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赤ちゃん研究は、赤ちゃんに関わる人のためだけに行われているのではない。赤ちゃんを研究することは、人間の本質的な能力を探ること。世界各国で大規模な研究が行われ、日本でも最先端の情報技術研究所の中に「赤ちゃん研究チーム」があるのは、赤ちゃん学が未来の技術開発につながる研究だからだ。これは、二児の母でもある気鋭の発達心理学者が、最先端科学を通じて驚くべき人間の本質を明かし、希望の未来を描く本である。
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Posted by ブクログ
■赤ちゃんは社会性が発達する過程において、最初は「赤ちゃんと大人」といった二項関係を通じて世界と関わる。生後9ヶ月頃になると赤ちゃんは「自己ー他者ー対象」の三項関係を通して世界と関わるようになる。この三項関係を通じて赤ちゃんは他者と物事を共有し相互に注意を向け合うようになる。この三項関係を支えている...続きを読むのが、相手が興味を持った対象に自分も注意を向ける共同注意である。視線追従は共同注意の代表的な行動。生後9ヶ月頃から赤ちゃんは他者の視線を追うようになり、その視線の先にある対象を捉えられるようになる。また、生後12ヶ月頃には、自発的に指差しを始め、自分が興味を持った対象を他者に示す行動を見せ一緒に共有しようとしたりする。 ■赤ちゃんのお手伝い行動が内発的な動機から生まれていることを示す研究がある。実験では1歳8ヶ月の赤ちゃんが援助行動をした際に、①何も報酬を与えない、②お礼を言う、③物理的な報酬としておもちゃを与える、という3種類の反応をした。その後赤ちゃんの援助行動がどのくらい続くかを比較したところ、③のおもちゃを与えられた赤ちゃんは、次第に援助行動が減少することが分かった。これは、赤ちゃんにとってお手伝いは自分がやりたいから行っている行動であり、おもちゃというご褒美がその動機を弱めてしまうと解釈されている。お手伝いをしたときは物を与えるのではなく感謝の言葉を伝えるほうがよい。 ■赤ちゃんは「良い人」が好き 赤ちゃんも生後1年目から他者の行動の善悪を判断する能力を持っていることが明らかになっている。ハムリン博士らの研究では、6ヶ月と10ヶ月の赤ちゃんが他者を妨害する意地悪な相手を避け、他者を助ける親切な相手を好むことが示された。また、3ヶ月児でも注視行動を用いた実験により妨害者を注視しないといった反応が見られており、悪者を検知する能力が報告されている。 ■褒められる内容によって行動が変わる。3歳と5歳の子供に対し、「賢いね」と能力を褒める場合と、「頑張ったね」と努力を褒める場合の影響を調べた結果、3歳児と5歳児ともに「賢いね」と褒められた子供は推理ゲームでカンニングをすることが増え「頑張ったね」と褒められた子供はカンニングをしない傾向があった。これは、「賢い」と能力を褒められた子供は、自分の評判を維持するために賢く見せなければと感じ、プレッシャーからカンニングをしたと考えられる。一方、「頑張ったね」と努力を褒められた子供は、次回も頑張ればよいと捉え、不正をする必要を感じなかった。 ■語りかけると語彙が増える 「3000万語の格差」という言葉は、子供の言語発達における養育者の語りかけの重要性を示す概念。子供の言葉は主に養育者の語りかけによって育まれる。遺伝や親の経済力、子供の社会的能力といった多様な要因が関与するが、養育者がどれだけ子供に語りかけるかが極めて重要であることが明らかになっている。語りかけは単に親子のコミュニケーションを深めるだけではなく、子供の語彙や知能の発達を支え、さらには将来の学業成績にまで影響を与えることが明らかになっている。 ■アメリカのハート博士とリズリー博士は社会経済的地位が異なる家族を対象に、子供が9ヶ月から3歳になるまでの会話を追跡調査した。この調査では過程の職業や教育年数、世帯収入を基に、「経済力が高いグループ(専門職)」「経済力が中程度のグループ」「経済力が低いグループ(生活保護世帯)」に分類した。調査の結果、家庭で子供が聞く言葉の数には、大きな差があることが分かった。経済力が高い家庭の子供が聞いた言葉の数は経済力が低い家庭の子供が聞いた言葉の数を大きく上回り、3祭の終わりまでのその差は3200万語に及んだ。これが「3000万語の格差」である。 ■疑問文で離すと語彙が増える 養育者からの言語インプットにおいて、疑問文を頻繁に使う養育者の子供はより多くの語彙を習得していいることが報告されている。会話のやり取りも同様に重要。疑問文は相手からの反応を求めるため子供の発話を促す。例えば養育者が一方的に「靴下を履きなさい」と言うのではなく、「どの靴下がいい?」「なんでその靴下がいいの?」と、「なぜ」や「どうして」といった疑問文を使うことで子供が状況や気持ちについて言葉を発しやすくなり、会話が広がる。 ■メディア視聴の影響 健康面で幼児期メディアを多く使用することがBMIの上昇と関連し、肥満リスクが懸念されている。例えば食事中にテレビを視聴することで満腹感を適切に感じ取る能力が低下することが報告されている。また、睡眠への影響も指摘されている。寝室にメディアがある子供は睡眠時間が短くなる傾向がある。夕方にメディアを視聴する赤ちゃんは、視聴しない赤ちゃんより夜間の睡眠時間が短いことが明らかになっている。これはスクリーンからのブルーライトがメラトニン生成を抑制し、睡眠の質を低下させることや、映像や音の刺激が覚醒を促す影響が関与していると考えられる。 さらに、幼児期のデジタルメディアの使用の課題は、親子間のコミュニケーションが減少することである。メディア視聴時間が増えることで会話や遊びといった親子のやり取りが少なくなり、それが子供の発達への悪影響に繋がる可能性がある。特に、親子のやり取りの減少が子供のテレビ視聴と言語発達の遅れとの関連を説明する要因の一つとして議論されている。 ■つけっぱなしテレビ(バックグラウンドテレビ)の影響 バックグラウンドテレビが子供の行動や親子の関わりに与える影響について、様々な研究が行われてきた。ある研究では、1〜3歳の子供がおもちゃで遊んでいる間にバックグラウンドテレビがどのような影響を及ぼすかが調べられた。結果は、テレビがつけっぱなしの部屋では子供がテレビを殆ど見ていなくても、おもちゃ遊びの自発性や集中力が著しく低下することが示された。バックグラウンドテレビの存在は、子供の遊びを妨げ、認知発達に悪影響を与える可能性が指摘されている。 親子のコミュニケーションにも影響を及ぼすことが分かっている。テレビがついていると親の関心がテレビに向かいやすくなり、その結果、親子の関わりが大幅に減少する傾向がある。親が子供にしっかり向き合わず、表面的な対応になってしまうことがあり、親からの働きかけが消極的になることで、親子のコミュニケーションの質・量ともに低下する問題が指摘されている。 さらに、バックグラウンドテレビに晒されている子供は他者の思いや感情、望みを読み取る力が弱いようだ。これらの研究結果から、幼い頃から慢性的にテレビに触れ続けることが発達に望ましくない影響を及ぼす可能性があることが分かる。 ■赤ちゃんはメディアから学習できるのか。2歳までの子供は認知能力、言語能力、運動能力、社会性の発達において、直接的な体験や関わりが必要である。この時期の赤ちゃんは目の前にない物事を頭の中でイメージしたり記憶したり集中して物事を見る力がまだ十分ではない。そのためテレビやタブレット端末など画面上の映像から学習することは難しいと考えられている。例えば隣の部屋におもちゃが隠されてる場面を「実際に見た」赤ちゃんと「ビデオで見た」赤ちゃんがそのおもちゃを発見できるかを調べる実験があるが、結果は、ビデオで見た赤ちゃんはおもちゃを発見する成績が非常に低いことが分かった。赤ちゃんは直接的な体験を通して学習するが、メディアから得た知識を現実に応用することは難しい。 ■2歳時に対面、ビデオチャット、録画映像の3種類の方法で新しい単語を教えた実験では、ビデオチャットで学習した子供は対面で学習した子供と同等に単語を学習することができた一方、録画映像で学習した子供は新しい動詞を学ばなかった。この実験から学習に影響を与えるのは社会的随伴性であることが示された。社会的随伴性とは子供の行為や発語に対して応答的な反応を示しながら働きかけるやり取りである。例えば、子供がある方向を指さしたら大人がその方向を見る。子供の問いかけに対して大人が適切に返答する、などの関わりの流れである。 ■1969年にアメリカで放送が開始された「セサミストリート」は貧困家庭の未就学児に適切な教育を提供ることを目的とした「ヘッドスタート計画」の一環としてアメリカ政府の要請を受けて開発された番組である。家庭に普及しつつあったテレビを通じて文字の読み書きや計算技術、社会性、道徳的規範などの教育を提供することで、子供が豊かな教育的環境で育まれる知的能力を身につけられることを目指していた。
子供を育てる中で不思議な生き物すぎて読んでみることにした。なんで何もないところからしゃべることができるんだろう、顔を認識しているんだろうなどなど不思議でしかない。結局読んだ感想としては赤ちゃんってすごいなっていうところに尽きる。なぜしゃべれるようになるのかでいうと結局成長力が強いというところに尽きる...続きを読むのだが、著者がおわりにに書いている通り、経験則的ものがデータとして示されていることにひとつ見どころがあると思う。あるいはどの時点ではどういう状態なのかというところも見えるのはおもしろかった。 個人的には映像から学ぶことはないというのが印象的だった。
本当に勉強になった! 子供が生後6ヶ月のときに買った。 特に言語発達についての話や、善悪の判断がつくといった話が興味深かった。 言葉も通じない、喋れない、フニャフニャでか弱い存在…ではなく、一人の人なんだと改めて実感したし、 私が支配するべきではないという気持ちと、最大限可能性や知的好奇心を引き...続きを読む出してあげたい、という気持ちがぶつかった。 何はともあれ、子どもの人生が彩り豊かで楽しいものになりますように。
一歳の息子がいるため、とても面白かった。このタイミングで読めてよかった。沢山話しかけて沢山本を読んであげよう。赤ちゃんが赤ちゃんでいられる時間は限られていますからね。
赤ちゃんを学ぶことで人間の本質を学んでいる気がする。性善説を信じることになるかも。例えば、利他の心を生まれながらにして持っている、というか、そういう風にプログラムされて産まれてきているという点。
AIでもかなわない赤ちゃんの能力。 実験と実際の子育てから得た最新の知見による赤ちゃんの力。足し算や善悪の判断など。 性善説を信じたくなる。 自分の子の言葉の獲得過程など、今振り返ると本当懐かしくなる。
とても面白かった。まだ子育てに関わったことがないので実感がある訳ではないが、赤ちゃんは周りが思っている以上に好奇心旺盛でかしこいんだなぁと思った。
ちょうど赤ちゃんを育てているので、実生活とリンクしながらとても楽しく読めました。 赤ちゃんはいい人が好きとか、赤ちゃんの正義感とか興味深い内容が沢山ありました。 筆者も赤ちゃんを育てているママさんなので、筆者の書かれる文章を読んでいて分かるなぁと何度も共感しました。 内容については、特に赤ちゃ...続きを読むんとメディアという章が参考になりました。 元々見ないこともあり、テレビを赤ちゃんに見せることには否定派だったのですが、「いないいないばあ」は0〜2歳を視聴対象として筆者も監修に加わり研究成果にも基づいて作られていると知り、早速我が子にも見せてみました。 すると、弾けるような笑顔で手をバタバタさせながら視聴していました。数日見せただけで、なんだか発声量も増えた気がします。 これからも子供と一緒に楽しんで見させてもらおうと思います。
育児本、なぜスピリチュアルに寄りがちなのだろうとフラストレーションが溜まっていた矢先に出会った、まさに求めていた一冊。 これを読むと、乳幼児の子育てに新たなやりがいが見出せるかも。
赤ちゃんが見る世界は、想像以上に広く、単純ではない。 本書を読み進めていくと、赤ちゃんの成長の可能性に驚きを隠せない。印象に残ったものとしては、正義の心や、人に自分の物を分け与えることに喜びを感じているという部分だ。産まれて間もない時から赤ちゃんが自分なりの道徳心を持っているということは、一人前...続きを読むの人間として接することが適切な場面もあるということを意味するのではないだろうか。 赤ちゃんは社会で守るべき存在だが、確かな考えを持つ「個」として、微笑みを向けることになるだろうと感じた。
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