【感想・ネタバレ】大阪弁の深み その独特の魅力を味わうのレビュー

あらすじ

パトカーの写真の上に目立つ文字で「アンタのこと、迎えに来たで。」。大阪府警察の募集ポスターにはくすっと笑えるものが多いが、大阪弁の軽妙さをうまく活かしているといえる。一方、大阪弁は他人を自分のペースに上手く巻き込むことができる方言でもある。本書ではそのような大阪弁の機能や、老舗遊園地を復活させた大阪弁戦略、優美な大阪ことばなどを取り上げ、独特の魅力に迫る。 (内容例)●「知らんけど」を使った大阪府警の募集ポスター ●「ひらパー」の大阪弁戦略 ●「おっさん」、「おばはん」など屋号は大阪弁 ●「MID」という大阪弁表記 ●法廷で大阪弁を使う理由 ●弱い立場の人を救う方言 ●大阪国税局の調査能力が一番高い理由 ●野球のアウトは「アカン」!? ●魔法のことば「ぼちぼちいこか」 ●「させていただく」は関西起源!? 浄土真宗との深い関係 ●米には「チンチンミズ」が必要――農業の関西弁 ●「急(せ)えて急(せ)かん」とはどういう意味? ●「おはようおかえり」は「早く帰って来なさい」という意味ではない

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Posted by ブクログ

金水敏『大阪ことばの秘密』に次いで、本書を読む。
こちらは大阪弁を取り上げ、使用場面によりどのように機能するのかに注目する。

最初の方は町中の方言を使用した看板、店名、ポスター(府警の警察官募集、ひらパーのPR)を取り上げる。
題材のキャッチ―さもあり、とても面白く、読みやすい。
ところで、ここに取り上げられているファミリーマートの略称、「ファミマ」は大阪弁なのか?
「ファミマ(低高低)」というアクセントはたしかに京阪式アクセントなんだけれど、略称の形自体は他の地域でも使われていないかという気がするのだが…
ちなみに私たちの地方では「ファミマ(低高高)」で定着している。
さて、中盤は、筆者が学位論文を書いた行政や法廷での方言使用を扱ったもの。
冒頭で紹介される書き言葉としての大阪弁の話からして、いきなり面白い。
伊藤忠のかつての事例で、テレックス(!)の文書は「MID」で起こされるという話だ。
テレックスの字数を削減し、通信費を削減するための表記であったということだ。
伊藤忠に限らず、会話の冒頭は「まいど」。
商業の世界を中心に、この言葉の人間関係を円滑にする言葉の使用が指摘される(まあ、これはどこかで聞いたことのある話でもある)。

法廷での大阪弁使用の話は、自分にとって新鮮で興味深かった。
場の緩和機能、日常の空間形成機能というのは、なんとなく大阪弁に限らず他の方言でも成立しそう。
攻撃機能もある、としているのが目を引く。
弁護士や検事は、裁判官とは標準語で話すのだが、被告を追い詰める際、方言を使うことによって圧迫することもある、という。
そのほかに、単調になりがちな尋問や質問を整えるリズム変換機能、主張をぼやかすカムフラージュ機能、方言でなされた証言を引用する引用機能などが挙げられている。
たしかに、法廷が日常である法曹職の人と、そうでない被告との権力関係が言語使用の問題にも大きく影響しているというのは納得できる。
こんな研究もあるんだな、と感銘を受ける。
他の方言でも(もちろん標準語でも)これらの機能はあるはずだと推測できる。
が、法廷でも使えるほど日常生活で使い続けられている方言は少ない気がする。
大阪弁の特異な位置がわかる。

ついでながら、筆者は長らく教育現場で大阪弁の教材化の実践を積んできた人とのこと。
その実践を発表した時に、東北の学校の先生から、あなたの実践は大阪弁を中心化しすぎている(標準語の位置に置き直そうとしている)だけだ、という痛烈な批判をうけたという話も紹介されていた。
大阪弁が、全国の方言の中でも特権的な位置にあることを強く意識するようになったとのこと。
この部分を読んで、自分が関西弁を論ずる本にもやっとした気持ちを持った理由がわかった気がする。

終盤は教育とスポーツの場での大阪弁。
野球場での大阪弁のヤジの研究が、すでにあるというのに驚く。
方言でのヤジが飛びそうなのは、マツダスタジアムくらいか?
ナゴヤドームでは、「どだわけー!」とか言っているのだろうか?
検索してみようかな…。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

書き手が違うと、語り口も違っておもしろい。

口絵に大阪駅の工事用仮り囲いに書かれた
大阪弁サインボードが載っていて
第一章は大阪府警の採用ポスターの話。
お堅いイメージの警察官募集に
あえて大阪弁を使って地元民の目を引く。
そこから「ひらパー」の広告戦略に移り
街の看板や店名の大阪弁を採取。
…と前半は楽しく読み進めました。

後半はちょっと毛色が変わって
商売や行政の仕事、司法の場
教育やスポーツの中で
大阪弁を使うことの良い面・悪い面などが
書かれていました。

実はこの後半の、裁判所で聞く
リアルな大阪弁の話がとっても興味深かった!

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2025年07月01日

Posted by ブクログ

はいはい、いつもレビューでエセ関西弁を駆使する生粋の茨城県人ひまわりめろんです
普段は「◯◯だべ〜」とか言ってます
嘘です茨城弁あんまり使いません

別に意識してそうしてるわけではないのよね
むしろ茨城弁好きなんだけど、普段あんまり使わないな〜
聞いて意味は分かるけど、使わない
どんどんなくなっていっちゃう言葉なのかな
まぁ、イントネーションはいわゆる標準語とは程遠いと思うけどね

そして「関西弁」です
本書は大阪弁についての考察をまとめたものなんですが、やっぱり東の人間はあの辺の地域をぐるっとひとまとめにしちゃうんでしょうね
正確には色々違うんでしょうが、使い慣れてる「関西弁」で行かしてもらいます

「関西弁」好きなんですよ
なので、ネイティブの人からしたら、かなり違和感のある使い方してるかもしれないですけど、好きだから気にしないw
今後もどんどん使います

この本でも少し触れてるんですが、「関西弁」って、「誰でも身内にしちゃう言葉」だと思うんですね
非常に距離感の近い言葉、相手をぐっと引き寄せるというか
もうみんな友達やで〜ってな感じです

そんな感じしますよね

なので大好きな関西弁をおかしな使い方しつつも、今後も使っていこうと思いますので、かんにんしてな〜

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2025年06月14日

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