あらすじ
安住に否を突きつけ、自由を夢見て、終わらない旅に向かう若者たち。ビート・ジェネレーションの誕生を告げ、その後のあらゆる文化に決定的な影響を与えつづけた不滅の青春の書が半世紀ぶりの新訳で甦る。
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文体が好き!面白かった!
私は涙出るくらいいい本だと思った。実際この本読んでて涙が出ることはなかったけど、読み終わってから振り返ると感極まる感じ。
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読書というより小説というよりひとつの人生だった。天使の若さの暴発を、そばにいて体験したのだ。
と書きつつ、第二部まではなにを読まされてるの?と退屈で仕方ない。だってここは2025年の日本で、舞台は1940〜50年代の遥か広大なアメリカ。若さゆえに金に女にここじゃないどこかにとピョンピョン飛び回るディーン像が想像でも立ち上がらず、ただひたすらに言動がころころ変わってついていけない。なんなら主人公パートしか読めない。
なんでこんなに分厚いの?と思って読み進めると、時折り登場する、人生への世界への鋭い洞察。そこに興味をもち後半に入ってくると、驚くことに前半の退屈さが繋がってくる。若さには前後なんてなく、今しかない。前半が今の集合体でしかなかったことが過去になることで、ディーン像に深みと奥行きを与える。おどけたクレイジーに哀愁が透ける。読み終えても、ディーンはどうなったのだろうと、私にしては珍しく登場人物の安否を気にしてしまう。これは原文で読めばもっとおもしろいのかもしれない。50年以上読み継がれ愛されている理由がよくわかった読書体験だった。
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大学生の時に読んだ本。
前半の熱量がすごい。引き込まれる。
中盤では、主人公が社会の窮屈さに段々と追い詰められる様子が描かれる。この辺は少し退屈になるが最後の旅における解放感が全てを帳消しにしてくれた。
若い内に読みましょう。
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佐野元春のインタビューに影響受けてバロウズだのギンズバーグだのを読み漁って、ビートジェネレーションなるものに憧れていた昔を思い出した。
いけないことをすることがカッコよくて自慢だった時代。今更この本に感情移入することはなかったけど、時に無茶をする勢いだけは失いたくないもんだ。
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現状から逃げてしまいたいと思うとき、衝動的にページを開きたくなる本。それで何かが解決するわけでも、即効性のある解決策が載っているわけでも、ないのだけれど、自由に触れたいと思うとき本棚にこの本があって助かったと思うことが何度もあったように思う。大好きです、メキシコの夜の描写がとくにすき。
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旅とは、人生とは、何かを再認識する一冊。
物理的な旅をすることだけでなく、旅をしたあとにも続く人生、他人の価値観、変わりゆく時代、全てを内包している。
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凄まじい重量感。
物語に大きな起伏があるわけでなく、ただの紀行文とも言える作品だが、その言葉選びのセンスと全編を包む疾走感が読後の満足感を引き立てる。
どうしようか。今日はどこかに行こうかな。そう思える不思議な小説。
映画、音楽共にビート文学から影響を受けた作品が大大好きなので読めて嬉しい。
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最高だったっ…!
冒頭の10ページほどでもう好きになってしまっていた。
要約の合間に描写がはさまれてるような感じなのに退屈さを感じないのは、文体がリズミカルなだけでなくて、語彙センスがずば抜けてるからなんだろう。
ディーンの父親は最後まで見つからず、サルはディーンを置き去りにした。おそらく、ここでディーン父は何かのメタファーであろう。
たしか1890年だかにフロンティアはなくなったとの宣言があったはずだが、ディーン父が産まれたのはもしかしたらその前後の年なのもしれない。であれば、ディーン父の不在はフロンティアの消滅を表してるのであり、かつてのアメリカのメタファーである。サルの旅が西へと向かうところから始まったこともそれを意識してるからだろう。
父を探していたディーンすらもサルは置き去りにする。もはや、かつてのアメリカはどこにもないし、それを探すこともしなくなった。
それでも最後は、僕はディーンとディーン父のことを考え続ける、という文章で終わる。サルは諦めたわけではなく、まだ旅の途上にいるのだろう。
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超名作「路上」を青山南さん新訳で読む。
読みやすさは圧倒的にこっちがいい。旧訳は言葉の選択とかがどうしても古くて、ちょっと読みづらいねんなぁ。
この歳になって読むとディーンの行動が若いころほど、かっこよく思えない。なんのかんの言いながら、こいつは結局、落ち着きのないダメ人間でしかないねんなぁ。
アメリカ大陸を、ヒッチハイクやおんぼろ車にのって、思いのままに縦横無尽にかけめぐる旅、ゆく先々で酒とドラッグとセックスで大騒ぎし、時には目の前の情景に圧倒されて…、
そういう当時のビート族スタイルにあこがれる気持ちが、俺の中にあったことは間違いないのだが、今となっては「そんなこともあったけど、今はもうちょっと静かな衝動と静かな行動が良いなぁ」などと思ってしまう。
老いたのか、熟したのか、成長したのか…。当時の俺は、今の俺をツマラン奴だと思うのだろうか?
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ちょっとばかりぶっ飛んだお兄さんとその友達、という設定。しかし大人になってもぶっ飛び続けるのは難しく、最終的には友達にも裏切られるという、なんだかさみしい結末。
なんだけど、いやそれは昔を振り返れば何ごとも楽しい思い出ってな雰囲気だから淋しげであって、ぶっちゃけ若い頃のお兄さんはけっこう酷い有様なので、致し方なしとも言えるわけで。そして主人公が一番うまく立ち回ってる感じもしなくもなく。
ともかく中盤のお兄ちゃんの無茶苦茶っぷりが、言葉の濁流となって流れ込む感じが最初の頃は勢いがあるけど、段々と慣れるのか、衰えていく感じがこれまた儚い。
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まず文章がいい!面白い。でも後半になるにつれてだんだんと興味がなくなっていった。
一番文章がいいなと思ったのが最初の10〜20ページ目ぐらい。これ以降その勢いはあまり感じられなかった。
アメリカの地名がたくさん出てきたので、アメリカの地理に詳しかったらもっと楽しめたんだろうなーと思いながら読む。これがイギリスならなーとか思ってたけど、イギリスにこんなにもロマン溢れる大陸ロードあるわけないない笑。
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主人公の作家・サルと親友ディーンはアメリカ大陸をヒッチハイクや自分の車で東西(最後はメキシコ)に行ったり来たり、道中はほぼ酒、盗み、ドラッグ、セックス、しかない。
盗んだバイクで走りだしてずっと走り続けたらこうなった、みたいな…(汗
「あらゆる文化に決定的な影響を与えた伝説の書」(裏表紙)だそうですが今だと迷惑系ユーチューバーっぽいかな。文章や構成も、めちゃくちゃなスピードで車で走った!いい女がいた!走り去った!目的地に着いた!という繰り返しで動画っぽい。
「旅がしたい」と思って手に取りましたが衝撃的でした。女性がモノ扱いというか、心を通わせるとかないんかーい、みたいな。でも自分にとっては異文化すぎて面白いと言えば面白かったです。令和の文学にもこういう「ありえない」疾走感が必要なのかも。
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正直言うと、いったい、いつになったら読み終えるものかと途方に暮れてしまった。おそらく僕自身、読むことで、読みながらにして日常生活の隙間から見える“旅路の果て”へと意識を向けていたかのような、読書の最中というものは少なからず意識は“飛ぶ”ものだと思うけれど、今回のそれは、いかにも広大な旅路の眺めだった。
ちょっと言い過ぎかな。呑まれ過ぎかな。
“ロード”をして即ち人生に擬えることは、きっと安易で、有りがちなことで、すでに数多の言葉にて語り尽くされているだろうことは想像に難くない。時代とか世代とか、今を生きる僕らは、いつでもそれらの真っ只中にいて、気付かないこともたくさんあると思うけれど、気付かないことや、知らないことを、そのままにして次代を望むことなど出来はしない。ゆえに僕らは考えたり、探したり、悩んだり、摑みどころのない問題の数々を解こうと試みる。“ロード”に何らかの、解決の糸口を見出そうとした彼らの、剥き出しの物語だった。“ロード”については時代も世代も、じつは無関係で、そもそも人類は移動を繰り返すことで生を繋いできた。それこそ人類の生命力の源であり、根元的な欲求であることは間違いないだろう。思い思いの場所に根を下ろした彼らの振る舞いから、何らかの彩りを感じただろうか。生命力を誑かす数々の誘惑に溶けきってしまった日常は一見居心地が良く思えるけれど、何らかの違和感の、それらが不満や鬱憤などとは気付かないほど些細な齟齬の積み重ねなどは避け難く、少しずつ表出し、漏れ出し、いずれ隠しようのない、明らかな居心地の悪さとして確信に至るだろう。その場に居たのが僕らなら、きっと茫然としてしまうに違いない。
しかし彼らは実践してみせた。
“ロード”へ、と。
止まることのない移動の、すなわち生への欲求の発露。誰へ向けても、分け隔てなく開かれた“ロード”へ。
その一端に立つことで、僕らは、きっと自由を手に入れる。唯一無二の人生を手に入れることができるのだろう。
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Deadとかジャムっぽさあるな〜って思ったけどジャズか。たしかにジャズだ。
ビートジェネレーションの解像度が上がったと同時に興味深さも深まった。惹かれる要素が多いなか現代に多くを落とし込むことはなかなか難しい。ただこのスピリットを秘めているかどうかでも変わると信じる。
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面白いのだけれど、かつて勃興したカウンターカルチャーについて知る「古き良きバイブル」になってしまった感は否めない。
スピード感があり生命力迸る文体は魅力的であるが、諸刃の剣であり、読み手のテンションによっては「関係ないことを止め処なく言ってんなよ」となる。
とはいえ、社会に対する逸脱の姿勢を、放浪ならではの煌びやかさを伴いながら描ききったことは、これからも何かに閉じ込められている私たちに勇気を与えつづけてくれるのだと思う。
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友人ディーンに振り回されながら、3度の横断と1度の縦断でアメリカ大陸を移動しまくる主人公サル・パラダイス。
時速100km超で移動しまくり、各地でしょーもないことをしまくります。
そんな彼らも、また成長の途上(オン・ザ・ロード)なのであるのだな〜とサクサク読めてしまいます。
"パパとママと温かい家庭"という白人中心の『大きなアメリカ』物語を斜に捉えた『ビートニク』の旗手ケルアックのポスト冷戦時代を感じる疾走感と青春感あふれる一冊。
ヒッピー文化、反戦、ラブ&ピースなどの時代文化背景を理解しながら読むとより上手く理解できると思います。
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最高な表現と剽軽な若者たち。
以下よかった表現。
まるでアメリカが裸身を洗っているような、ムッと鼻をつくきつい匂いがした
とうもろこしの匂いが夜露のように溢れていた
ありとあらゆる寂しい音を聞きながら割れ目の走った高い天井
疲れ切った朝の甘美さの中でセックスをした
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若い頃に一度読んだが、歳を取って改めて読むと、旅そのものへの憧れよりも、このディーンに対するサルを愛情、友情、憧れを強く感じる。
ディーンの人間の原石のような魅力に振り回される。
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その名は知っていてもこれまで読んでいなかったケルアックの「路上」をようやく読み終えた。自動車で何度もアメリカを東から西へ、また西から東へ往復しながら、段々崩壊していく友人との旅の途上の話。それでも定着した作家が、戦争がやっと終わってまだ共産主義が色褪せていないころに、これまでと全く違う手触りの若者の生き方がありえることを示したのがこの小説だと思った。
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著者自身の旅の日記。これだけのことをよくも覚えているもんだと感心するが、焼き付くほどに思い入れが強かったんだろう。伝えたいことがある訳じゃないと思う。だって日記だから。どう感じるかは読む人それぞれ。ちょっと読むには長いけど、もう一回読みたいと思う作品。
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青春が過ぎ去った今の私には夢のような話に思えて、ハマるのに時間がかかった。その反面、彼らが抱く無謀さがキラキラしていて眩しくて羨ましいと思った。
州を越えたり国を越えたり、移り変わる自然や人、友人たちとの関係性の描写がリアルで、私もアメリカを横断しているように感じていた。また解説に「ストーリーのない小説」とあって納得した。
余談だが、幼い頃母が「道は続いているから大丈夫」と言っていたことを思い出し、終わりのない道が続く感覚は万国共通なのかもと思ったりした(もしくはこの本読んでたのかも笑)
ジャズをお供に読み進めたい1冊!
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長い長ーいロードトリップ。ケルアックのワードセンスと来たら、もう右に出る者は無い。
こんな風になんでも適当に、気持ちいい事だけ求めて後先なんて考えずに、思いついたことを叫びながら人生走り切れたら、多分30を待たずに力尽きて死ぬんだろうが、幸せなんじゃないでしょうか。
最後の方でサルが正気に返って真っ当に考え始めるのが衝撃だった。この大冒険を経て!ああ人生ずっと宙には浮いて居られないのかしら。
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50年代、60年代のアメリカ。ビートジェネレーション、カウンターカルチャー、ヒッピー。豊かすぎる時代に育った若者たちが、豊かさに飽き足らず、自由奔放、わがまま放題に生きた時代と言ってしまおう。ジャズ、ロック、ジーンズ。そのカルチャーにある意味、憧れた世代ではあるのだけれど。
その時代のバイブルと言われた本がこれ。ボブ・ディランは「僕の人生を変えた本」と言ったとか。
訳者の青山南さんが解説で「「オン・ザ・ロード」はストーリーのない小説である。どこから読んでもかまわない、どこを読んでもかまわない、さながら長詩のようである。」と書いているが、これ以上の紹介はない。クルマ、酒、ドラッグ、セックス。やりたい放題な若者たちの青春の断片。もはや共感することは難しいが、あの時代の空気感のようなものを感じるための、ある種の古典といえるだろう。
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私は旅をする話が好きだ。
高校生の時に手にとった深夜特急に始まり、ポール・ニザンからクーロン黒沢まで、多くの旅に関する本を手にとった。
本書は20世紀アメリカ文学を代表する「旅の話」である。
ヒッピーやバックパッカーのような、青年が仕事を放棄し、最低限の金銭だけを持ち、詳細な予定は立てず目的地だけを決めて長い旅に出るという現代の旅にも通じる元型を提示した作品だと感じる。
アメリカ大陸の広大さを感じさせるダイナミックな作品だが、多くの人が絶賛する割に自分はのめりこめなかった。
おそらく、旅の道中のサルとディーンのやりとり、彼らをとりまく人々との出来事が話の中心であり、街の描写や旅人が受けた印象にフォーカスした作品ではないからだと思う。
(アメリカ人がアメリカを旅する話なので当然なのかもしれないが。)
自分はどちらかというと人と人のエピソードよりも、旅人が訪れた場所に関する記述が好きで旅の本を読むのだということに気がついた作品だった。
長い旅との付き合い方は人格が出る。
多くの人々は、若い頃に長い旅に憧れ実践したとしても、定職につき年を重ねると長い旅に出る自由と熱意を失う。
だが、たまさか、長い旅から離れられずに転々と生きる人がいる。
旅の自由と旅への熱意を失った大衆は、この永遠の旅人を不適格者として見下す一方、嫉妬と憧れを抱く。
誰もがディーン・モリアーティのような生き方を避けるが、彼のようになりたいと思うのだ。
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アメリカ大陸を横断するサルとディーン。なぜ、そこまでサンフランシスコへ向かうのか。はちゃめちゃで衝動的な旅。通過するだけの街もあれば、ハメをはずす都市もある。気ままにノープランに走り倒しすこと5回。時には腹をたてることもある。だけど、許してしまえる何かがあるディーン。大人になる気なんてなく、いるのかいないのかわからない父親の亡霊を追いかけているようでもある。旅の間中、思い出、与太、妄想、ともかく話す。身があるとか、コミュニーケーションとか関係なく喋り倒す。だから、どんな選択をしようとも「大丈夫」
Posted by ブクログ
ホーフスタッターがビート・ジェネレーションのことをなんというか手厳しく書いているのを読んだので、本棚にほうってあったのを手にとってみる。
第1部は沢木耕太郎『深夜特急』を彷彿とさせなくもない。デモインの安ホテルでひとり目覚めて15秒だけ茫然自失とするシーンなんか分かる気がして好き。第2部以降、だんだんディーンにくっついて回るようになると、サルは引っ張られてばかりというか、まあお前の友達はスゴイのかもしれんが知らんぞ、という風になってきて冗長に感じてしまう。まあ、でもたまには少しだけじじむさい事も言ってみたり、最後の最後ではディーンの惨めな様子が「もののあわれ」である。大人になれぬもどかしさみたいなものの自覚はあるのだろうな。大人になる気がないにしてもだ。最後のほうはたまたま酔っ払って読んで、こうしたほうがいいかも、と思った。
カリフォルニアのセントラル・バレーの茫漠とした感じとか、ちょっと思い出した。あのへんは50年台も最近もそんなに景色は変わっているまい。