あらすじ
『ドラゴンボール』生みの親にして、『少年ジャンプ』伝説の編集長が「メガヒット連発」の仕事術を語る!
漫画からアニメ、ゲームまで、関わるものすべてを特大のヒットに変えた編集者、鳥嶋和彦。
担当もしくは関わった作品には、『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』をはじめ、『電影少女』『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』、そして『ONE PIECE』『NARUTO-ナルト-』など、さらにはゲームでも『ドラゴンクエスト』『クロノ・トリガー』と抜群の人気タイトルが並ぶ。
これらはいったい、どのようにして生まれたのか?
本書では全編にわたって、伝説と呼ばれる驚愕のエピソードが展開!
デビュー前の鳥山明に500枚ものダメ出し、役員に土下座を要求、アニメ番組のプロデューサーを解任……。
はたして真相は? 容赦ない仕事ぶりの真意に迫る。
全エピソードにここ40年間の超人気作が続々と登場。
『ジャンプ』を夢中になって読んでいたすべての元少年たちに贈る、
劇薬の仕事本である。
巻末には、とっておきの袋とじを収録!
超ヒットメーカーが「キミを変えるかもしれない」極意を、こそっと語ります。
読了のお楽しみに!
<目次>
第1章:
『ドラゴンボール』は、どのようにして誕生したのですか?
第2章:
『Dr.スランプ』のアニメ化は、なぜ失敗なのですか?
第3章:
『ONE PIECE』の連載に、なぜ反対したのですか?
<おもな内容>
★メガヒットを生む「仕事のしかた」を公開。
伝説と呼ばれたエピソードの真相と真意は?
●連載はまだ! 鳥山明に500枚ものボツを出し続けた。
●『ドラクエⅢ』攻略本の大詰めで。役員に土下座を要求した。
●アニメ『ドラゴンボール』に怒りMAX! テレビ番組のプロデューサーを解任。
●アニメ番組を早々に打ち切った代理店は、『ジャンプ』編集部に出禁。
●「締め切りに絶対遅れるな!」すべての連載作家の自宅へ、編集長が家庭訪問。
●ヒットの出せない編集者は、他部署へ異動。
★超人気作の知られざる舞台裏を公開
プレッシャーと失敗……地獄の中からヒットは生まれた!
●『ドラゴンボール』の人気が急降下! 立て直しの秘策から生まれた「天下一武闘会」。
●上司の「『ドラクエ』は『ジャンプ』の売り上げに貢献していない」のひと言にブチ切れ。ゲームから生まれた超レアな漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』。
●番組プロデューサーを解任。生まれ変わったアニメ『ドラゴンボールZ』で視聴率回復!
●『ONE PIECE』は生まれなかったかもしれない!? 4時間越えの会議で決断された奇跡の連載決定。
●前編集長が進めていた新企画をすべて中止! 作家におわび行脚。そこから『NARUTO-ナルト-』や『BLEACH』『遊☆戯☆王』『ヒカルの碁』などが誕生!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
読み終わって思ったのは、「すごく目的意識が強くて、ロジカルな思考をする人だ」なと。
なあなあの関係や前例踏襲を認めず、「作者が作品をヒットさせるにはどうしたらいいのか」という事を第一に考えている。
主なポイントまとめ
◯“企画や作品を徹底的にボツにする”編集スタイル
鳥山明氏のデビュー前に500枚もの原稿をボツにした経験など、容赦ないダメ出しの数々が語られている 。
◯“嫌われても良い”覚悟で貫く編集哲学
編集者として、良い作品を生み出すためには人に嫌われることも厭わない姿勢が述べられている(本のタイトルにもその覚悟が込められている)。
◯“メガヒット連発”を生み出すフォローと戦略
『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『NARUTO』などのジャンプを代表する作品が、いかにして生まれたのか、その裏側や立て直しの過程が詳細に紹介されている 。
◯プレッシャーと失敗をヒットの燃料にする
“地獄の中から生まれたヒット”的な逆境と再起の物語が随所に語られている 。
◯編集者自らの徹底した現場介入
・会社役員に「部数が足りない」と土下座を要求したエピソード
・アニメ番組プロデューサーを解任した逸話
・全作家を対象に「締め切りに絶対遅れるな」と編集長自ら家庭訪問した話
・ヒットを出せない編集者の部署異動など、徹底した現場介入が強調されている 。
◯“無駄=ボツ”の効用を肯定する姿勢
ダメ出しやボツを生む“無駄な過程”こそが、仕事で成果を出すための重要な経験であると説かれている 。
◯作家の“描けるもの”を引き出す編集術
『Dr.スランプ』誕生までのボツの歴史を通じて、「作家が本当に描けるもの」を見つけさせる禅問答のような対話術や気づきのプロセスが紹介されている 。
◯読者(子ども)との“忠実な関係”を最優先に
アンケートはがきなど直接的な反応を送ってくれる読者や、ひたむきに描いてくれる作家を編集の最重要対象として意識すべきと説かれている 。
◯対談形式での強い言葉・編集スタンス
インタビューを担当した天野龍氏には「ぬるい質問をするな」と要求し、編集者としての厳しさ・ストイックさを前面に押し出す編集哲学が語られている 。
◯補足的な背景・哲学(参考情報)
編集者の役割=「ボツを通して気づかせる」方式
「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」方式で作家に数多の試行を通じて気づきを促すことが、ビッグヒットに繋がるという信念が語られている 。
◯プロとして徹底した“無駄の積み重ね”を重視
ボツや失敗から得た経験こそが、結果を出せるプロの本道だという考え方が語られている 。
Posted by ブクログ
「(鳥山明先生の)没にした原稿500枚ものボツ原稿の中に、『ドラゴンボール』級の傑作があったということはないのですか?」
というインタビュアーからの問いに対する回答が、心に響いた。
時代を先取りする嗅覚
まず動く。
自分が信じるものは、頑なに信じる。
(ONE PIECEに対する氏の言は、「なるほど」と思った次第。)
Posted by ブクログ
伝説の編集マン 鳥島和彦の回顧録。インタビュー形式。約7年の歳月をかけて作られた本。
元々漫画好きではなかったことが驚き。
「読者」と「作家」のことを考えて行動。この2つの軸をブレさないことがヒット作を生み出す上で重要。
読者からの人気を得るためには読者のニーズをしっかりととらえることが重要。
確かにと思った。ジャンプの発行部数を増やすことばかり考えて、読者が置き去りになってしまうと、読者が付いてこなくなってしまうのは至極当然のこと。
ただ、目先の発行部数を増やそうと考えると、そういった読者目線が失われていくのは分からないことはない。
本当の成果とは、時間をかけるもの。
すぐに成果を求めると、顧客目線を忘れてしまう。
編集者は0から1を作り出すことは出来ないが、1を100にすることが仕事。
鳥山明は物事を単純化するのが上手。
フリーザ=冷蔵庫、ベジータ=野菜、ギニュー=牛乳といったネーミングなのは面白いと思った。子供たちがいかに覚えやすいか。「読者」目線というのを忘れてない。そういったことが超大作に繋がっているのだろう。
鳥嶋が凄いことは、漫画を他の媒体に広げて、ビジネスの拡大を図ったこと。
漫画→アニメ、ゲーム、グッズetc。
今でこそ日本のサブカルチャーの期待はかなり高いが、その礎を作っているといえる。
そんな鳥嶋も、Dr.スランプのアニメ化には失敗。制作会社のいいようにやられたとのこと。
その失敗をドラゴンボールのアニメ化の時には生かした。
アニメ化するときにどの制作会社にするかとかをコンペ形式にしたことによって、東映も自分たち主導での制作ができなくなった。
結局、成功するためには失敗の糧が必要。失敗の数だけ成功がある。
色々なチャレンジをするごとが大事であることを再認識。
大成功を収める作家は、編集者の指摘に対して編集者の期待以上のものを出せること。いわれたことをこなすことでも成功することが出来るが、大成功には結びつかない。言われたことに対して自分で咀嚼し、期待値を上回ることができるか。
常にそれを考えることが大事であることを再認識できた。
また、柔軟さも大事。
幽遊白書は学園物から霊的アクション漫画に、スラムダンクは不良漫画からバスケ漫画に途中でシナリオを大幅に変えたことをきっかけに大ヒットとなった。
そういった柔軟性こそが大ヒットを生む作家の必要な要素である。
また、それだけ必死にいろいろと考えることが大事なのだ。
この本を通して、
色々な新しいことにチャレンジをし続ける中で失敗をすることもあるが、それを糧にして、必死に自分で考えて行動することの大事さというのを学ぶことが出来た。