あらすじ
湖面に浮かび上がってきたのは、目もなく口もなく、ただ灰色のかたまりと化した女の死体だった--マーロウは一カ月前に姿を消した化粧品会社社長の妻の行方を追っていた。メキシコで結婚するとの電報があったが、情夫は否定した。そこで湖の別荘へやってきたのだが……独得の抒情と乾いた文体で描く異色大作。
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Posted by ブクログ
これはハードボイルドとしてだけではなく、推理小説としてもかなり優秀かも。犯人は、まあ誰をこの事件の犯人とするかはいろいろと問題があるにしても、結果的には怪しいやつがそのままなんだけど、被害者が入れ替わってるというオチはちょっとびっくり。これじゃあハードボイルドというよりも本格推理だよな。スカーフの使い方もうまかったし。
キングズリーが最後までいい人だったのが以外だった。フロムセットはそれほどいい女には思えないんだけど、マーロウはキングズリーに嫉妬しまくってるのが笑った。なんかこれまでの作品と人物の造形が違ってて新鮮だった気がする。デガーモはとことん嫌な奴だけど、それでも最後にいくらかの哀愁がただようのは、さすがチャンドラーというところか。
パーカーの「ユダの羊」みたいにガーッとくるものはないし、ウェットな部分もあまりないんだけど、じわじわといい感じ。ひょっとすると、これが個人的にはベスト・オブ・チャンドラーになるかも。チャンドラーに慣れただけかもしれないけど。
アルモア夫人、キングズリー夫人、ミルドレッド・ハビランド、クリス・レイバリー、デガーモと今回もいっぱい死んでます(^^;)。