あらすじ
尹前大統領の戒厳令宣布にも関与
強大な権力を持ち、政治を動かす
秘密組織の全容に迫る!
大統領直轄の情報機関・秘密警察であり、強大な権力を持つ、韓国・国家情報院。
前身のKCIA、安全企画部時代には、北朝鮮に関する情報収集・工作活動を最大の任務としながらも、大統領と結託し、政敵を陥れ、民主化運動を弾圧してきた。
国家情報院として改組され、政治的中立を掲げるようになってからも、世論操作や大統領選挙での暗躍など、政治介入の疑惑は絶えない。
韓国現代史の裏側で何をしてきたのか?
予算・組織・活動の実態とは?
韓国国内でも謎に包まれた国家情報院の全容に迫る。
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Posted by ブクログ
KCIA、国家安全企画部を経て、1999年に誕生した国家情報院。情報機関として現在さまざまな活動をしているが、予算や人員など多くのことは依然として謎に包まれている。本書は国家情報院のみならず、これまでの韓国の情報機関の歴史や日本との関係について取り扱う。本書で言及されているが、韓国の情報機関はKCIA以前から存在しており、1902年高宗により設立された帝国益聞社が起源とされる。朴正煕政権時にKCIAが設立されてCIAを理想としていたが、組織の活動はKGBに近かった。これは幹部の多くが日本の植民地時代に軍、警察で情報、諜報の教育を受けたことで、CIAの組織論に馴染まなかったと指摘される。その後、金大中政権に国家情報院となり、KCIAと比べて権限は縮小したものの、情報機関としてさまざまな情報を収集して分析し、妥当性のある情報としてまとめる。なかでも北朝鮮の工作には力を入れており、外交官として海外に派遣して、北朝鮮に関する情報を集める。この活動は日本でも行われており、大使館、総領事館と警察庁が協力関係、すなわちコリントが機能している。たとえ日韓の政治関係が悪化したとしても、北朝鮮に関するコリントは良好である。このように本書は韓国の情報機関が紹介されるが、それでもわからないことがいまだに多い。
Posted by ブクログ
韓国の人にとって국정원(国情院)という言葉は広く知られている。
中央情報部(KCIA)を発祥とする韓国の国家情報院は、時に大統領と肩を並べるほどの権利を持ち、民主化運動の時代には市民に徹底的な弾圧を加えた。
日本では、公的に存在の認められている国の情報機関は、大きく5つある。内閣官房内にある内閣情報調査室、法務省の外局である公安調査庁、警察庁警備局が統括する公安・外事警察、防衛省・自衛隊の情報本部、外務省の国際情報統括官組織だ。
米国では対外情報機関として中央情報局(CIA)があり、諜報機関として連邦捜査局(FBI)を持っている。
国情院は対外情報機関と諜報機関の2つの役割を担った巨大組織である。法の枠の中で活動が行われるが身分を偽造したパスポートを使用することは珍しくない。超法規的措置が国情員の仕事に対しては認められているのだ。
日本を含め、海外にある韓国政府の大使館には、その大部分にその国の言語に長けた国情院の要員が外交官として配置されている。
課税や逮捕などから免れる外交特権を持つホワイト、ホワイトよりもさまざまな職業や社会階層で活動するブラックがいる。ブラックはスパイ容疑で重罪に問われる可能性がある。
北朝鮮に対する衛生や探索機などを用いた情報収集は米国が優位であるが、ヒュミントは韓国が絶対的な優位にあるというのが通説だった。特に金正日氏の関連情報は「情報収集目標の最優先」に掲げている国情院が、米国の情報機関より優位に立たなければならなかった。金正日氏の一挙手一投足は24時間365日の監視対象であり国情院作成した「金正日家系図」に登場するすべての人物もそこに該当した。
韓国が国家レベルでの本格的な情報機関を保有したのは、朴正煕氏ら軍部が実権を握り、軍事政権が樹立されることとなった軍事クーデター直後の1961年6月にKCIAが設立された時からとなる。
南山芸場公園の記憶6と記された建物にはかつて第6局の建物があり、逮捕された学生や、活動家に対し地下にある部屋で拷問などの過酷な取り調べを行っていた。
国情院で働く人は待遇に不満はない。給与が安いと他国の情報機関に買収されるリスクがあるからだ。
1万人が書類に応募し2000人が通過、そこから100人程度を採用。
NAVERでは山林になっている내곡동の地図だが、Googleでは大きな建物がある。
国情院はトップクラスの幹部を除いて、国情院の職員を名乗ることは禁止されている。
家族に対しても国情院がダミーで用意した企業の身分を伝える。病院や住民登録も信用情報の確認に影響がないようにされている。
日本での韓国の外交施設は、東京の大使館のほか、領事部(東京)、総領事館がある。このほかに文化院、教育院、農林水産食品流通公社、観光公社、コンテンツ振興院、韓国国際交流財団などの公的機関があるが、こうした外交施設ではない公的機関には国情院から要員は派遣されていない。
20人くらいが日本に外交官として駐在している。
国情院を大手の新聞記者だとすると、諜報要員はフリーライター。
国情院と日本側の関係は良好と言える。
国情院は家宅捜索や拘束令状申請が可能だったが、2024年からは国内外の情報網などを通じて捜査に必要な情報を入手し、これを警察に伝えることに限定される。
今回の尹元大統領の非常戒厳は軍や国情院の幹部への根回しをしておらず、情報機関との接し方も分からない政治のアマチュアだったことを露呈してしまった。