あらすじ
40歳の植木職人・坂井祐治は、十数年前の災厄によって仕事道具を全てさらわれ、その2年後、妻を病気で喪う。自分を追い込み肉体を痛めつけながら仕事に没頭する日々。息子との関係はぎこちない。あの日海が膨張し、防潮堤ができた。元の生活は決して戻らない。なぜあの人は死に、自分は生き残ったのか。答えのない問いを抱え、男は彷徨い続ける。止むことのない渇きと痛みを描く芥川賞受賞作。(解説・小川洋子)
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Posted by ブクログ
読んでいるとその光景が目に浮かぶそんな表現を、されており話が面白いというより文学的な面白さよりです。
地震のあとの情景が、たいけんできるかのようです。
読む人を選ぶかもですが、そんなにページ数も多くないので読んでみてください?
Posted by ブクログ
◼️ 佐藤厚志「荒地の家族」
宮城県が舞台。震災を挟み、空虚な風景が包む中、男の過去がフラッシュバックし現在の心に影を落とす。2023年芥川賞。
著者さんは仙台出身でずっと仙台在住のようだ。震災でつぶさに感じたことをも小説に落とし込んでいる、と推測する。それだけ、重い気がする。芥川賞受賞時、書店員として働いていて話題になったとのこと。
造園業者の祐治は震災の2年後、息子の啓太が幼い頃に最初の妻を病気で亡くした。人の紹介で再婚した相手は流産して半年後に家を出、接触を完全に拒絶されている。啓太は小学6年生となり、最近会話が少なくなった。震災で昔と変わってしまった海岸を逍遥しながら、うまくいかなかった人生の記憶がよみがえるー。
主人公は、社会生活に誠実に向き合おうと、実際に向き合っているつもりであるのに、社会や人に伝わらなかったり、理解されない者。さらに様々な人生上の災厄、苦難が降り掛かりもがいている人間だ。
年老いた母や息子が身近にいるものの、また仕事はまだバリバリこなしているものの、老いを意識せざるを得ない世代の孤独を背負っている。震災は大きなショックを与えた出来事で、実際、主人公に影響を与える幼なじみの妻子は津波で亡くなっている。ただ、この作品では間接的に大きな要素として入ってきているように見える。
人知れず、悩みもがき生活に煩わされる。人間関係が影響を及ぼしていく。人の生の姿が繰り返し描かれる。人は些細なことで気分が左右される。さらに本人的に大きな出来事は蝕むように、逃げようもなく心理的に作用する。話せる相手がたとえいたとしても、他人がすべて理解するのは不可能だし、手を施すこともできない。
津波被災地では自治体が土地を買い上げて、昔は町があった地域もだだっ広い更地になったり、巨大な防波堤が設置されたりしている。読んで改めて驚く。こうしたいまの風景を織り込みながら、等身大の姿をリアルに描きだしている。
とはいえ、とりわけ佳作にはあるものだが、読後感にはちょっと出来すぎかな・・なんて思っちゃうのが読み手の正直なとこではありました。