あらすじ
聖女の謀略? 悪女の純真? これぞ究極の魔性の女!かつて一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。彼女に魅せられたエリートサラリーマンが、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。やがて明らかになる男の転落と女の性(さが)。奔放に生きる有利子は悪女か、それとも聖女なのか? 悪女文学の傑作『マノン・レスコー』を下敷きに、女のあくなき愛と欲望を描く長編ロマンス。
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Posted by ブクログ
物語にも出てくる人物にも、イヤ~な感じとモヤ~とした感じが続いた作品でした。
弁護士の篠原、美貌の元女優・有利子、有利子の母・辰子、有利子の恋人・斉藤、辰子と有利子にたかっている金田と、こんなに同じところにイヤ~でモヤ~っとした人達が集まる!?と思いながら、読み進めてました。
途中、斉藤の手紙のところが読むのに停滞しましたが、後半はそうなの!?そうなるの!?という連続で、一気に読み進めました。
この作品は『女ともだち』の巻末の解説に気になることが書かれていたので、読んでみたのですが、まさかの楢本野江が出てくるとは。そして、楢本のその後が分かって、震えました。
昭和のドラマにありそうなエログロさと廃退的な感じと、何とも言えぬ読後感で、とても面白かったです。
そして、最後にタイトルの意味もわかって、すっきり。
Posted by ブクログ
2007年作品。真梨幸子作品なので、さぞイヤーなミステリーかと思いきや、ファム・ファタール=運命の女を描いたロマンティックなミステリー。
殺人事件の真犯人は誰か、というミステリーを縦糸に、ヒロイン野崎有利子を取り巻く人間関係を描いています。
単にミステリーとして面白いのですが、ヒロイン有利子に恋したあまり、社会的地位も財産も無くしていく男たちの破滅っぷりがとにかく甘美で、読んでいて胸がときめきましたね。
まるで読んでいる自分も有利子に恋をしているような気分になり、読み終わった今は、恋した有利子に全て奪われ捨てられたような空虚感さえあります。
『殺人鬼フジコの衝動』の、美しさを手に入れていくヒロイン藤子も相当魅力的でしたが、美しく生まれ育ってしまったこの作品のヒロイン有利子も魅力的なヒロインです。
Posted by ブクログ
真梨さんの作品なので、もっと後味の悪い物を想像してたが、ある意味、純愛?のような物語。ラストは、愛を貫いた男がいた。。側から見たら、堕落人生で最悪だけど、彼には幸せだったのだろう。
ここまで、愛にハマり身を落としていく人達が、現実の物語のようで、恐ろしかった。
悪女というか、素直で天然なところが、本当恐ろしく魅力的なんだなーと思わされる。
お母さんは本当最悪だね。。
いつものイヤミスとは違う、なんだか違う意味で心にきた作品だった。
真梨ワールドにハマってます。
Posted by ブクログ
タイトルが気になって購入。
ちゃんと終盤で回収してくれる。
激しく愛することで壊れていく男女。
皆、誰かに愛されたかった。
それがうまくいかないし、崩壊する。
嘘をつくし、人間のずるさ、醜さもあり。
自分の美しさを、最大限に利用して(母親が関与しているものもあり)生きている有利子。贅沢な暮らしと自由と愛がほしい人物。それなのに、忘れられないひと、その男が、地位も名誉もなくなっても、側にいたいと望むひとが、ひとり現れるのだけど…。最期は唯一の願いが叶うが…。いろんな人を巻き込んだ人生だから、しょうがないのか、でも、境遇を思うと、もっと他に選択はなかったのかとか、かなしいと言う感情が正解なのか複雑な心境だ。
ヒモ同然の男でも、捨てられなかった女たち。
全てをなくしても別れられなかった男たち。
その都度、選択しなくてはいけない道を、ことごとく間違って進んだ人たち。
Posted by ブクログ
悪女小説であり、サスペンスであり、悲恋小説である。悪女といいつつ有利子がどこか無垢なのが痛々しい。ラストはメリーバッドエンドかな…。
Posted by ブクログ
真梨幸子さんの著書は初読みでした。
一言で感想を述べると「切ない」ということかな…
有利子さんは、世間一般的には「男を狂わせる悪女」となるんだろうけど、根っこの部分から「悪女」という感じはしませんでした。
だって、本人の生きてきた環境、あの親と一緒に居たら本書のような女性になるのは当然とも言える。
幼少期を過ごした施設のシスターの言葉「あの子の真っ白な心を…」のくだりは本当にそうだなと思った、有利子さんにちょっと同情してしまった。
Posted by ブクログ
かつて一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。
奔放な彼女に魅了された男たちは彼女の為に浪費し朽ち果てる。
そんな男たちの一人が、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。はたして有利子は悪女か、それとも聖女なのか…?
あいかわらず、どろどろの人間関係を錯綜させる真梨幸子劇場の通常営業です。
絶世の美女の有利子に翻弄される周囲の人たちの視点で話は進んでいきます。
有利子にかかわると周りの人間はほぼ全員、人生のバランスを欠き、どこか歪んでいってしまいます。
人を狂わす磁場のような有利子なのですが、彼女視点の語りは無いので真の思惑がわからず、結局彼女が無自覚だったのか悪女だったのか謎のまま。
女の不自由な生きざまが哀しく、侘しい。
終盤は展開が急すぎて、なんだか雑。
つっぱしる筆の走りに読者が置いてけぼりに。
先に『女ともだち』を読んでおかないと意味不明な部分があるらしく、まだ未読だった私は残念でした。