【感想・ネタバレ】無実はさいなむのレビュー

あらすじ

資産家の義母を殺害した罪で獄に繋がれたジャッコは、懸命に無実を主張した。が、それもかなわず彼は獄中で死亡した。やがて、その二年後、一人の男が現われた。ジャッコの冤罪を証明する証拠をもっているというのだ。まもなくジャッコの完璧なアリバイが証明され、事態は混迷してゆく……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭から怪しい様子で、これから殺人が起こると思った。
主人公が向かったのは、2年前に殺人事件が起こった家。そこに住む子供のいない夫人が殺されていた。夫人は、戦争孤児を引き取り夫と共に暮らしていた。解決していた事件が冤罪だったことによる家族のもつれを描いている。最後まで犯人はわからず、読み応えありでクリスティのミステリーの良さを再認識した。「そして誰もいなくなった」と同等な満足度だ。

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2014年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある人物が、無罪であるということは、
別の人物が、有罪である可能性があるかもしれないということだ。

ある人物が、無罪であるということは、
よい知らせだと思い込んでいることがある。

利害関係者にとっては、利は害と背中合わせである。
利があるところには、かならず害もあるのだということが、本書から理解できた。

世の中は、うまくいかないものだ。

ps.
解説には、本書がある意味で失敗作だと書かれている。
小説としては、いろいろな複線が有効に働いているので、成功作だと思う。

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2011年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一族の汚名を雪いだはいいものの、それによって歯車が大きく狂い、様々な苦悩を生んでしまう。
Ordeal by Innocence というタイトルがそれをよく表している。
レイチェルによって「人為的な方法によってつくられた」一家。レイチェル自身は本当の家族になれると信じて疑わなかったのだろう。でも、最後の各人のその後を見るに、やはりそれはうまくいかなかったということだと思う。
慈善事業と家族の在り方、児童虐待の根深さなど昨今の社会問題に通ずるテーマが盛り込まれている。
「そのくらいにしとかないとクリスティに殺されるよ」と多くの読者が思ったことだろう。正義を貫こうとするキャルガリが報われて何より。

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2024年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

英BBCのドラマが面白かったので、原作も読んでみようと思い手に取った。

初期設定やフィリップが殺される部分は小説とドラマはほぼ同じなのに、結末(真犯人・動機)は全く違っていて、最後まで楽しめた。

ドラマを見てからだと多くの場合はトリックや犯人が分かってしまっていて、面白さが半減するけど、この作品は原作から入っても、ドラマから入っても、どちらでも大丈夫。

ポアロやミス・マープルといった名探偵は出てこないが、かえって新鮮な感じだった。

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2019年07月31日

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ネタバレ

まだほとんど読めていない戦後のクリスティー作品の1つ。
舞台は『ねじれた家』で形式は『そして誰もいなくなった』みたいな感じだった。最近は初期のポアロシリーズを読んでいたので、ガラッと雰囲気が変わって面食らった。資産家夫婦の5人の養子の人間模様が複数視点で丁寧に描かれ、まるで自分ごとのように読ませてしまう力がある。日本の新本格作家(好きですよ)に足りないのはこういうところなのだろう。
親の愛情は子にとっての束縛となる。血の繋がっていない親ならなおさら倒錯した感情を抱いてしまうのだろう。犯罪をゲームのように楽しむフィリップだけがこの重さにそぐわずかなり浮いている(てかちょっとサイコっぽいw)。得意の恋愛描写も健在だが、最後は少し雑かな。
パズル好きの私の嗜好とは少しズレた作品だが『ねじれた家』と共に自著ベスト10入れているのも何となく頷ける。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この話には探偵は出てこない
そして誰もいなくなったを読んだらこれも読むのをおすすめとあって読んだのだけれど、この本は一回読んだだけではその面白さはわからないと思う
最低でも2回以上読むことをおすすめしたい

ここからはネタバレとなります
まずこの物語の核となるのがアーサーキャルガリという地理学者であ
二年も前の事件をほじくりかしてせっかく落ち着いていたアジール家に老婦人が殺されて逮捕されたジャッコの冤罪を告げにいく・・・というその来訪はとてつもなく迷惑なことだった
そりゃそうだ!そんな話迷惑に決まっている
元々評判の良くない老婦人の養子であるジャッコが逮捕されて(しかも獄中に肺炎で死亡)落ち着いてた家庭に2年も経ってから彼は犯人ではないと告げにくる
家の中はめちゃくちゃだ
そこからでは誰が犯人なのか?という犯人探しが始まる

今の時代であればこうゆう発想も出てくるだろうけれどこの話を書いたのは遥か昔のことで、さすがアガサクリスティーと思う

毎度登場人物が多いのでメモ用紙に関係性と簡単なプロフを書きながら読んでいくのだけれど、その中でも今回はラストが衝撃だった・・・
???という衝撃なぜこうなったのだろう・・・という衝撃

ちなみに先に言ってしまうと犯人はその老婦人宅に雇われていた家政婦である
それも金欲しさに・・・正確に言えば愛するジャッコと共になるために
婦人の財産を狙っての犯行 主犯はジャッコであるが・・・
ちなみに家政婦はかなりの年配者でありジャッコはまだ若者である
うん・・・騙されたね!
しかもジャッコにはもう妻がいて・・・まぁ発端はその妻がアジール家に
遺産の申し立てに行ったのが発端になったのだけれど
愛は盲目だ・・・どうして相手にされると思ったのだろうか
そしてこの無実はさいなむでは3組のカップルが成立する
それは読んでみてのお楽しみ
だけれど私は最後は衝撃を受けた・・・あっそこくっつくんだという
同じように思った人コメントください

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2025年06月20日

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ネタバレ

アイツが犯人だと思っていた頃に戻れたら。

ある家族のもとにもたらされた知らせ。それは母を殺したのはジャックじゃない、というアリバイの成立。ジャックじゃないなら、誰なのか。疑心暗鬼に陥る一家、犯人を探そうとする者、隠そうとする者、庇おうとする者、確実に崩壊の足音がしていた。

BSで一度ドラマを見たはずなのに、犯人もすっかり忘れていたおめでたい頭。なんだか坐りの悪い話。むずむずするのは、登場人物が皆「良いことをしようとしている」のに、どんどん不幸を招いているからか。クリスティーは相手を損なう善意をここまで書くのが素晴らしい。はっきり言って免罪を知らせにきたキャルガリは、この一家の問題にここまで首を突っ込む必要はない、執着しすぎではないか。殺された母レイチェルの愛情は、母の愛だったのか。メアリの、下半身の自由を失った夫への愛情は、愛情か。気持ち悪さを感じながらも、ありそうと思う。この歪んだ人たちは身近にいそう。

人間関係のもつれだったり愛憎だったりが殺人の動機になるというなら、クリスティーが描くのは自己中心的な人間の業。ぞくっとする鋭さで読者に問いかける。それは愛なのか。愛は尊いものなのか。

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2021年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんてこったー!から落ち着くべき所へ落ち着く手腕が相変わらずすごい。
殺されたお母さんが「死との約束」のお母さんとかぶる。
ぱっと見は違うんだけどねぇ。怖さの質がそっち方面。

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2013年05月13日

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