あらすじ
落馬事故以来荒んだ日々を送る元花形騎手の円谷翔吾は、ある日、娘の願いを聞く。「ルプスデイに勝って」。比類なき強さで障害競馬界の絶対王者の座に君臨するサラブレッド、ルプスデイ。円谷はセンスを見出した馬、キアーロディルーナと困難な戦いに挑む。一方、ルプスデイの主戦騎手の森山翔吾は、再起をかける男の姿を静観する。だが、王者には老いの影が迫っていた。二頭の競走馬とふたりの翔吾。譲れない勝負の行方は!?
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Posted by ブクログ
馳星周、競馬シリーズ
障害競馬が舞台、2人の騎手の熱い物語。
主人公の円谷翔吾、人には辛辣で嫌われ者だが馬乗りとしては超一流で馬への愛情が深い。
このキャラで最後まで通して欲しかった。人にまで良い人に変わって行くのが普通ぽくて残念だった。
Posted by ブクログ
同じ翔吾という名前の2人のジョッキーが障害界の王者を決める闘いとお互いの苦悩を描いた一冊。
キアーロディルーナと出会って変わった元花形ジョッキーの円谷と絶対王者ルプスデイに跨って謳歌をモノにする森山という2人の騎手の戦いを描いた物語はお互いの光と影をうまく映していて読み応えがありました。
史実にあるオジュウチョウサンを彷彿とさせる平地挑戦やそこに対するお互いの障害騎手としての想いや障害騎手同士の絆を感じる描写もあり胸が熱くなる場面も多くありました。
ローテーションも史実と同様だったり、平地と比べて日の目を見ないところや障害馬としてレースに出れるまでの育成風景にも触れられておりより障害の奥深さを知ることもできました。
調教師の今井や藍奈、円谷の娘の沙織といった登場人物も個性的で良かったですが、演出上の部分もあるとは思うのですが森山の周りの人物ももう少し出て欲しかったなと感じました。
平地免許を返上してなんとしてもルプスデイを倒してシュイユエの無念を晴らしたい円谷の想いや障害だけでなく平地でも乗って有馬記念やダービーに乗りたいと思う森山の想いなど2人の障害に生きる人間の複雑な気持ちも心に残りました。
本書を読んで改めて物語を通して一頭とじっくりと向き合う障害競走の世界に触れることができ素晴らしさを感じることができました。そして、これから競走にたどり着くまでの日々などを思ったりといった違った目線で楽しむことができると感じた作品でした。