あらすじ
<死体はそう……80メートルほどの高さに浮かんでいた。その死体はどうしようもなく、宙に浮かんでいるのだ〉ここは世界の火薬庫にして魔境。アフガニスタン、パキスタンの国境地域には少数民族ごとに神と呼ばれる超能力者がおり、その死体も神の一人だった。自ら超能力を持つ松田はインド軍に強制連行され、世にも奇妙な「殺神事件」の究明を命じられた!
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Posted by ブクログ
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SFと本格ミステリの融合作品は近頃特に珍しくもないが、そのような作品の解説などを読むとよく引き合いに出されるのが本作である。曰く日本では草分けであると。
確かに作中にはいくつかの謎があり、本格のロジックで推理をするような場面もある。論理的でなるほどと思わせるようなところもあるにはある。しかし読み終えてみるとその辺はやはりメインの読みどころではなく、彩り程度といったところ。
物語としては、機上でアクシデントにあってから秘境での活動をしているあたりはなかなか面白いのだが、主人公が危険な目にあってもあまりハラハラしない。理由は結局無事にその秘境を脱すると予め超能力で予言されているから。この点は読み手に明かさなくても良かったのではないだろうか。
まあそんなことより全く面白くないのは事件の結末である。誰かが何かを企んでへっへっへなのはわかるのだが、それが結局どうだと言うのか。驚きも感心もなく拍子抜けで、主人公が恐れおののいている姿にどうも違和感がある。エピローグに後日談を持ってくるなら、もう少し何か書いてくれたら良かったのに。