あらすじ
赤ちゃん研究は、赤ちゃんに関わる人のためだけに行われているのではない。赤ちゃんを研究することは、人間の本質的な能力を探ること。世界各国で大規模な研究が行われ、日本でも最先端の情報技術研究所の中に「赤ちゃん研究チーム」があるのは、赤ちゃん学が未来の技術開発につながる研究だからだ。これは、二児の母でもある気鋭の発達心理学者が、最先端科学を通じて驚くべき人間の本質を明かし、希望の未来を描く本である。
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赤ちゃんを学ぶことで人間の本質を学んでいる気がする。性善説を信じることになるかも。例えば、利他の心を生まれながらにして持っている、というか、そういう風にプログラムされて産まれてきているという点。
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AIでもかなわない赤ちゃんの能力。
実験と実際の子育てから得た最新の知見による赤ちゃんの力。足し算や善悪の判断など。
性善説を信じたくなる。
自分の子の言葉の獲得過程など、今振り返ると本当懐かしくなる。
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とても面白かった。まだ子育てに関わったことがないので実感がある訳ではないが、赤ちゃんは周りが思っている以上に好奇心旺盛でかしこいんだなぁと思った。
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ちょうど赤ちゃんを育てているので、実生活とリンクしながらとても楽しく読めました。
赤ちゃんはいい人が好きとか、赤ちゃんの正義感とか興味深い内容が沢山ありました。
筆者も赤ちゃんを育てているママさんなので、筆者の書かれる文章を読んでいて分かるなぁと何度も共感しました。
内容については、特に赤ちゃんとメディアという章が参考になりました。
元々見ないこともあり、テレビを赤ちゃんに見せることには否定派だったのですが、「いないいないばあ」は0〜2歳を視聴対象として筆者も監修に加わり研究成果にも基づいて作られていると知り、早速我が子にも見せてみました。
すると、弾けるような笑顔で手をバタバタさせながら視聴していました。数日見せただけで、なんだか発声量も増えた気がします。
これからも子供と一緒に楽しんで見させてもらおうと思います。
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育児本、なぜスピリチュアルに寄りがちなのだろうとフラストレーションが溜まっていた矢先に出会った、まさに求めていた一冊。
これを読むと、乳幼児の子育てに新たなやりがいが見出せるかも。
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赤ちゃんが見る世界は、想像以上に広く、単純ではない。
本書を読み進めていくと、赤ちゃんの成長の可能性に驚きを隠せない。印象に残ったものとしては、正義の心や、人に自分の物を分け与えることに喜びを感じているという部分だ。産まれて間もない時から赤ちゃんが自分なりの道徳心を持っているということは、一人前の人間として接することが適切な場面もあるということを意味するのではないだろうか。
赤ちゃんは社会で守るべき存在だが、確かな考えを持つ「個」として、微笑みを向けることになるだろうと感じた。
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生成AIを凌駕する、最強の学習装置
今月には父親になる。赤ちゃんという「未知の存在」への解像度を高めるために手に取った一冊。 著者は発達心理学の研究者であり、二児の母。本書は「寝かしつけのテクニック」や「かわいい写真集」ではない。ヒトの赤ん坊が持つ驚異的な学習システムを解き明かす、硬派なサイエンス本である。
■生成AIを超える「取捨選択」能力
興味深いのは、赤ちゃんを「学習する知性」として捉えている点。 その能力は、昨今話題の生成AIをも凌ぐ。AIは膨大なデータを無差別に飲み込むが、赤ちゃんは違う。親や周囲の人間の視線、声色、反応といった社会的シグナルをヒントに、自分に必要な情報を効率的に「取捨選択」して取り込む。 この「社会的フィルター」を通した学習こそが、ヒトがヒトたる所以。
■育児とは「教師データ」の入力作業
これから親になる身として背筋が伸びたのは、赤ちゃんの学習プロセスへの言及。 絵本の読み聞かせ、何気ない会話、親の仕草。これら全てが、赤ちゃんにとっては高度な「機械学習」のためのインプット(教師データ)となる。 親が意図しようとしまいと、彼らは常に観察し、統計的に処理し、言語や社会性を獲得していく。育児とは、この超高性能な知性に対するデータ提供作業と言えるかもしれない。
■「理系」向きの文体
著者の筆致は非常に理知的。研究活動や論文に触れた経験がある人間には、論理構成が明快で読みやすい。 一方で、妻は「少し文章が難しい」と漏らしていた。情緒的なエッセイやハウツーを期待すると、少々堅苦しく感じる可能性はある。あくまで「ヒトの機能」を学ぶための専門書として読むのが正解。
■まとめ
赤ちゃんを「守るべき弱い存在」としてだけでなく、「尊敬すべき学習者」として見る視点が得られる。 これから始まるオムツ替えや夜泣きの日々も、彼らのニューラルネットワークが構築される過程だと思えば、知的な興奮を持って向き合えそうだ。
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とても、おもしろい。
しかし、よく考えてみれば、ここで紹介されている科学的検証の結論は、通説通りや、当たり前のものが、ほとんどだと思う。
例えば、「映像で学ぶよりも、目の前の大人から学ぶほうが身につく」なんて、誰だって直感的に分かることだ。
そりゃそうだ。
人間は、太古の昔から、子育てをしてきたのだから、積み重ねられてきた直感的な経験知が、おおむね正しいのだ。
ホモ・サピエンスは、動物としては、ほとんど進化しておらず、生活環境やメディア環境だけを自らの手で、大幅に変化させた。
新しい環境のなかで、いかに子育てするべきか?悩むわけだが、別に、「現代っ子」は、新しい動物ではないのだ。
つまり、動物として、直感的に当たり前の子育てが、本道なのだろう。
※
この本で、もっともおもしろいのは、2章の「赤ちゃんと道徳」だろう…
赤ちゃんは、利他的であり、人助けが好きで、人助けをする人物が好き。
自分が得ることよりも、他者に分け与えることに、より大きな喜びを感じる。
ご褒美のためでなく、内発的な動機から、人助けをする。
いじめられる側に心を寄せ、いじめる側には罰を与えるべきだと感じている。
有能な勝者が好きだが、暴力的な人物は避ける。
見えない存在から、見られていると感じると、道徳行動が促される。
公平性を好むだけでなく、労力に応じた分配を期待している。
能力よりも、努力を褒められるほうが、やる気が継続する。
…これらを読むと、まさに「性善説」。
「人間の本質は善である」という神秘に触れた気がして、感動的である。
しかし、よく考えると、要するに、人間は、このような判断により行動するタイプの社会的動物だということなのだ。
たまたま、そのように進化したから、それを「善し」とする慣習や言説で、社会が形成されたのだ。
例えば、兄弟を食べる動物や昆虫にとっては、それが「善し」なのであろう。
まったくもって、不思議なものである。
ホモ・サピエンスという形態で生まれてきた以上、その認知形式の外側を体感することなど不可能なのだ。
「善」というイデアが、どこかに存在するわけではないことに注意しなければならない。
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・赤ちゃんが効率よく知識を習得するには、アイコンタクトや乳幼児向けの話し方といった社会的手がかりが重要。
・2歳以下の赤ちゃんは、自分のお菓子を分け与えることに、自分がお菓子をもらう以上の喜びを感じる。
・赤ちゃんに話しかける時は、赤ちゃん言葉でも成人語でも構わない。ただし、両方を併用すると混乱し、学習が進まない可能性がある。
・疑問文で話すと語彙が増える。(「靴下を履きなさい」ではなく「どの色の靴下がいい?」「なんでその靴下がいいの?」と、「なぜ」「どうして」を使う)
子育てしてる人が読むと、面白いと思う。
赤ちゃんって、すごい能力をたくさんもってるなぁ。
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赤ちゃんは生まれつき学ぶ力があり、人の善悪を見分け、周りが見える存在であることを実験から示した本。
これまで赤ちゃんはか弱く、何もわからないままこの世に生まれてくる存在だと思っていたが、実験の中で人間として最低限の学習能力を備えていることがわかった。
1歳の子どもがいる身としては感覚的にしていた子育てに自信を持った部分と直さないといけないと感じた部分があり、非常に有意義だった。
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出産前に知りたかった情報(メディアは見せていいのか、どんなふうに話しかけるべきかなど)が書かれていて非常に学びのある一冊だった。赤ちゃん、我々が思っている以上に賢い。文章も読みやすく、著者のお子さんのエピソードに笑ってしまう場面も。
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さまざまな科学データを用いながら、さまざまな事象に対する赤ちゃんの反応を検証していく。
子育て真っ最中の自分にとって、タイトルにあるこの「赤ちゃんは世界をどう見ているのか」は、本当に気になるところである。何を見て、何を感じ、何を学んでいるのか。悪くいうと私の一挙手一投足を見て、赤ちゃんは私を評価しているのではないか、と悩む時もある。
まあでも、今しかないから今を全力で楽しまなきゃな、というのが雑な感想である。そう思わせただけでも、価値のある本であった。
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赤ちゃんの学びに関する発達心理学関係の研究の紹介本。
あくまで発達心理学の研究紹介なので、紹介される研究のほとんどは行動観察等の実験結果であり、統計的に有意な差がある傾向が明らかにされているものの、赤ちゃんの脳のメカニズム等についての直接的な言及はない。特に後半は著者自身の研究紹介の側面が強く、タイトルから期待される内容とは少しずれている部分があったと感じた。
ただ、目新しい知見が多いというわけではないが、子育てにおける経験則が条件を統制した実験でも確かめられているということを、道徳・言語などのテーマ別に概観できたという意味では有益な本だった。
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2歳児の子育て真っ最中ですが、子どもの成長速度には日々驚かされています。
ついこの間までは泣くか寝てるかの新生児だったのに、いつの間にか歩いて走って簡単な会話までできるようになり…
親がしていることなんて食事や排泄などの身の回りのお世話くらいで、子ども本人の成長能力が凄まじいなと感じます。
本書は赤ちゃん(〜2歳くらいまでの乳児を中心)にどんな能力があり、どう発達していくのかの研究成果を紹介しています。
章別で様々なトピックがあり、比較的読みやすいです。
前半は赤ちゃんの学習能力、道徳心について。
AIは大量のデータを学習させる必要があるのに対し、赤ちゃんは周囲とのかかわり合いを通してわずかな経験から学ぶことができる。
言われてみればこれってとても不思議ですごいことですね。
また、お手伝いをしたり自分のものを分けてあげることを好むというのも、赤ちゃんがもともと利他的な心を持っているといえるそう。
実体験でも、大人からしたらお手伝いが好きだなんて偉いな〜と感じます。
これも周囲との関わりのなかでだんだん利己的になったり性格が形成されていくようではありますが。