あらすじ
〈著者メッセージ〉「ほめる」より「認める」ことでヤル気を引き出すビジネススキル
ほめ方、しかり方について書いた本が書店にあふれています。しかし、はたしてそれでほんとうに自信がついたり、やる気がでたりするでしょうか? 最近、上司が部下をほめるたびにシラけた空気が職場に漂いはじめるといわれます。ほめるのが逆効果となり、社員がやる気を失ったり離職したりするケースもみられます。それらは、ほめるという行為が、実は欺瞞(ぎまん)や作為と隣り合わせだということを示しています。
相手をイルカやアシカのような「動物」レベルではなく、人格と意志を備えた「人間」として尊重するなら、ほめるより「認める」ことのほうが大切なのです。認めることで長期的な有能感、自己効力感を高めれば、人は自ら努力し、成長していきます。
本書では、どのように認めるか、かりにほめたりしかったりする場合にはどこに気をつけなければならないか、そして「認める制度」である表彰のポイントはどこにあるかについて、最新の研究成果、国内外の先進的な企業の事例、職場のエピソードをたくさん盛り込みながら、ハンドブック風に仕上げています。
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Posted by ブクログ
承認、認める行為の第一人者である同志社大学の太田先生の「認め上手」というこの本は、こういう会社、家庭であればみんな幸せになれるのになと思える内容でした。
相変わらず、承認行為、人を認める行為は人の承認欲を満たし、モチベーションを大きく引き上げ、仕事、勉強、家庭内仕事をやり甲斐のあるものにし、承認行為が自然と出来る承認文化を根付かせたいと思わせる素晴らしい内容でした!
Posted by ブクログ
いかにして褒めれば褒めた意味があるのかについて書いてある.褒め方だけでなくしかり方についても述べている(褒めるときは後々残る,しかるときは残らない方法にすること).内容に納得出来る良書.ただ,最後の表彰に関する章は面白くない.
Posted by ブクログ
【まえがき】
よい行動を褒めることで促進し、悪い行動を叱ることで抑制しようという「強化の理論」は、
人間を動物園のイルカやアシカと同じレベルでしか扱っていない。
相手を人間として尊重するなら「褒める」ことより、『認める』ことが大切。
第1章 やる気を引き出す認め方
第2章 上手な褒め方と叱り方の勘所
第3章 効果的な表彰制度や表彰の極意
相手を正しく認めること。その精神と技法を見につける
【ポイント】
21/どこで誰に褒められたいかは人によって違う。
上司は、一人ひとりの部下が何に価値を置き、どごで誰に褒められたいかということを把握しなければならない。
26/挨拶すること、話しかけることは相互承認の第一歩。
43/部下が活躍し認められるように支援することが、最終的には自分への評価として帰ってくる。
このようなリーダーシップを「インフラ型リーダーシップ」という。
66/欧米企業では、個人の職務範囲が明瞭に決められているので、その範囲の仕事は
本人にすべて任されるので、自分の裁量と判断で仕事ができる。
日本企業では、職務が不明瞭なうえ、「ホウレンソウ」を重視するあまり
個人の裁量権や判断の余地がすくない。任されなければ自立できないし、任せてもらえない
ことは、「認められていない」と考えてしまう。
67/名を出させ、裁量権を与えると、やりがいが生まれ、成長する。
81/「評価」より『評判」を大切にすること。
94/日本人には、重要な仕事を任されること自体を報酬と受止める感覚がある。
しかも、給料が上がらないのに重要な仕事をこなすので、周囲からいっそう尊敬の目でみられる。
96/若者は一人前扱いされること、現在の実力や貢献度を正しく認められることを望み、
年配者は、周囲から感謝され、人格的に尊敬されることを求める。
若者へは「できる」と、年配者へは「えらい」と認める。
98/サラリーマンに誰に一番認められたいかと聞くと、「家族」という。
120/総務や経理など間接部門の人へは、社内の他部署を客とみなして評価を求めるようにする。
129/第3者が褒めていたのを間接的に知らせてやるのも効果的
146/しかる時より褒めるときに「地雷」を踏みやすい。
166/メールでは、「しかる」のではなく、事実を指摘するにとどめる。褒める時は、
むしろメールを積極的に使い相手に何度も読み返してもらったほうがよい。
173/表彰の狙いは二つ、?会社が何をもとめ、何に価値を置いているかをシンボリック
な形で伝え、社員のベクトルをあわせ、組織の求心力を高められる。
?社員のモチベーションを高めるとともに組織の活力を引き出す。
211/給与をはじめとした処遇は公平性、安定性を第一に考えて保障する。
その上で、表彰を含めた「承認」によってモチベーションを引き出せばよい。
正社員なら完全な年功給与でも、「承認」によって、やりがいをもたせ、
モチベーションを高めることができる。
219/表彰制度導入の利点「だれがどんな仕事で、どれだけ貢献しているかを社員同士で確認できた。」
Posted by ブクログ
【読書メモ】
●部下が能力的にも精神的にも未熟な状態では「ほめる」ことでとりあえずの仮の自信をつけさせる必要があるが、そのあとは客観的事実に裏付けされた本物の自信を育てるために「認める」ことに比重を移していくべきだ。
●管理職やプロには<キャリアの承認>を、パートやアルバイトには<日常の承認>を求めている者が多い。
●上司は一人一人の承認願望を理解しておかねばならない。
●部下が認められる環境を作るのは上司の役目。
●同期生のネットワークが離職を抑制する。
●ほかの会社をリストラされた社員ばかりを集めて仕事をさせている会社がある。その会社の社長が興味深い話をしていた。彼らはリストラされたくらいだから当然モラール(士気)は低いはずだが、他人の世話をする仕事をさせたところ、見違えるほどいきいきと働くようになったという。
またある大企業では定年退職した社員を再雇用し、新入社員研修を担当させたところ、まるで水を得た魚のように元気を取り戻し、はりきって教えるようになったばかりか、ほかの仕事にも意欲的にとりくむようになったという。
・・・やはり人間は自分が必要とされていると実感し、認められたいのだ。
●部下が活躍し認められるように支援することが、最終的には自分への評価として返ってくるという見本である。なお、このようなリーダーシップを私は「インフラ型リーダーシップ」と呼んでいる。
●よい仕事をさせるには、本人の自発的なモチベーションに委ねるしかなく、リーダーには仕事の環境を整えたり支援したりすること、すなわち一種のインフラ(基盤)としての役割が期待されるのである。
●満足をもたらす要因と、不満をもたらす要因とは別種のものだということであり、前者を「動機づけ要因」、後者を「衛生要因」と名づけた。注目したいのは、名誉や尊敬など「承認」が「動機づけ要因」に属し、「給料」が典型的な「衛生要因」だということである。
●個人の貢献度を明確にしない集団の「ワイガヤ」方式は、ある程度の成果やモチベーションを引き出すには有効やりかただが、並はずれた成果や長期的なモチベーションを引き出すにはやはり個人の名誉欲や出世欲(<キャリア承認>への欲望)に訴えることも必要である。
●「監視」の発想だと、陰での手抜きや利殖が増える。名を出させ裁量権も与えると、やりがいが生まれ、成長する。
●問題は、客からポジティブな声が届いてこないときである。・・・サンマルクというレストランで配られているアンケート用紙には、「お客様の励ましは従業員に勇気と元気を与えます。ぜひ、皆様の励ましの声もお聞かせください」と書いた欄がある。そして「本日当店で一番輝いていたスタッフの名前をお知らせください」と求めている。
●そして意外なことだが、弱者に冷たい会社では、むしろ仕事のできる者、成績のよい者が辞めていくようになる。
●これからは「評価」より「評判」を大切にすべき。客観的な情報とすり合わせ、正しい評判を吸い上げる。
●実力を認められたい若者と、人格的に認められることにこだわる年配者をうまく組み合わせれば絶妙なチームワークを発揮させることもできる。・・・ペアの年齢差は30年かそれ以上だとうまくいくことが多いそうだ。
●若者は「できる」と、年配者は「えらい」と認める。
●家族を巻き込むことでモチベーションや忠誠心が高まる(「範囲の拡大」戦略)
●社員が定年後、あるいは中途で退職してからも会社の恩恵によって承認が得られるようにしておけば、現役社員の会社に対するロイヤリティ(忠誠心)や仕事に対するコミットメント(献身)も大きくなる(「時間拡大」戦略)
●信頼関係が無いときはほめてもむしろ逆効果。
●因果関係がわかるよう、間をおかずにほめる。具体的な事実や数字・実績を示しながらほめる。
●徐々にほめる回数を減らし、態度や行動より成果をほめるようにする。相手の自尊心にあわせたほめかたをする。(そのためには、普段の言動の観察、腹を割ったコミュニケーションをとることが大切)
●人前でほめるなら創立記念日、新年会などめでたい席で。正社員は人前で、パートやアルバイトは陰でほめる。
●ほめる、しかるは<5対1>の比率で。ほめるのが先、叱るのは後のほうがよい。
●反抗型の部下に対しては、権力を笠に着て上からの目線で叱るよりも、一対一のある意味で対等な関係で叱るほうが相手のプライドを傷つけず、素直に受け入れられやすい。
(表彰について)
●「顕彰型」は、公平性、透明性が絶対条件。選考基準が異なる複数の賞を設けること。
●授賞理由を具体的に明記すると、ありがたみが増す。社史などに名を刻むことで、会社への愛着や一体感も強まる。
●受賞者を支えた人にも賞を贈るとチームワークがよくなる。表彰委員を表彰している会社もある。
●ある機械部品メーカーでは、前向きな挑戦をしたにもかかわらず失敗した人に「大失敗賞」という賞を贈っている。・・・また、成功するしないにかかわらず、とにかく高い目標を掲げて挑戦したら必ず表彰すると言う会社もある。上司が日常的に部下の挑戦を促すようになったため、「まあ、やめておこう」という消極的な態度が職場から消えたといわれる。
●たとえ失敗しても賞を贈ることで社員の挑戦を促す。リスク管理のため、ミスをもうしだたら表彰する。
●認めてほしいところを認めるには、自己申告させるとよい。仲間や関係者に推薦、投票させれば、納得が得られる。
●正社員は個人表彰、パートなどはチーム表彰を。平等主義のわが国では、逆に個人表彰を増やすとよい。
Posted by ブクログ
人を認める・・・。意外にやってないかもしれませんね。
私も営業なので、営業先の担当者、弊社のデザイナー、プロダクションの方々・・・。いろんな人とのかかわりの中で生きています。
この本には部下や社内の制度としてのほめ方や表彰制度について書かれていました。大きな会社の中間管理職にはいいのでは!?
色々ほめて伸ばすことは重要ですよね!!