あらすじ
「68歳は閑である。バァさんが何をしようと注目する人は居ない。淋しい? 冗談ではない」――がんで余命2年を宣告された著者が、「楽しくて仕方ない」日々の暮らしをつづる超痛快エッセイ。人生をめぐる名言がゴロゴロ転がっています。
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Posted by ブクログ
佐野洋子のエッセイ。韓流にはまり、麻雀を覚え、老いを自覚し、癌が完治してなくても、淡々と生き抜くエッセイ。すごくかっこいい一文があったので、転載。「私は今、何の義務もない。子供は育ちあがり、母も2年前に死んだ。どうしてもやりたい仕事があって死にきれないと思うほど、私は仕事が好きではない。(余命)2年と云われたら十数年私を苦しめていたウツ病がほとんど消えた。人間は神秘だ。
人生が急に充実してきた。毎日がとても楽しくて仕方がない。死ぬとわかるのは自由の獲得と同じだと思う。」
こうもすがすがしく生きたいけど生きられるかどうか、私自身、疑問だ。
でもこんな感じで私も死期を迎えたいなぁ。
Posted by ブクログ
佐野洋子さん(1938.6.28~2010.11.5、享年72)「役にたたない日々」、2010.12文庫、2008.5刊行。ガン(乳ガン)で髪の毛が抜けるので、丸坊主に。(楢山節考のおりんばあさんは69歳で死んだ)乳ガン手術の次の日、私は67歩歩いて家にタバコを吸いに行った。毎日タバコを吸いに帰った。退院。医者は、ホスピスを入れてあと2年くらいと。その会話の後、ジャガーを購入。淡々とした思い切りのいい方でした。
Posted by ブクログ
タイトルだけ見て、面白そうだと思って読んでみたのだが
よくよく見てみれば『100万回生きたねこ』や『おじさんのかさ』の佐野先生が筆者なのだった。
絵本から受ける印象とは当然というのが全く違い
毒舌と言えば毒舌なのだが、正直でストレートな言葉が小気味よいエッセイ。
時節柄、
元いじめっこに「いじめられっこが復讐に来たらどうするか」
と尋ねたら、「殺されても仕方ない」と答えた
というエピソードがなんだか印象に残った。
自分はもう終わった人間で、早く死にたいと
同情を誘う訳でもなく素直な心情としてばっさり書いて
癌になっても驚かないし、余命を確認して
余生のことを考えてしていた貯金を使ってぽんとジャガーを買ってしまうという
滅茶苦茶さが愛らしく、気持ちが良い。
こんな風に気持よく自分に正直に死ねたら本望
と思わされた。
解説の追記を読んで、もう亡くなられたことを知った。
悔いなく小気味良くこの世を去られたのだろうとは思うが
心から哀悼の意を表します。