あらすじ
荒廃した世界から浮上したかつてのベンガルールの街は、徹底した能力主義のテクノクラシー統治体制がしかれ、“頂点都市”と改名して繁栄を極める。この街の住民は生産性とソーシャルメディアのスコアに基づき厳格に評価され、上位二割と中間七割の“ヴァーチャル民”は最新テクノロジーを駆使した豊かな特権生活を享受している。だが、そこから排除されて都市外に追いやられた下位一割の“アナログ民”のあいだでは叛逆の胎動が……両者の視点から衝撃の近未来社会を描き、ローカス賞・クラーク賞ファイナリストとなったインド発の傑作SF!/解説=鯨井久志
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Posted by ブクログ
国家が崩壊し、都市国家が乱立する未来。その一つ頂点都市では徹底した能力主義により生産性とSNSのスコアにより、2割の上級層と7割の中間層=ヴァーチャル民、そして残り1割最下層のアナログ民に分類されていた。この設定をインド人の作者が言うと、多くの人が自ずと意識するのはカースト制度でしょう。
上級民は新興企業の創業者や社会に影響を与え特権を与えられるインフルエンサー達、そして上級民に憧れ必死に上を目指しもがき続ける中間層、そして虐げられ、ヴァーチャル民のために“収穫”されるアナログ民という構図は、未来でありながら現代の縮図でもあり、インドの現在でもある(はず)。
となると、体内インプラントで精神矯正をされたり、胎外ポッドで遺伝子操作した胎児を矯正したり、仕事で失敗してアナログ民に落とされたり、さまざまなエピソードがなんとも象徴的だ。
正直最後はさらりとしすぎだけど、この現代の崩壊を予見しているようで、なかなか純粋に楽しめなかったほどだ。