あらすじ
少女時代を過ごした北京、リトグラフを学んだベルリンの生活、猫との不思議なふれあいや花に寄せるひそかな想い。生きるものすべてをみつめる暖かい目と、ひとそよぎの風にも自分の存在を確かめるするどい知覚力で、著者の生いたちと日常をオムニバス風につづる。直感し、認識し、理解し、愛され愛そうとするひとりの女性のすぐれた資質がみごとに表現されている。奔放なタッチで読者の心を魅了する著者のはじめてのエッセイ集。
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Posted by ブクログ
25.5.3の日経新聞で北川悦吏子さんが紹介していたので手に取った。北川さん、ありがとう。「その文章に憧れる」で紹介が締めくくってあった。正におっしゃる通りで読んでて心地よく、いつでもスマホで読み返せる様にあちこち丸コピーしたくなった。「その文体はあまりにすっきりしてて、媚びてなくて涼やかだった」北川さんの表現も素晴らしい、共感。
そして思ったこともない発想、そんなこと考えたこともなかったということによる気づき、読んでてホント楽しかった。
「時を見た人はいないのに、ときという名前をどうして人はつけることができたのだろう。」
「時は金なりということばを、私は好きではない。」
Posted by ブクログ
読んでいると自分の周りが静寂に包まれる。
どこか悲しくて、寂しくて、懐かしくて、人間の深い部分を垣間見る、それでいて不快ではない不思議な良さがある。
Posted by ブクログ
そのままの私で、そのままの世界を生き、
そのままの言葉を紡ぐことが、
どうしてこんなにもむつかしく、
切なく、愛おしいものなのか。
様々な形で愛し、
愛されたかったひとりの少女がここにいる。
Posted by ブクログ
鋭い視点で人間の醜い部分を突きつけながらも、それを否定するのではなくて愛おしく見つめるエッセイ集。自分で「こんなことは考えちゃいけない」と蓋をして考えないようにしていることも、ここでは露呈されるしそれが決して悪いことではないと思わせてくれる。ハッとする言葉、やり取りに驚きの連続。
Posted by ブクログ
大人になると、周りのことを自分なりに理解して、なんとなくそんなものだと思うことが多くなっていくんだと思う。そうしないと、自分の中で処理できないものが溢れてしまって、穏やかに過ごすことができない。でも、そのような感覚を大切にして、生きるためにはどうしたらいいのかなー。
Posted by ブクログ
ひとつのテーマでいつつからむっつほどのエッセイを、子供時代の思い出だったり大人になってからの思い出だったり家族の思い出だったりを織り交ぜながら、語ってゆくもの。べらぼうに面白いです。あっという間に読んでしまいました。
Posted by ブクログ
切なかったり、微笑ましく思ったり色んな感情になりながら気づいたら一気に読み終わってしまった。猫に関する話はほんの一部だけど読んだあとも重く心に残っている
Posted by ブクログ
幼き日の思い出や、猫のこと、自分自身が体験してきたことなどを独特な鋭い感覚と鮮やかな観察で描いている。
最初の章で「バラは騒がしい花である」と言い切ったその感性が非常に面白いと思う。
オムニバス形式のエッセイ。
Posted by ブクログ
借りものではない言葉でつむぐ彼女の世界は、無骨だが繊細に、鮮やかな色合いを持って、心を突き刺さしてくる。
高橋直子さんの解説にも魅入ってしまう。
Posted by ブクログ
創作に依拠する様々な要因、地に足のついた経験をすることによっての感情の動き、それが喜びや哀しみでありそこからイマジネーションが生まれる、は日常との格闘によって得られる。
そういったことを「頑迷」という言葉で表現しているが、そういった表現を随所に感じる。窓からの風景の描写や、風の描写、これらの根底にある留学での海外生活を通じた体験。
世界に対しての独特の接し方を感じる。
100万回生きた猫の作者だとは思っていなかったが。
Posted by ブクログ
『100万回生きたねこ』の佐野洋子さんのエッセイ集。
猫本かと思ったら、猫に関するエッセイはタイトルの章だけでした。
北京からの引き上げの事や外国に住んでいた頃の事が
佐野さん独特の視点で語られていた。