あらすじ
世界に冠たる「かわいい」大国ニッポン。キティちゃん、ポケモン、セーラームーンなどなど、日本製のキャラクター商品が世界中を席巻している。では、なぜ、日本の「かわいい」は、これほどまでに眩しげな光を放つのか? 「かわいい」を21世紀の美学として位置づけ、その構造を通時的かつ共時的に分析する。
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Posted by ブクログ
かわいいは美とグロテスクの境界領域にあり小ささや未成熟、懐かしさといった性格を持つばかりではない。
かわいいは
・一方では他者依存のための戦略としての媚態であると解釈され、
・もう一方では少女たちにおける意味作用に結実する以前の指示行為、すなわち「かわいい」と指差して叫ぶと言う身振りそのものと考えられている。それはかかる身振りを儀礼として受け止めることでなされる親密な共同体の確認行為である。
Posted by ブクログ
現代の若者の「かわいい」の感覚、今の「かわいい」に至るまでの来歴や、海外での「かわいい」の受容され方についてなどなど。
日本ではとりわけ小さなもの、幼稚なものを愛でる傾向がある。
一瞬を永遠にとどめたフィギュア。
ノスタルジア。
旅の証拠としての小さなもの、スーベニール。
かわいいとグロテスクは表裏一体。
セーラームーンは、ティーンの変身願望。戦うことよりもどう変身するか、変身シーンが一番大事。清楚なセーラー服に身を包んで戦うのは、肌を露出させたセクシーな大人の女たち。
女性は自分が「かわいく」ありたいから「かわいい」ものを傍におく。自分のためのかわいい。
男性はかわいいものを愛でたいという気持ちがある。
雑誌別の解説がよかった。
cawaiiでは、祝祭気分と男を誘惑するための消費を盛り上げるムード、cutieは人とちょっと違った自分、JJは姉的と妹的に分かれた大人への階段途中の段階でどっちかを選べる、ゆうゆうでは自立した大人の女性がふとリラックスした姿をみせるのがかわいい。
世代、性別、国によって「かわいい」の受け止め方はさまざまで、かわいいを総括することはできない。
Posted by ブクログ
最近、よく目にする「かわいい」という概念について、様々な面からの見方を示して考察している。
3章から7章までの、アンケートやメディアなどをタネに「かわいい」の色々を暴いていく様は非常に面白かった。「かわいい」というのは、その言外に非常に多彩な意味を含み持っているのがよくわかる。
ただ、(筆者本人もそう意識しての上だが)、終盤に入って問題提起だけして答えまで書かないという部分が割と目立ち、もうすこし詳しく書いてくれるとありがたかった。多分新書程度の本では書ききれない問題なのだろうけど。