あらすじ
会社更生法の適用申請から2年、経営破綻したJALがこの9月には再上場を果たす。経営破綻の実態をスクープした著者が、2兆3000億円もの負債を抱え込んだ旧体制の悪弊をあらためて検証。一方、一私企業を救うために講じられた「法的整理」という措置が大きな副作用を残したことも見逃せない。安易な政府支援が、同業を危うくしているだけでなく、市場や行政の信頼を大きく損ねているからだ。再上場の功罪を問う、緊急出版!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
JALの経営破綻について、財務的・会計的な観点から時系列で解説された一冊。杜撰な会計処理や高コスト体質といったJAL自身の問題点に加え、フラッグキャリアであったがゆえに直面した政治的な課題や、タスクフォースによる対応などについても言及されている。『半沢直樹』の「銀翼のイカロス」に登場するタスクフォースの描写が、単なるフィクションではなく、この実際の出来事をベースにしていることを改めて理解できた。
一つの業態を深く知ること
内容は経済や企業の財務状況に対して知識がないと難しく感じられるところが多かったが、一つの業態がこれだけ複雑なのかと勉強になった。株式投資をするにあたりよく分からないものは買ってはいけないと言われるが、よく分かっているというのはこのレベルを言うのかと参考になった。
Posted by ブクログ
JALが、なぜ破綻したのか?
という 質問に対して 明快な 切り口で 書かれている。
1章 隠れ破綻→近似値的粉飾決算
いろいろな 破綻の原因 がある中で、
貸借対照表と損益計算書から読み砕いて、
「隠れ破綻」→簿外負債や年金積み立て不足から、
実質的債務超過であると指摘をしたことに、先見の明がある。
機材関連報償額;買った機体の リベートを営業利益にいれる。
ありえないような 航空業界の慣例的会計処理。
粉飾決算に近い症状で、公認会計士が認めるとはなにごとや。
2章 都バスでかよう西松社長
財務畑で、財務を知り抜いているが、経営者らしいとは言えない。
都バスで通い、社員食堂で食べ、年収カットをする。
そういう、パフォーマンスでは 解決できないと言う認識が薄い。
3章 JALを倒産に追い込んだ 前原国土交通大臣
前原は、あかんなぁ。自分が目立ちたいだけで、
軽はずみな発言と行動で、JALの自主再建を放棄させ、
倒産に追い込むことで、丸抱えとなる。
4章 破綻効果と稲盛和夫効果
破綻することで、処理することが簡単となった。
その上で、アメーバ経営を貫いて、稲盛効果がでて、
再建することが できた。
しかし、ウイルコムや第3者割当増資問題など、
周辺では 煙が上がっている。
四つの部分に分かれているが、JALの倒産が、
なぜ起こったのか?という疑問には 気持ちよくわかる。
Posted by ブクログ
経営破綻から2年8ヶ月という異例のスピードで再上場を果たしたJALを追い続けたジャーナリストによる、経営再建までを追った一冊。
最大の見所は経営破綻寸前のJALが、民主党政権下でいかに政治の玩具として弄ばれ、スピーディーな再建策の実施に移れなかったかを暴いた点にある。国土交通大臣だった前原誠司という人間のエゴがなければ、赤字幅が更に膨らむ前に手を打てていた可能性は高い点において、民主党政権のいい加減さを示す1つの具体的事例と言える。
もっとも、JALの場合は京セラの稲盛和夫氏の徹底したコスト管理を行う「アメーバ経営」指導の甲斐もあり(本部長クラスに、「予算と実績に1万円以上の差異が発生したものは全て原因を報告すること」を義務付け、報告できない場合は厳しく叱責したという)、結果的には奇跡的な再建を果たせた。ただ、この点も著者によると、稲盛和夫氏と資本関係があるウィルコムがJALと同時期に経営破綻し、国による支援を受けざるを得なくなった点を絡め、本当に稲盛和夫氏がJALの経営再建を指導できる立場にあったのかという異論があったことの指摘も忘れてはならないという。
一冊でJALのごたごたを網羅的に知ることができる点で、非常に貴重だし、何よりも著者が経済紙の記者出身だけあり、表には出てこない裏事情の話も多く、とても興味深く読めた。また、JALが粉飾決算により、自社の経営状況を良く見せようとしていたかも丁寧に書かれており、生きたアカウンティングを学べるケーススタディーとしても楽しむことができる。
Posted by ブクログ
再上場を果たしたJALの真相に興味を持って購入。
銀行団が送り込んだアリックス(企業再生専門の支援会社)、JAL再生タスクフォース、稲盛さんのアメーバ経営等は興味深かった。
<備忘録メモ>
「頑固者で一直線。昔ながらの経理部長タイプ」(部長時代の西松氏)
「機材関連報酬額」→営業外利益で計上
電車通勤(都バス)、役員報酬カット、役員用個室廃止
上下分離案(機材保有会社とオペレーション会社に上下分離、旧・国鉄)
財務相の思惑?(政策投資銀行の完全民営化の遅延)
DBJの追加融資の8割に政府保証(P107)
再生タスクフォース→7社・81人+5行・8人分
タスクフォースの2つの弱点 ~強制力とお金が不足
海外支店長たちの陳情(JAL機差押えのリスク)
<アメーバ経営の解説部分>
あらゆる組織を7、8単位に分割
1日当たりの収支を算出
1万円単位でズレを追求、即座に対応策を打つ
Posted by ブクログ
「稲盛和夫最後の戦い」と「沈まぬ太陽」を埋めるにちょうどよい1冊。この2冊と大きく違うのは、視点が中立的なこと。JALがどうしてこうなってしまったのか?数字を交えてもの凄くよく理解できた。
Posted by ブクログ
P60 機材関連報酬額➡物を買って利益が出る
P75 JFE社内のルート確認
P82 JALの労組の反合理化、法外なベア要求
P91 繰延税金資産の計上指針
P154 JAL支店長の陳情と、プレパッケージ型の法的整理
P195 稲森会長のアメーバ経営
Posted by ブクログ
JALがどのように転落し再生を果たしたか?
実際は、転落したのではなく国策会社から抜け出せないままの「民間企業」だったこと、再生をめぐり迷走を続けたこと、再生が本物、というにはまだ判断を下せる時期に無いこと、が詳細に書かれています。
特に、政府主導の再生が二転三転したことの罪は重い。自民党政権下の有識者会議でほぼ再生の道筋がついていたところに民主党への政権交代。
前原国交相の「自民党案の白紙撤回」「タスクフォースの設置」。
一方、タスクフォースは法的な裏打ちのない組織で実力を出せず、それを補う形で引き入れた企業再生機構に追い出される形で解散。最終的には機構主導で会社更生法へ進みます。
民主党政権の弊害はJAL問題にも影を落としていたのでした。
稲盛会長のアメーバ経営はJAL再建に非常に効果的だったようで更生法前と比べコストは半減(!)売り上げ減少の中で待望の黒字転換を果たします。
JAL問題を熟知している著者だからこそ報道の裏にあるものをあぶりだせた、そんな1冊です。
再生、という目線で感じるのは、「空気」「流れ」がいかに大事か。再生する企業の規模にかかわらず重要な部分です。
Posted by ブクログ
JALの破綻前から上場までを時系列で解説。
会計に関する記述もあり、特に会計処理が微妙だった「機材関連報奨額」について、具体的に取り上げています。
Posted by ブクログ
JALはずいぶんと政府の支援を受けてきたという新聞の論調を鵜呑みにしていたが、前原大臣の迷走ぶりなど、一筋縄では行かなかった状況を把握することができました。
また国策会社として出発してから民間会社に移行した歴史があるJALですが、破綻原因として政府の責任もあるのかなとも。
JRにしろ電力会社にしろ政策絡みの企業は、政府という最大の制約を踏まえながら、今の環境変化を睨みながらの経営を舵取りすることの難しさを感じます。真の経営状況を隠匿しようとする組織体質など。
個人的には、稲盛会長のV字回復のための具体的なアメーバ経営の手法を期待していましたが、本書であまり触れていなく、その点のみが残念でした。
Posted by ブクログ
JAL破綻から稲盛氏の手に経営が委ねられるまでの経緯を事実ベースで丹念に追った点では、価値ある一冊。ジャーナリストとしての筆者が意見を述べる部分に関しては、このレビューでは評価の対象としません。
Posted by ブクログ
なるほど。
民主党になったからこんな事になったという主張にはうなづけない部分もあるが、前原元大臣や鳩山元首相の個人的資質のくだりは頷けちゃう。
稲森さんが社長になった背景は本当なのかな?だとしたらちょっと悲しいな。
こんな会社の社員は経営陣に対してどう思っているのかな。やっぱり会社を正すことが出来なかった自分を悔やんだりするのかな?
Posted by ブクログ
★★★☆☆
民事再生法とか、会社更生法とか整理したくてケーススタディのつもりで読み始めたけど、読み進まないこと!
再生期間中に政権交代を迎え、こじれるこじれる。その政党が解散総選挙。さてどこ推そう?
Posted by ブクログ
正直この本に書かれている大部分を理解できなかった。これを期に会計についてちょっと勉強してみようか。
民間の一企業を公的にどれだけ支援するかは難しい話だ。実際にこれだけの大企業が潰れてしまっていたら、どうなっていたのだろう?