない独自の価値を全員で生み出すことです。
⑸サービス業においては、戦略-サービスポリシー-サービスレベル-オペレーションという縦の一貫性が大変重要です。同様の考え方に「サービストライアングル」というコンセプトがあります。(サービス戦略、人、システム)
⑹現場を上手にあおり、その取り組みに関心を示し、時に一緒に汗をかく。現場力の厳選であるボトムアップの動きは、トップダウンの働きかけによってしか生まれないのです。
⑺現場で実践される「らしさ」を体現する連続的な「行動習慣」が、それぞれの会社の風土や文化を作りあげます。よい風土を持つ企業では、「らしさ」が共有され、実践されていて、それが独自の現場力を生み出しているのです。
⑻「場」でPDCAサイクルを回す。
「らしさ」に裏付けられた行動習慣を身に付け、「人のプラットフォーム」をつくりあげるためには、「場」が必要です。
⑼褒める仕組みで現場力を高める。
(10)「オペレーショナル・エクセレンス」を誇る企業には、ひとつの共通点があります。それは「自己否定」「現状否定」という思想が根付いていることです。
(11)現場力という目に見えない力を湧き立て、推進するのはあくまでも「個の情熱」です。
(12)実際に現場で問題解決に取り組む際には、「見える化」を軸とした「問題解決のPDCA」が、効果的です。
(13)現場力を高めるための見える化。顧客、知恵、経営、状況、問題の五つ。
(14)差別化につながるコア・コンピタンスを生み出すために不可欠な、基本的であるが、普遍的な組織要件こそが現場力です。
上記の内容が主に感銘を受けた箇所です。また、それぞれの内容については具体的企業が紹介されており理解が深まりました。良書です。
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どこの企業のおいても現場は存在しており日本の現場力は世界でもトップクラスであろう。
強い現場力を作ることは容易なことではない。
だからこそ、現場力の強さを作り上げることで他社との差別化を図ることができる。
愚直にコツコツと改善を実行していくで強い現場は生まれる。
Posted by ブクログ
【現場力を磨くためのバイブル】
「現場力を磨く」とは、現場におけるオペレーションの最大化を図るということ。本書は、日本企業を初めとして、世界でお手本とされている企業の現場力を研究し、それを身につけるためには何が必要なのかを提示しています。
読んでいて、感覚的に
「こんな会社で働きたいな〜」
「こんな環境で仕事が出来たら、どんなに幸せなんだろう」
と思います。
ただ、言うは易く行なうは難し。
本書を読み基礎を学んだ上で、実践し、会社に現場力を付けさせることが非常に難しいのだと感じます。「昨日の今日」では、構築されないのが、この「現場力」。
将来、自分が店舗を持つ時が来たときは、この「現場力」を実践していきたいと思います。
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経営者側が必要な”現場視点”について、トヨタ自動車やヤマト運輸等の取組み事例が描かれており、すべての企業に当てはまる訳では無いですが、とても参考になる書籍だと思います。
Posted by ブクログ
具体的な事例も多く、体系的に整理されて述べているので理解はしやすい。
ただ、現場力を生み出す風土づくりや人材育成を含めて考えると、実際には中小企業では難しい。
即実践を考えている方には教科書的で物足りないと感じるだろう。
Posted by ブクログ
「現場力の教科書」遠藤功
現場型企業論。特になし。
日本の企業の原動力は、現場力から生まれるものだ。ビジョンや戦略などのトップダウン経営ではなく、かといって現場任せの放任経営でもなく、強い現場をリノベートしていきましょう、という一冊。
著者の遠藤功氏は最近名前を聞くことが多いように思います。
うまくいった企業のケーススタディも重要だけれど、現場力の育成がうまくいかない理由、いま正に現場が停滞してしまっている理由を明らかにすることの方がより重要である気がします。
現場力は大事。それはとてもよく分かります。
でも、うまくいっていない大部分の企業が知りたいことは、「どうやったら現場力を手に入れることができるか」。
QCサークルやカイゼン活動やTPM活動などは単なるツールで、それを有効に使えば効果があることは分かっていても、じゃあこの20年で疲弊した現場にどうやって再び植え付けたらいいのか。
いまこそ再び中堅世代による現場力の育て方を考える必要があるのではないかと感じます。(3)
Posted by ブクログ
どうしたらより強い営業に進化できるか。その1つの答えが、現場力なのかな、と思います。どれだけ崇高な戦略を描いてみても、最終現場での実践がついてこなければ、絵に描いた餅。現場の自主的な考え抜く力をどう組織文化に昇華させることが出来るか。答えの無い永遠のテーマーですが、1つずつできることがから初めていきたいと思います。
以下、参考になった点。引用、自分内の解釈も含む。
・戦略を実行するには、現場力が欠かせない。現場力があるから、戦略を立てることが出来る。戦略と現場力はどちらが上位概念ということではなく、お互いに関連しあうものである。
・戦略は模倣されやすいが、現場力は簡単には模倣することが出来ない。だからこそ強い現場力をつくりあげることが、競争優位につながる。
・強い現場力とは、各人が「より良いもの・改善」を自主的に考えに考えて、行動に移せる集合体であり、コストを下げながら価値を高めるという一見両立が困難なことを高い次元で実現させられる現場。その結果「他を凌駕するコストオペレーションの確立」と「新たな価値の創造」が生み出されている状況。
・多くの企業は本社主導で改善プロジェクトが組まれ、現場は「やらされ感」が蔓延しがち。改善の重要性を現場が真に理解し「改善こそが現場の仕事」と思えるように意識を高めていかなければならない。
・業務は放っておくと、肥大化するもの。意識的に「捨てる・止める」を実行すること。また、業務は必ず陳腐化するもの。その時にベターだったものも、常に見直していかなければならない。
・「①意識が無く、能力も無い」→「②意識があるが能力が無い」→「③意識すればできる」→「④意識しなくてもできる」。この④の段階まで昇華させること。これが強い組織文化になる。
・何かが起きた時に頑張るのではなく、何かが起こることを想定して事前に手を打てる「平時の現場力」こそ高めなければならない。
・無関心は、強い現場をつくる阻害要因になる。周囲への興味関心を高める工夫が不可欠。組織密度×組織熱量が現場力の強さを決める。単に人が集まった「集合体」から、一人一人が有機的に繋がって相乗効果を発揮する「結合対」に進化させなければならない。
・5-20-100の法則。まずは、意識的に動ける5%の人間が立ち上がる
その5%の人間がはたらきかけることで、20%の人の意識を変化させる。20%の意識が変われば、そこからは加速度的な変化が起こせる。まずは、5%、20%の変化を目指す。いきなりは変わらないと心得ておくこと。どんな変化も個の情熱から。個の情熱が他にも移っていくことで「組織の執念」へと高まっていく。
・情報の「共有化」ではなく、情報の「共通認識」が必要。伝えると伝わるの違いをよく理解しておくこと。見える化→伝わる化→つなぐ化→粘る化、の順に進化を遂げていくことを意識せよ。
Posted by ブクログ
日本人は「現場」という言葉が大好きですが、そもそも現場とはどう定義すればよいかと言えば、「あるべき姿があり、それに対して課題解決を図っている状況」を指します。
つまり、現場発での課題認識と、経営トップの組織のあるべき姿がフラットに融合していく状態こそが、現場力が発揮できている経営となります。『経営戦略の教科書』に続く第二弾として、本来の日本的経営の強さを取り戻すために必要なプロセスを、具体的事例を交えて説明した本。