あらすじ
個人消費は停滞しているのに物価上昇の勢いが止まらず、実質賃金は下がり続けている。一方で金利は上昇基調にある。この“歪んだインフレ”は、なぜ日本だけで起きているのか。今後スタグフレーションは起きるのか。人気エコノミストが分析する。
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Posted by ブクログ
新型インフレの打開方法を知りたくて読書。
インフレ傾向の国に長らく住んでいたが、すっかりデフレマインドに浸っているなと実感。
日々、今日の好きなもの・ことへの消費よりも、10年後のための貯蓄・投資をするって選択をしている。
おわりにで、期待の星はZ世代というのが、氷河期世代としては切なくなる。
現在の政府・財務省だと高圧経済は望めそうもない。
新型インフレ、デフレマインドを打開するためには、インフラ、教育への投資、副業のさらなる推進、専門性を高めることでジョブ型雇用へのシフト、確定申告の制度を大幅に効率化、ハードルを下げて、生産年齢人口の日本在住者は全員確定申告を必須化。これにより納税意識を高め、自身の納税額を認識し、マネーリテラシーを向上させられる。
多くの日本人が、組織に依存せずに個人で稼ぐという経験、商人マインドを身につけられると、物価上昇に負けない前向きな消費マインドへシフトするのではないかと思った。
読書時間:約45分
Posted by ブクログ
ニュース等でお馴染みの永濱さんの著書。
永濱さんは、新型インフレ=「物価、賃金、金利がすべてイレギュラーな状態にありながら、それらが複雑に絡み合った状態」と説明している。
25年現在のコストプッシュ型インフレではなく、需要が高まることによるディマンドプル型インフレが、望ましいインフレ。
日本では、長いこと続いたデフレの影響を受けて、トラウマに陥っている。
特徴として、消費の先延ばし、貯蓄志向の強化、安定志向の三点を挙げている。
どれも納得できる分析ばかりだった。
課題を挙げつつも最後に未来に向けての期待に触れられていた点も希望がもてた。
Posted by ブクログ
新型インフルをもじったようなタイトルだが、同様に、社会現象である。
本書からインスピレーションを受けて、自分なりに少し頭の整理をしてみた。
一般的にインフレは好況でデフレは不況を示し、失われた30年といわれる日本は、デフレやディスインフレの状態だった。インフレは急激じゃなく、かつコントロールできれば良いものだと思われている。だが、これは本当だろうか。
緩やかだが、持続的なインフレを仮定する。インフレで物価高になれば、生活が苦しくなる。これに賃上げが付いてきている状態が好ましいインフレだ。しかし、賃上げは先に行われるのではなく、物価高が先に起こるために、持続的なインフレの場合は、必ず「生活苦が先行する状態」が発生し続ける事になる。
インフレを需要起因とするか、コスト起因とするかで分ける方法もある。現状は、世界情勢を背景にコスト起因とするインフレのために良いインフレとは言い難いが、本来、ディマンドプルインフレ(需要起因)であれば、良いインフレだという言われ方をする。
これも、本当にそうだろうか。需要起因のインフレとは、世の中の状態が「不足」している事を示す。人が足りない。物が足りない。企業にとっては、人も設備もフル稼働できる状態が続くために良い状態であると言える。庶民にとっては失業率が低くなり賃上げにもつながるという良い点はあるが、それが後追いだし、品薄で欲しいものが手に入らなかったり、労働時間が増えたり、移民も増やさざるを得なかったりで、良い事ばかりではない。とりわけ、賃金アップが常に後追いの傾向を示していく事やローンの金利が上がる事は、望ましい事ではないはずだ。
投資家にとっては良いが、庶民にとっては必ずしも良いとは言えない。庶民にとっては、動的な状態であればインフレは悪、デフレが良い(企業収益の悪化→賃金停滞→雇用不安の影響はあるが)。安定期においてはデフレが悪、インフレが良い、と言えるのではないか。勿論、資産の保有状態や自身の社会的立場により異なりはするが。
Posted by ブクログ
日本もアメリカのように「高圧経済」により、新型インフレ時代を生き抜くべきだ。
「高圧経済」=財政・金融政策によって景気を過熱気味にしておくと、労働市場で弱い立場にある層の雇用にも恩恵が及ぶことなどにより、経済全体の生産性向上が促進され、結果として供給力が高まる
今までの日本では「供給力を高めるためには、まず構造改革」との考えが主流だったが、高圧経済はその逆をいく。
アメリカでは「長期の成長のためには、マクロ経済政策によって総需要を拡大し、高圧経済にする必要があるある」との見解から
1、インフラ投資(インフラ整備による経済全体の効率化)と人材投資(教育や職業訓練)に重点を置いている。