あらすじ
大富豪の友人・真寿美のおもちゃになっている平凡なOL・波子は、彼女の豪邸で突然意識を失った。気づくと自宅で手足を縛られ、裸同然の姿でストーカーに襲われようとするところだった。そこに真寿美の死体が現れる! 歪んだ人間関係が交錯する表題作ほか。神麻嗣子(かんおみつぎこ)、神余響子(かなまりきようこ)、能解(のけ)警部らが超常事件に挑む! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
「チョーモンイン」シリーズ第7弾。
3・5・6巻に続き、4冊目の短編集。
…おもしろかったんだけど、やっぱ、短編とか番外より、長編の続きが気になるっ!
今のとこ、長編だった1・2巻以後、ストーリー自体は進展せず。
なのに、3巻の『念力密室!』に収録されている「念力密室F」では、だいぶ未来の話(?)が描かれていて、その間がすごい気になるのです。
…とまぁ、でも、そんなこと言ってても仕方ないので、『生贄を抱いた夜』。
短編が7つ。
気に入ってるのは、表題作の「生贄を抱いた夜」と、最後の「情熱と無駄のあいだ」。
どっちも、目的を達成するために何らかの手段を講じていたら、いつのまにか手段が目的化してしまった…というお話。
で、2つとも、ストーリーの大枠はそんな感じで、同じような気がするのに、まったく雰囲気が違う。
片や、ドロドロとした人間描写(「生贄〜」)、片や、コミカルな復讐劇(「情熱と〜」)。全然別のテイストになっていて、そこが魅力的です。
同じ枠組みの中で、しかも1冊の本の中で、そういうことができる作家って、すげーなぁと思います。
ちなみに、「情熱と〜」は、なんとなく『七回死んだ男』ちっく。
それから、最初の「一本気心中」と、その次の「もつれて消える」も好き。
「一本気心中」は、ありえなさそうで、ありえそうなところが。
「もつれて消える」は、語り手のあけっぴろげなキャラクターが。
残りの3本は…微妙。
「殺し合い」は、いまいち。ちょっとドロドロ感に欠ける感じ。
「動く刺青」は、謎が残ったところ(なぜ通報に至ったのか)が、ちょっと不満足。
「共喰い」は、ありえなさそうでありえそう、なのではなく、やっぱありえない。や、100%「ありえない」ってことはないから、あまりにも確率が低すぎる。あるいは、ふつーでは想像しがたい。
と、そんなわけで、全体としてはおもしろかったけど、ちょっと物足りない感じ。レギュラー陣も揃わないし。
続く第8弾『ソフトタッチ・オペレーション』もやっぱり短編集らしいですが、早く文庫化しないかなぁ。