【感想・ネタバレ】もしロシアがウクライナに勝ったらのレビュー

あらすじ

ドイツのNo.1ベストセラーを緊急刊行! 解説:奥山真司(地政学・戦略学者)
軍事・安全保障のエキスパートが圧倒的なリアリティで描く、
ウクライナ戦争後の「起こりうる未来」

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南クリル諸島(北方四島)をめぐる問題を考えれば、これは日本の利害にも関係する。ロシアがこれらの島を問答無用で自国の領土と宣言するのを、さらには中国が尖閣諸島を制圧し、軍事力に訴えて自国の要求をのませようとするのを、何をもって押し止めることができようか。つまり、ウクライナ戦争でロシアが勝利すれば、欧州だけでなく、アジアでもパンドラの箱が開くことになる。本書のシナリオは日本の読者にとっても対岸の火事ではないのだ。(日本版序文より)
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2028年3月27日未明、ロシア軍がエストニアの都市ナルヴァとバルト海のヒーウマー島を占領。バルト三国への攻撃が始まった。
2025年にウクライナ戦争が終結して以来、軍備増強という問題から目を背けてきたNATOは、ここへきて防衛能力不足があらわになる。一方ロシアはプーチン前大統領の悲願であった「歴史的使命」を完遂すべく、西側諸国への軍事的エスカレーションを着実に進めていく……。
はたしてNATOは結束して行動を起こせるのか? 不穏な動きを見せる中国の狙いは? そして、世界は核戦争へと突入してしまうのか?

【目次】
第1章 バルト三国、数年後の未来
第2章 ジュネーブ・国際連合欧州本部「パレ・デ・ナシオン」――三年前
第3章 風向きの変化
第4章 モスクワの雪解け?
第5章 ジュネーブ後のウクライナ――混迷
第6章 限定的な防衛能力
第7章 計画
第8章 マリ共和国キダル、2028年2月2日――ゲーム開始
第9章 ブリュッセル、2028年2月5日――撒かれたエサ
第10章 南シナ海、2028年2月28日――盟友の間接支援
第11章 シアトル、2028年3月26日――急報
第12章 ベルリン――2028年3月27日、4時20分(CET)
第13章 盗聴防止策が施されたビデオ会議――2028年3月27日、8時30分(CET)
第14章 モスクワ――2028年3月27日、九時(CET)
第15章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月27日、一4時(CET)
第16章 ワシントン・ホワイトハウス――2028年3月27日、一4時15分(CET)
第17章 80°49′35″N 66°27′30″W / 80.82639°N 66.45833°W――2028年3月28日、12時27分(CET)
第18章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月28日、16時(CET)
第19章 トヴェリ州ルジェフ(ロシア連邦)――2028年3月29日、9時(CET)
第20章 モスクワ/北京、2028年3月30日――新たな中心
解説/奥山真司(地政学・戦略学者)

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Posted by ブクログ

タイトルの通り、ロシアがウクライナとの戦争後にどう欧州に侵略するのか、ひとつのシナリオを提示している。
読み物としてとても面白い。
現実にならないことを祈る。
また、日本も知らないうちに工作によって分断されているのだと思った

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2025年11月04日

Posted by ブクログ

ドイツの軍事と国際政治の専門家(ミュンヘン連邦軍大学国際政治学教授)が、ロシアのウクライナ侵略が成功した場合、どのような未来を見ることになるのか、いくら説明してもご理解いただけないようなので、わかりやすく小説(仮想戦記)の形で世に出したもの。

バッドエンドである。
ウクライナは事実上消滅し、NATOの集団防衛はバルト三国に適用されず、中国は東アジアでフリーハンドを得る。

こうならないように世界各国は尽力しないとあかんよという本。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

読んでいる時正にプーチントランプ会談がアラスカで行われた。その結果と本書内容を照らし合わせると未来は暗黒としか…怖い

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2025年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そうなるのだろうな、と思いながら読み進めた。NATO が本当に機能するのかどうかは現実のニュースでも感じる。欧州、米国、ロシアの政治的駆け引きも現実味があった。核の使用をちらつかせる脅迫に屈するならば、ロシアの目的を封じることはできないな、と思いながら。

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2025年07月01日

Posted by ブクログ

これ迄のウクライナ侵攻や停戦に関する報道の度に感じている理不尽さ、無力感。あのトランプ氏のアメリカも「これほど多くの資金をなぜウクライナの軍事支援に投じなければならないのかアメリカ国民にこれ以上説明できない。同じ資金でグリーンランドを手に入れる方が投資対効果がずっといい」と考え、その形の善し悪しは別にしても先ずは停戦を志向し動くも敢えなく頓挫。
本書が指摘する様に、ロシアの行う非人道的行為(一般人の死傷、ウクライナ人の子供をロシア人の養子に勝手にする等)は、国際社会の注目を殆ど集める事はなくなり、国連も報告を受けるのみで実効手段を持たない。こんな事は、直ぐにでも終わらなければならないと思う事は皆(少なくともリベラルな国際秩序をよしとする民主国家の国民なら)同じ筈だが、独裁者達はそうではない。
かつて中国をWTOに招き入れたときに犯した西側先進国の勘違い(いずれ中国も資本主義になると期待したこと)と同様、今回も見誤る(プーチンの野望は偉大なるロシアの再興と応酬の安全保障構造の破壊であるのに、その野心はウクライナの一部領土の奪取だけだとの幻想を抱いてしまう)事になってしまうのであろうか。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

タイトルの通りの状況から始まるif世界。全部ではないにしろ、いくつかのこと(あるいは多くのこと)はかなり蓋然性が高そうだ。アフリカでの異変は予想していなかったが、南シナ海での衝突のエスカレートはいつ起きてもおかしくない。そんな中、ロシアにとっては時間が経てば立つほど有利になる。本書には出てこないけれど、中東の情勢は緊迫しているし、東南アジアの国々同士もきな臭い。この混沌とした世界での勝者は中国ということになってしまうのだろうか。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

フィクションであれば破滅的な大戦やハッピーエンドを志向してしまうが、これは国際秩序の根底の破壊というシナリオで恐怖。軍事的に占領された地域はわずか小さな都市かもしれないが、それによって破壊された集団安全保障体制や自由民主主義理念といった社会的な影響は計り知れないという恐怖がひしひしと感じる。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

本当に有り得そう、、、と思い込ませるような迫力だった。全てはウクライナで起きているこの紛争の結果如何によるのだろう。

一方で、ヨーロッパのブレーンには著者のような、ロシアを見くびっていない人達がいる。本作ではロシアは「西洋はロシアを頭脳的な打算なく衝動的に動く存在として見ている」と考える事で、思いのままにアメリカもヨーロッパも操っていた。

だが、権威あるドイツの学者による、この本の出版そのものがロシアにそういう思考をもたせることを許さない。大衆にワーストシナリオへの警鐘を引き起こすと共に、ロシア陣営に対しては牽制するような、何ともソフトパワーに詰まったような本だった。

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

中々リアルなストーリーだけど、そうはならないと思いつつも、若干の可能性も感じるなど。
ろしあ、中国、北朝鮮に囲まれた日本の将来が、本当に心配。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ウクライナは領土の20%を失って停戦。米欧の支援疲れ。野心を抱くロシアはNATO同盟国エストニアに軍事侵攻。核の脅威に怯えるNATOは集団自衛権条項を発動できず、機能を喪失。背筋が寒くなるが、認識すべきシナリオ

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

ミュンヘンの軍事・安全保障の専門家が、ウクライナ侵攻において「もしロシアが勝ったらどうなるのか」を想定した仮想戦記。「もし」と仮定形になっているが、日本から遠い欧州の戦後ではなく、世界的なパワーバランスが焦点になり、世界の政治を決する有様を示している。
日本近辺の海にも不審船が現れる現在、憂慮すべきと痛感した。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

著者は国際政治専門のミュンヘン連邦軍大学教授。本書はシナリオ分析として可能性の一つを示したものである。著者が「はじめに」で述べているように、本書の目的は、読者に考えるきっかけを与えることであり、さらに大事な点は、そこに描かれた未来が起こらないようにすることである。
このシナリオは、2028年3月27日エストニアの小都市ナルヴァへのロシア軍の侵攻から始まる。名目は「ロシア系住民の保護」である。溯ること3年前(2025年)にロシアのウクライナ侵攻はウクライナ領土の20%割譲で「和平条約」が結ばれている。EU、米国、欧州各国首脳は協議したが、エストニアがNATOに要請した第5条(集団的自衛権の行使)の発動には米国、極右政権のフランスに加え南欧諸国、ハンガリー、スロベニアなどの反対で取り下げられ、ロシアの侵略は容認されることとなる。
「あとがき」でこのシナリオにおいてロシアの勝利に寄与した要因について考察している。
第一は「ロシアによる核の威嚇の成功」であり、もう一つの要因が「戦略の欠如」であり、また「支援疲れ」にも触れている。
「何をすべきか?」として、著者は「具体的な軍事力の増強」と「社会のレジリエンスの向上」と述べている。論理的にはその通りと思うが現状のポピュリズムが伸長している政治状況を考えるとハードルは高く、このシナリオが実現してしまう可能性も相応に高いものと感じる。

【目次】
第1章 バルト三国、数年後の未来
第2章 ジュネーブ・国際連合欧州本部「パレ・デ・ナシオン」――三年前
第3章 風向きの変化
第4章 モスクワの雪解け?
第5章 ジュネーブ後のウクライナ――混迷
第6章 限定的な防衛能力
第7章 計画
第8章 マリ共和国キダル、2028年2月2日――ゲーム開始
第9章 ブリュッセル、2028年2月5日――撒かれたエサ
第10章 南シナ海、2028年2月28日――盟友の間接支援
第11章 シアトル、2028年3月26日――急報
第12章 ベルリン――2028年3月27日、4時20分(CET)
第13章 盗聴防止策が施されたビデオ会議――2028年3月27日、8時30分(CET)
第14章 モスクワ――2028年3月27日、9時(CET)
第15章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月27日、14時(CET)
第16章 ワシントン・ホワイトハウス――2028年3月27日、14時15分(CET)
第17章 80°49′35″N 66°27′30″W / 80.82639°N 66.45833°W――2028年3月28日、12時27分(CET)
第18章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月28日、16時(CET)
第19章 トヴェリ州ルジェフ(ロシア連邦)――2028年3月29日、9時(CET)
第20章 モスクワ/北京、2028年3月30日――新たな中心
解説/奥山真司(地政学・戦略学者)

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

仮想戦記っぽい体裁なんだけど、安全保障の専門家が書いてるだけあって政治的にも地政学的にも軍事的にもリアルだった。特にこの本からわかる重要な点は、ロシアのウクライナ侵攻が今後の世界の向かう方向を占う形になっているということ。もしロシアがウクライナに勝てば、米国やNATOの立場は明確になるし、力による現状変更がまかり通る世界が本当に来るかもしれないという予感がある。

NATOって同盟国が攻撃されたら自動的に集団的自衛権が発動するものだと思ってたけど、この本によると実際は会議で一致を取る必要があって、仮にロシアが東欧の小国に侵攻しても、大西洋の向こう側にいるアメリカが本土への核報復のリスクを冒してまで動くかはわからない。そこにNATOという仕組みの本質と限界があると思った。

そう考えると日本もまったく他人事じゃない。台湾有事もそうだし、もしかしたら『半島を出よ』みたいに北朝鮮からの侵略が現実になったとき、アメリカが本当に助けてくれるのかという想像すら浮かぶ。

ロシアは独裁国家で、普通に考えたら国民を大量に死なせてまで世界から孤立してまで侵略を続けるなんてあり得ないはずなんだけど、それでもプーチンはやるんだろうなという確信めいたものが残った。

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2025年08月10日

Posted by ブクログ

あとがきに書かれているとおり、ウクライナ-ロシア戦争終結後の仮想シナリオを小説のような体裁を取って描く仮想戦記。ロシアの政治目標の分析や内部決定をあまりにも単純に描いているように感じた。中国やアフリカでの偽装や陽動はあり得るシチュエーションとは思いつつも、裏付ける事実の補強が薄く、あえて学者サイドとしての鋭い指摘や特にサムシングニューな分析はない。どちらかというと本当に小説と期待して読んだ方がいいかもしれない。

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2025年10月26日

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